黄ばみ・虫食いを防ぐ!衣替え、適切な順番と収納術
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「衣替え、いつやる?どうやる?」毎年悩むあなたへ。
季節の変わり目は衣替えを検討し始めるタイミング。でも、何から始めればいいのか迷っていませんか?洗濯表示タグの見方から、虫食いやカビを防ぐ収納術まで、ライオンのお洗濯マイスター・大貫和泉さんが衣替えの手順を伝授します。夏物をしまう前や、冬物を出す前に知っておきたい洗濯と収納のコツが満載です。
プロフィール
大貫 和泉 (おおぬき いずみ)
ライオン株式会社
お洗濯マイスター
消費生活アドバイザー、繊維製品品質管理士、健康予防管理専門士
洗濯用洗剤などの製品開発・調査、マイスターとして約30年携わる。2児の母親としての経験と研究活動を活かし、家庭目線で役立つ洗濯情報を発信中。
INDEX
衣替えのタイミングと準備
―夏から秋冬、冬から春夏へ。衣替えに適したタイミングや気温の目安はありますか?
ライオンとウエザーニュースの共同調査によると、夏の終わりに、長袖を着始めるタイミングは「最低気温」が大きく関係していることが分かりました。最低気温が20度を下回ると約5割の人が、18度を下回ると約6割が長袖を着用し始めます。2025年の衣替え前線を見てみると、同じ東京都内でも地域によって、ずいぶんとタイミングに差がありますね。
一方で春の衣替えで衣類を収納する場合は、ゴールデンウィークが終わるまでに済ませるのがひとつの目安。というのも、ゴールデンウィークを過ぎると、衣類の害虫が卵を産み始める時期に入るからです。害虫は冬物に多い、ウール、カシミア、シルクなどの動物性繊維が大好物。綿などの植物性繊維は比較的安全ですが、皮脂汚れや牛乳などのタンパク質汚れが残っていると、虫のターゲットになってしまいます。冬物を干している間に卵を産みつけられることもあるため、GWが終わるまでに早めの衣替えを済ませるのがおすすめです。
―衣替えに適した天気はありますか?
晴れた日に行うのが理想的です。しっかり乾かしてから収納しないと、カビの原因になることも。湿気を避けることが大切です。
―洗濯前にチェックすべきポイントはありますか?
まずは家で洗えるのか、分からない場合は、必ず洗濯表示を確認しましょう。家庭で洗えるかどうかを見極め、洗えないものはクリーニングへ。洗えるものは、表示に従って適切な洗い方を選んでください。よく聞く失敗例は、標準コースでセーターを洗って縮ませてしまうこと。お気に入りの衣類を長く使うためにも、お洗濯前の表示確認は忘れずに。
翌シーズンも快適に!夏物を気持ちよく着られるお洗濯のコツは「しまい洗い」
―お家で洗える衣類のお洗濯のコツを教えてください。
衣替えの時に、長期にわたり収納する夏服は、「しまい洗い」をして、汚れをしっかり落としましょう。収納後の嫌なニオイや黄ばみの一因は、洗濯で完全に落としきれなかった“皮脂汚れ”です。着用して洗濯を繰り返すたびに、皮脂汚れは徐々に繊維の奥に蓄積されていきます。この皮脂汚れをしっかり落とすことが、翌シーズンも気持ちよく着られるコツですよ。
黄ばみを防ぐ
しまい洗いは、YシャツやTシャツの襟、袖口、脇など黄ばみが気になる箇所に液体洗剤を直接塗ってから洗濯機へ。洗剤がもったいないと思う方もいるかもしれませんが、洗濯機に投入する洗剤量は塗布した洗剤量を引いて入れれば大丈夫です。
洗剤はNANOX one PROなどの皮脂汚れに効果的な洗剤がおすすめ。
ニオイを防ぐ
衣類の臭いが気になる場合は、液体タイプの酸素系漂白剤と洗剤で、30分~2時間程度つけおき洗いを。縦型洗濯機なら、つけ置き液ごと洗濯機に入れて洗えます。ドラム式の場合は衣類を絞ってから洗濯機に入れましょう。色柄ものにも安心して使えます。
酸素系漂白剤が使用できるかどうか、洗濯表示を確認してから行いましょう。
【つけ置き液の作り方】
ぬるま湯約5L+ ブライト STORONG漂白&抗菌ジェル50ml+液体洗剤(キャップで水30Lの線まで)
―Tシャツや肌着、靴下は裏返して洗うべきでしょうか?
はい。皮脂汚れは肌に接している面につくので、裏返して洗うのが効果的です。子どものTシャツ、靴下など泥汚れ、食べこぼし汚れなどが気になる場合は表を外側に。汚れが気になる面を外側にして洗いましょう。Tシャツのプリントは裏返すことで傷みにくくなりますよ。
―ピンチな汚れのTipsを教えてください!
お気に入りのシャツに赤ワインがついたら…
洗濯機に入れる前に、液体タイプの酸素系漂白剤(例:ブライトSTORONG漂白&抗菌ジェル)を塗ってから洗濯しましょう。携帯用の染み抜きも便利。汚れは時間が経つほど落ちにくくなるので、早めの対処が肝心です。
キュプラなどの光沢のある生地に、ラーメンのスープが飛んでしまったら…
洗濯機に入れる前に、おしゃれ着洗剤を直接塗り、台所用の柔らかいスポンジで叩いて落とします。スポンジで叩くのがポイントです。
―ちなみに浴衣も家庭で洗濯できますか?
夏のイベントで活躍する浴衣。近年、ご家庭で洗濯ができる浴衣が増えています。家庭洗濯OKの表示があれば、汗をかいたまま放置せずに早めに洗濯しましょう。
必要なもの:おしゃれ着洗剤、洗濯ネット、ハンガー3本、もしくはピンチハンガー
洗い方
①両袖を合わせて半分に折り、袖を折り、丈をじゃばら状に折る
②洗濯ネットに入れる
③「おしゃれ着コース」「おうちクリーニングコース」などの弱水流コースでお洗濯
干し方
しわを伸ばして形を整え、ハンガー3本を使って陰干しする。
室内で干す場合は、扇風機を使うと早く乾きます。
正しい収納の仕方
―収納時に気をつけることはありますか?
畳んだ衣類は「立てて収納」するのをおすすめします。理由は二つあり、一つは重みがかからずシワになりにくいこと。そしてもう一つは、防虫剤が衣類に届きやすくなります。防虫剤を入れる際は、「衣類の上」に置きましょう。
―ほこりカバー的にちょうどいいなと思うのですが、クリーニング後のビニールカバーは外すべきですか?
ビニールカバーは必ず外しましょう。クリーニングから返ってきたらビニールを外して、収納前に陰干をし、残った水分や溶剤を飛ばすことが大切です。カバーをかけたまま収納すると通気性が悪く、カビの原因になります。
―着用頻度が低い衣類や、クリーニングに出すと高級な衣類は、洗わずに収納してもいいですか?
皮脂汚れが残っていると、虫食いや黄ばみの原因になります。特にウールやカシミアなど虫が好む素材は要注意。洗濯やクリーニングをせずに収納するのは避けるべきです。ダウンやジャケットなども洗濯表示を見て家庭洗濯が可能なら、おしゃれ着洗い洗剤を使って挑戦してみてください。
さあ!冬のおしゃれを楽しもう
―衣替えで冬服を出したらまず何をすべきか教えてください。
虫食いがないかをチェックしましょう。虫はウールやカシミアなどの動物性繊維を好むため、特に注意が必要です。清潔な状態で着用できるようにカビや黄ばみのチェックも欠かせません。
―しわや臭いが気になる場合は?
嫌な臭いがする場合は、着る前に洗濯を。田舎のタンスのような臭いなら、まず陰干ししてみましょう。
しわが気になる場合は、スプレータイプのしわ取りでケアを。シャツやジャケットは、斜め・縦・横に軽く引っ張りながらしわを伸ばします。アイロンや衣類スチーマーも有効です。
※しわ取り消臭スプレーは素材によって使えない場合があります。使用前に裏面を確認しましょう。ポリエステル100%の衣類には効果が出にくいこともあります。
―乾燥が気になる季節、静電気対策はできますか?
静電気防止スプレーを使ってみてください。外出前に、衣類の表面だけでなく、こすれやすい裏側にもスプレーするのがポイント。ジャケットやスカートの静電気防止なら、10秒程度全体にスプレーしてください。
アサヒグループおすすめ商品
朝晩涼しくなってきたこの時期。そろそろ飲み物も秋仕様に変えてみるのはいかがでしょう?
text 「ハレの日、アサヒ」編集部


なんとなくで済ませていた衣替え。今年は「しまい洗い」と「適切な収納」でバージョンアップしてみませんか?少しの工夫でお気に入りの衣類が長持ちし、次の季節がもっと快適になりますよ。