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大山崎山荘美術館から祇園へ | 秋の京都小旅行ガイド

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大山崎山荘美術館から祇園へ | 秋の京都小旅行ガイド

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週末のお出かけに、京都・アサヒグループ大山崎山荘美術館はいかがでしょうか?自然とアートに癒された後は、阪急京都線に揺られて河原町方面へ移動し、祇園まで。おいしい寄り道も楽しめる、編集部おすすめの京都の小さな旅をご案内します。

アサヒグループ大山崎山荘美術館 ― 記憶に刻まれる旅へ

これまで「ハレの日、アサヒ」でも、四季の花や建築の魅力をたびたび紹介してきたアサヒグループ大山崎山荘美術館(通称 大山崎山荘美術館)。アサヒグループ財団が運営する美術館として、作品鑑賞だけでなく自然や建築、そして“体験”そのものを大切にしています。約2か月半の改修休館を経て再オープンした美術館を、編集部が訪ねました。

過去の美術館の記事はこちらから。

今回案内してくれたのは、美術館の広報を担当しているお二人です。

アサヒグループ大山崎山荘美術館
左:池田 恵子(いけだ けいこ) 教育普及担当・広報チーム 
小学生対象の出張授業や各種ツアーを始め、館のさまざまな教育普及に積極的に取り組んでいます。

右:竹中 優香(たけなか ゆうか) 広報チーム 
以前から「地中の宝石箱」に魅了され、美術館への就職を決意したほどの熱意の持ち主です。

「懐かしさ」に出会う場所

大山崎山荘美術館を訪れた人が、思わず口にする感想があります。
それは「懐かしさ」という一言。
「初めて来館されても、“懐かしさ”を感じるとおっしゃる方がいます。職場体験に来た中学生からもそんな感想が出ていました。」
と広報チームの池田さん。

「なぜ懐かしさを覚えるのか、私たちもまだ答えを見つけられていないので探しているところです。」と教えてくれました。その言葉を聞いて、ここは「それぞれの懐かしさに出会う美術館」だと感じました。訪れる人ごとに異なる記憶や感覚が呼び起こされる、その不思議さこそ、この美術館の大きな魅力かもしれません。

本館に入ってすぐに出迎えてくれるのは、エントランスにある大きな暖炉

今だけの「大航海」

現在開催中の特別展「美術館で大航海!コレクションをたどって世界一周」では、コレクションをたどりながら世界一周の旅を楽しめます。山手館の展示には幾重にもアーチが設けられ、まるで船旅をしているような気分で作品を巡ることができます。

「大航海と“大公開”を掛けているんです。当館は来年で30周年を迎えますが、今までに展示されたことのない初出品作が約20点も展示されています」
思わず笑みを浮かべながら、竹中さんがユーモアたっぷりに教えてくれました。

朝日麦酒株式会社(現アサヒグループホールディングス株式会社)社長・山本爲三郎が収集した民藝運動ゆかりのコレクションをはじめ、アサヒグループが所有する作品の世界を旅するように巡る、まさに今しか出会えない体験が待っています。

※「美術館で大航海!」の企画展示は2025年9月20日~12月7日までです。

もちろん今回も、展示にちなんだオリジナルスイーツメニューを喫茶室で楽しめます!(写真提供:アサヒグループ大山崎山荘美術館)

池田さんの推し作品は、≪白地藍彩双獣把手壺≫。「12世紀の作品ですが、『銀化』と言って長い間、土中に埋もれたことで化学変化が起き、この輝きが生まれたそうです。両側の取手の四本足の動物は何か想像しながら見るのも楽しいですよ」
光を受けると淡い青や緑、白がゆらめくのも見どころです。

《ペルシア 白地藍彩双獣把手壺》 12世紀(大山崎山荘美術館所蔵)

四季折々の美しさ

大山崎山荘美術館は、四季折々の景色で訪れる人を楽しませてくれます。

【春】庭園のみならず、テラスから一望できる三川合流の風景には川の堤に桜の帯が広がります。桜が散れば気持ちの良い新緑の香りを思いきり吸い込めます。

【夏】庭園の池にスイレンが咲きます。花は朝に開き、昼には眠るように閉じてしまうので、午前の来館がおすすめです。館内ではモネの《睡蓮》連作も常設されており、実風景と絵画を重ね合わせる贅沢を味わえます。

【秋】山荘を包む紅葉が圧巻。建物と自然が調和する景観は、この美術館ならではです。

【冬】うっすら雪化粧した山荘と庭園が幻想的。葉が落ちることで建物の外観がくっきりと見え、建築好きにはたまらない季節です。

写真提供:アサヒグループ大山崎山荘美術館の公式Instagram

生活空間としての美術館

この山荘はもともと実業家・加賀正太郎の邸宅でした。居間の大きな暖炉のマントルピース(暖炉の周囲を装飾する構造物)は、「画像石」という後漢時代の墓石装飾として作られたものです。部屋の中と外で見える色が異なるステンドグラスや、細かなタケノコがデザインされた装飾彫刻など、生活空間という言葉では片づけられない徹底した美意識が、細部にまで宿ります。

画像石
ステンドグラス

「加賀正太郎は20代前半から山荘建築に着手しましたが、ヨーロッパ遊学中に得た知識をもとに、こだわりを持って山荘建築に当たっていたようです」
池田さんの言葉の通り、山荘全体が彼の美意識の結晶です。20年をかけて完成したことも、その情熱を物語っています。細部にまで宿るこだわりは、一度では見きれないほど。ぜひ訪れて、ご自身の目で探してみてください。

アサヒと山荘をつないだ奇跡の縁

平成のバブル期には、この山荘を取り壊してマンションを建てる計画が持ち上がりました。
地元町民や識者が起こした反対運動を知り、「失ってはいけない」と動いたのが、当時の京都府知事・荒巻氏。同じ京都出身だった当時のアサヒビール社長・樋口に相談したことから、京都府、大山崎町とアサヒビールが協力し、美術館として山荘を復元修復の上、保存することになりました。荒巻氏が樋口に声をかけなければ、この美術館は現存しなかったかもしれません。

また館内には、もう一つ“縁”を物語る贈り物があります。二階の階段に飾られた照明は山本爲三郎が加賀正太郎へ、山荘の新築祝いに贈ったもの。二羽の鳥が仲良く並ぶ姿は、仲睦まじい夫婦を表す、「比翼連理」の意匠ではないかと言われています。新婚だった加賀夫妻を祝福する、なんとも粋な贈り物です。

アサヒと大山崎をつないだ奇跡の縁。そこには、人と人との出会いと想いが確かに息づいています。

山本爲三郎が正太郎の新築祝いに贈った照明

「来るたびに違う発見があります。だからこそ“また来たい”と思っていただけるのではないでしょうか」と池田さん。ぜひ、この山荘で「懐かしさ」と出会い、自分だけの旅を楽しんでみてください。

■アサヒグループ大山崎山荘美術館情報
住所    京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
開館日時 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日   月曜(祝日の場合は翌火曜)、臨時休館、年末年始
公式Website  https://www.asahigroup-oyamazaki.com/ 
Instagram   https://www.instagram.com/asahibeer.oyamazaki/

大山崎山荘の後に訪れたいランチスポット Relish食堂

大山崎山荘美術館を後にして編集部が向かったのは、阪急大山崎駅近くの「Relish食堂」。心地良い光が差し込む店内は、まるで田舎の実家に帰ってきたような安心感に包まれます。テーブルに並んだのは、旬の有機野菜をたっぷり使った月替わりのランチ。まずお味噌汁を一口。その瞬間、体がじんわりほどけます。

長月(9月)の月替わりランチ 

旬を味わう「月替わりランチ」

Relish食堂のランチは毎月メニューが変わり、近隣の農家から仕入れた有機野菜が主役です。
「糠漬けは40年以上育てているぬか床でつけています。お味噌汁も昆布とイワシとサバを使い、カツオよりも濃厚な出汁で、シンプルだけど体にすっとなじむ味になるんですよ」とオーナーの森さん。一度の食事で五味の甘酸辛苦渋(かんさんしんくじゅう)を味わえるように、メニュー作りも工夫されています。

そして、食堂で「食べて終わり」ではなく、「家でも再現できる」ように、手書きのレシピが食堂の黒板に掲げられているところも嬉しいポイントです。

森 かおる Relish主宰

子育てから生まれた食堂

食堂よりも先に料理教室を始めた森さん。きっかけは自身の子育て体験でした。
「子どもを育てる中で、食べたもので体が作られていくのを実感しました。だからこそ、無添加の調味料やなるべく農薬を使わない野菜を取り入れた食を、多くの方に伝えていきたいと思ったんです」
食堂は今年10月に6周年、料理教室と暮らしの雑貨店「Relish」は22年を迎えたそうです。

新しい挑戦―駅前の古民家へ移転

2025年10月10日に駅前に移転し、食堂の味を持ち帰れるショップもさらに拡大して併設されました。無添加調味料に加えて、地元の農家から仕入れた有機野菜を販売し、家庭でも取り入れることができます。

新店舗の外観(写真提供:Relish食堂)
木のぬくもりを感じられるインテリア(写真提供:Relish食堂)

■Relish食堂 店舗情報 
住所       京都府乙訓郡大山崎町大山崎藤井畑16-2
営業時間   11:00~16:00(ランチLO14:00、カフェLO15:30)
定休日     毎週月曜(祝日は営業、翌火休)夏期・冬期休業あり
公式Website   https://www.relish-style.com/shokudo 
Instagram    https://www.instagram.com/relish.shokudo/

阪急京都線に乗って西院へ COCO KYOTO ― おいしさと健康を叶えるクラフトチョコレート

京都・西院に漂うチョコレートの香り

京都・西院にお店を構える「COCO KYOTO」。お店に一歩足を踏み入れると、ふわりと広がるチョコレートの香りに迎えられます。店内にはオープンアトリエが併設され、チョコレート作りの様子を間近に見られるのも魅力。

お店のブランドカラーは“京紫”。京都を象徴する色をまとい、街とともに歩むブランドでありたいそうです。(写真提供:COCO KYOTO)

「店名の“COCO”はフランス語で『かわいい、愛しい』という意味があり、京都で愛されるお店にしたいという願いが込められています。さらに“COCO=ここ”という言葉遊びのような親しみやすさも加え、『チョコレートといえばここ』と思っていただける存在を目指しています」そう語ってくれたのは、マネージャーの伊東さん。

伊東 由貴(いとう ゆき) COCO KYOTO マネージャー

「おいしいのは当たり前」その先の健康志向

コンセプトは「『美味しさ』と『健康』を叶えるクラフトチョコレート」。原材料に徹底してこだわり、白砂糖不使用、添加物不使用、グルテンフリー。代わりに有機ココナッツシュガーなどの天然の甘味を使用することで、体に負担をかけないやさしい甘さを実現しています。
「美味しいのは当たり前。その先に“体が喜ぶチョコレート”を届けたいんです」と伊藤さん。

ぜひ味わってほしい一品

来店したらまず味わってほしいのが「COCOチョコロールケーキ」。生地もクリームもグラサージュ(表面の光沢)も全てチョコレート尽くし。食べると驚くほど軽やかです。ふんわり軽い米粉の生地に、米麹を加えてしっとり感を増しているのだそう。素材にこだわり低GIで血糖値の上昇も緩やかなので、罪悪感なく食べられます。冷凍配送で、オンライン購入も可能です。

写真提供:COCO KYOTO

お土産には個包装されている「ガナッシュサンドクッキー」がおすすめ。マタニティフード認定※を受けており、妊娠・授乳期でも安心して楽しめるスイーツです。

写真提供:COCO KYOTO

※マタニティフード認定:厚生労働省が示す妊娠時期の食事や栄養摂取基準、そして管理栄養士監修のもと設定した基準に基づき、妊婦が避けるべき原材料や成分が含まれていない商品を「マタニティフード」と認定する取り組みです。マタニティフード認定商品には「マタニティフードマーク」が付与され、妊活・妊娠・授乳期の女性におすすめできる商品の証となります。(引用:COCO KYOTO

京都発のブランドとして

京都の素材を活かしたチョコレートも人気。白味噌と胡麻を組み合わせたチョコレートバーは、ほんのり甘じょっぱく、お酒との相性も抜群です!

左から柚子、白味噌胡麻、玉露焙じ茶、煎茶 すべて京都の素材を使用(写真提供:COCO KYOTO)

伊東さんが繰り返し語っていたのは、「京都発であること」へのこだわり。
COCO KYOTOは、京都で愛される存在であり続けながら、健康を思いやる優しさとチョコレートの奥深い美味しさを届けています。

■COCO KYOTO店舗情報
住所     京都府京都市中京区西ノ京三条坊町15-3
営業時間  日~木曜 10:30~18:00(LO 17:30)、金・土曜 10:30~18:30(LO 18:00)
公式Website   https://coco-cacao.jp/
Instagram    https://www.instagram.com/cocokyoto_cacao/

するがや祇園下里 200年続く老舗が紡ぐ、伝統と新しい一歩

花街・祇園で愛される老舗

京都・祇園末吉町。舞妓さんや芸妓さんの姿が行きかう花街に、ひっそりと佇む「するがや祇園下里」。創業は1818年、総本家駿河屋の別家として始まりました。以来200年以上、京都の人々と芸事に携わる方々に愛されてきた御菓子司です。
建物は明治28年(1895年)に建てられたお茶屋で、現在は京都市登録有形文化財に登録されています。時を経た木の柱や格子戸には、祇園の歴史そのものが刻まれています。

廃業からの再出発

一度はコロナ禍でのれんを下ろしましたが、もう一度お店を続けたい、お客様の期待に応えたい。そんな思いから、五代目の孫・井上真由美さんが七代目としてお店を再興しました。もともとは会社員だった真由美さん。老舗を継ぐ覚悟を決めたのは、長く続いてきた味を絶やさぬためでした。

井上 真由美(いのうえ まゆみ) するがや祇園下里 七代目

復活に当たり、真由美さんが強くこだわったのは、「駿河屋」という名前を掲げること。実は、羊羹の発祥は駿河屋だそうです。かつて徳川家の御用菓子だった駿河屋が豊臣秀吉の茶会で献上したと伝わっています。これが羊羹の始まりです。もう一度その伝統の羊羹を届けたいという気持ちが、再出発の大きな原動力となったのです。
「伝統を守ることは簡単じゃない。でもお客様が、“戻ってきてくれて嬉しい”と声をかけてくれはるのが支えになります」

煉羊羹(写真提供:するがや祇園下里)

看板商品「大つゝ」と素朴な味わい

看板商品の一つの「大つゝ」。素材は鬼ザラメ、生姜、小麦粉、少しの水飴だけ。シンプルながらも鬼ザラメがしっかりと生姜の辛味を引き立てた味わいで、喉をいたわる菓子としても親しまれ、祇園の芸舞妓さんや南座の役者さんにも愛されてきました。
するがや祇園下里の菓子は、素朴で昔懐かしい味わい。派手さはないけれど、素材の持ち味をまっすぐに伝える力強さがあります。

ファンは全国に

するがや祇園下里は、「京名物 百味会※」の創業メンバーで百貨店催事に出展しており、そのファンは全国に広がっています。普段はオンラインや百貨店で購入する人も、京都旅行の際には必ず店舗を訪れるほど。親子三代に渡り、するがや祇園下里の味を引き継ぐ家庭も多くあります。

※百味会とは、昭和24年に京都の伝統的な味を守り伝えるために結成された老舗の集まり

伝統と新しい挑戦

「素材はどれも昔ながら。だからこそ誤魔化しがきかない。味を守るのは職人の腕次第なんです」
そんな全ての菓子作りをしている職人・金ちゃん、御歳78歳。年齢を重ねても手を止めず、後進のために技を伝えています。七代目真由美さんと弟は、現在金ちゃんの元で修業中。味と技を次の世代に繋ぐことを第一に考えながらも、新しい挑戦にも踏み出しています。

その一つが「ひやしあめ」のアレンジドリンク。赤紫蘇を合わせたり、お酒で割ったりと、若い世代にも楽しんでもらえる工夫を加えました。さらに「ひやしあめアイスクリーム」も登場し、夏の祇園に新しい涼を届けています。老舗だからこそ、次の世代にも喜ばれる形を模索しているそうです。

赤紫蘇ひやしあめ
ひやしあめ 冬はお湯割りをしてあめ湯へ 生姜のピリッとした辛さが特徴です 

■するがや祇園下里店舗情報
住所     四条通から2本北の祇園末吉町
営業時間  11:00~18:00
定休日   毎週水曜
公式Website  https://gionshimosato.com/
Instagram   https://www.instagram.com/gion.shimosato/

阪急に揺られて大山崎から祇園まで。
美術と美食が交差する小さな旅路は、日常を少しだけ特別にしてくれるはずです。

text&photo 「ハレの日、アサヒ」編集部

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