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弘前の秋旅ガイド!現代アートとりんごの街をたっぷり満喫

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この秋のおでかけ先はもう決まりましたか?紅葉とりんごの香りが街を彩る秋の弘前市は、今こそ訪れたい旅先です。今回は、アート、グルメ、体験の切り口から、弘前の楽しみ方をお届けします。さらに、シードルづくりに情熱を注ぐつくり手のインタビューも交え、弘前の魅力を深掘りします。

100年の歴史を紡ぐ「弘前れんが倉庫美術館」—シードル工場から現代アートの発信地へ

JR弘前駅から車で約7分。市街地に、赤レンガ造りの重厚で美しい建物が佇んでいます。その場所は、現代アートを多数展示する「弘前れんが倉庫美術館」です。

「朝日シードル工場」から煉瓦倉庫、そして美術館へ

この建物は、今から100年ほど前の1923年に、実業家の福島藤助が日本酒の醸造所として建設しました。1938年、戦争の影響で米不足に陥り政府による日本酒の生産統制が始まると、りんご酒の製造を開始。後に吉井勇に引き継がれ、1954年には朝日麦酒株式会社(現・アサヒビール株式会社)の後援により「朝日シードル株式会社弘前工場」が創業。2年後、日本初の本格的なシードル「アサヒシードル」が誕生します。

1956年発売「アサヒシードル」

まだ馴染みの薄かったシードルの販路拡大に挑むなか、りんご加工に造詣が深いニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝へ事業内容の引き継ぎを依頼。やがて、工場を弘前市・栄町に移転することが決定し、1965年に工場としての役目を終えました。その後、1978年から1997年までの約20年間、政府の備蓄米を保管する倉庫として活用されました。

煉瓦倉庫は弘前市民に親しまれ、やがて「再生活用すべきだ」との声があがるようになりました。1980年代後半になると、美術家・村上義男らによって「煉瓦館再生の会」が立ち上がるなど、建物の活用が検討されるようになりました。

市民の想いが動かした!奈良美智展と倉庫再生の軌跡

煉瓦倉庫の再生が決定的となったのは、美術家・奈良美智の展覧会でした。当時のオーナーであった吉井酒造株式会社社長の吉井千代子が、弘前市出身の奈良美智の作品に強く惹かれ、その後、奈良との出会いにより実現しました。

展覧会の開催にあたって、市民ボランティアが倉庫を展示空間へと整えるために掃除や片付けを行い、さらには運営にも携わりました。やがてその取り組みは、全国からボランティアが集まるほどの大きなムーブメントへと発展していきました。

こうして、2002年、2005年、2006年と3度に渡り開催された展覧会には、全国から延べ15万人以上が訪れ大成功を収めました。

3度の奈良美智展の当時の写真など。煉瓦倉庫が美術館へと生まれ変わるまでの歴史が紹介されています。

この展覧会が大きなきっかけとなり、弘前市が土地と建物を取得し、文化交流拠点として整備する方針が決定。2020年に「弘前れんが倉庫美術館」として開館しました。

建物の改修は、「記憶の継承」と「風景の創生」をコンセプトに、建築家の田根剛が担当。元の姿をできる限り残すよう工夫され、煉瓦一つとっても元の建物と馴染むように綿密にデザインされています。黄金に輝く屋根は「シードル・ゴールド」と名付けられ、季節や時間帯によって印象が変わります。

シードル・ゴールドに輝くチタン製の屋根

弘前とアートが響き合う、注目の常設展示と空間体験

館内に一歩足を踏み入れると、印象的な大きな犬の展示が迎え入れてくれます。これは、2006年の奈良美智展終了後、ボランティアへ感謝の気持ちを込めて奈良氏が制作し弘前市へ寄贈された「A to Z Memorial Dog」です。

奈良美智「A to Z Memorial Dog」2007 年 ©︎Yoshitomo Nara

今回案内してくださった広報担当の大澤 美菜さんは、美術館の特長について「弘前と縁を繋いでいる作品が多いこと」と教えてくれました。作家が弘前に滞在して制作した作品や、弘前の文化や歴史と向き合う作品が多いとのこと。地元の歴史や文化、そして現代アートが融合した空間は、何度訪れても、新しい刺激や発見に出会えること間違いなしです。

ナウィン・ラワンチャイクン「いのっちへの手紙」2020年

奈良美智ファン必見なのは、ロック喫茶「JAIL HOUSE 33 1/3」を再現した展示。1977年、高校生だった奈良さんは、実家のそばにあったロック喫茶の開店準備に携わり、開店後は音楽好きの仲間たちと交流する場所となりました。記録写真や関係者による証言などをもとに、創造的な再現を叶えています。

ロック喫茶「JAIL HOUSE 33 1/3」の再現

展示エリアの最後で見逃してほしくないのは、和田礼治郎氏の「AMBER WINDOW」。なんと、ガラスの間にアップルブランデーが入っているのです。弘前市にあるニッカウヰスキー弘前工場から提供されたもので、かつてここからニッカウヰスキーのシードルが生まれていた縁と歴史を感じる作品です。蒸発によって毎日窓の様子が変わるので、その日の表情をチェックするのも楽しみの一つです。

和田礼治郎「AMBER WINDOW」2022年

「弘前れんが倉庫美術館」開館5周年に想うこれからの展望

これまでの歩みについて「この5年でコレクションもどんどん増えてきて、現在は190点を超えています。映画の上映会やワークショップなど、さまざまなイベントも行ってきました」と広報の大澤さん。

「弘前れんが倉庫美術館」の今後については、「ここからインスピレーションを得て、普段見ている景色が変わったり、物事をいつもと違う視点で考えたりできるようになるのがアートを見ることの面白さの一つだと思います。無料で開放しているライブラリースペースもありますし、たくさんの人に訪れていただき、美術館がさまざまな創造活動の場になればと思います」と展望を語ってくれました。

2Fライブラリースペース。無料で開放されています。

近年、青森は現代アートの発信に力を入れており、この「弘前れんが倉庫美術館」を含む青森県を代表する5つの美術施設が連携し、国内外にその魅力を伝えています。

2025年は開館5周年の節目。これを記念して、開館5周年記念展「ニュー・ユートピア」を2025年11月16日まで開催中です。

館内を巡るたびに、季節や展示内容によって異なる表情を見せてくれる「弘前れんが倉庫美術館」で、弘前の新しい魅力を体感してみては。

■弘前れんが倉庫美術館
営業時間:9:00~17:00
休館日:火曜日(祝日の場合は翌日に振替)、年末年始
住所:青森県弘前市吉野町2-1
料金等詳細は公式サイトをご確認ください。

青森の恵みを味わう!カフェ「cafe & shop BRICK」でこだわりグルメとシードルを

美術館でアートを堪能した後は、隣にあるカフェ「cafe & shop BRICK」で一休みしましょう。お食事やスイーツ、アルコールまで、青森県産の素材をふんだんに活かしたメニューが楽しめます。

中に入ると目に飛び込んでくる銀色のタンクでは、シードルを醸造しています。このシードルを醸造しているのは、2014年に弘前初のクラフトシードルを発売した「A-FACTORY」。青森駅近郊に拠点を構えていますが、2番目の拠点として、こちらのカフェに併設するかたちで「A-FACTORY 弘前吉野町シードル工房」を開設しました。

カフェのチーフ・引田 幹夫さんがおすすめするのは、「BRICKアップルパイ(900円)」。こちらは、弘前の有名イタリアンレストラン「オステリア エノテカ ダ・サスィーノ」監修の一品です。弘前産のりんごをぜいたくに使った、濃厚な味わいのアップルパイです。編集部もいただいてみたところ、とろりとした上品な甘さのカスタードクリームとりんごの酸味が絶妙に調和して最高のバランス。これが店内のタンクで醸造されているシードルと相性抜群!甘すぎず、すっきりとした味わいが、りんごの香りを引き立てます。

「BRICKアップルパイ」「吉野町シードル」

店内左手には、美術館グッズやシードルが豊富に揃うミュージアムショップがあります。

シードルの中でも引田さんイチオシの一品を聞くと、もりやま園の「テキカカシードル」とのこと。甘さひかえめで、渋みや酸味を感じられるすっきりとした飲み心地が特長です。

中央の白いラベルの瓶が「テキカカシードル」。カフェでも提供されています。

ほかにも、ここでしか手に入らない工芸品や、開館5周年を記念した今だけ限定のグッズが並んでおり、弘前土産を探すのにもベストなスポットです。ぜひチェックしてみてください。

ミュージアムショップ。旅のお土産や贈り物にぴったりのグッズが幅広く揃っています。

■cafe & shop BRICK
営業時間:9:30~17:30 (カフェラストオーダー 16:30)
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日に振替)、年末年始
住所:青森県弘前市吉野町2-11
公式サイトはこちら

シードル&アップルパイ食べ歩きMAP

美術館で青森の歴史も味覚も堪能したら、もっと弘前の魅力を探求してみたくなりませんか?そんなあなたのために、弘前市でシードルやアップルパイの食べ歩きを楽しめるマップが用意されています!

弘前市内で、ニッカウヰスキー、タムラファーム、弘前シードル工房kimori、A-FACTORYといった、青森県産のシードルを提供されているお店を紹介しています。眺めているだけで制覇したくなってきます。

弘前アップルパイガイドマップでは、弘前市内で提供されているアップルパイを40種類以上掲載しています。観光館と弘前市の観光コンシェルジュによる感想コメントも記載されているので参考になりますよ。

マップを片手に弘前の街を歩きながら、地域の味を堪能してみてはいかがでしょうか。

四季を彩る弘前城とりんご農園で、秋の自然と味覚を満喫

弘前城で楽しむ秋の絶景

弘前市といえば、桜の名所で有名な弘前城。JR弘前駅から車で10分程の弘前公園内に位置しています。

現存する天守は日本でも数少ない貴重なものですが、1611年に築城された弘前城※はそのうちの一つです。

※1627年に落雷で消失したため、現在の天守は1810年に再建したもの。

春には約2,600本もの桜が咲き誇り、「日本一の桜の名所」として全国から多くの観光客が訪れますが、秋の紅葉もまた格別です。

城内のもみじやイチョウが色づき、天守や石垣、堀の水面に映る紅葉のコントラストは、まるで絵画のような美しさです。紅葉の見頃は例年10月下旬から11月上旬。静かな城内をゆっくり散策しながら、歴史と自然の調和を感じることができます。

また、弘前城本丸からは岩木山を望む絶景も楽しめ、秋晴れの日には澄んだ空気とともに、心が洗われるようなひとときを過ごせます。夜間には紅葉のライトアップも行われ、幻想的な雰囲気に包まれるのも秋ならではの楽しみです。

■弘前城(弘前公園内)
住所:弘前市下白銀町1-1
詳細は弘前市HPをご確認ください。

りんごの魅力をたっぷり味わえる「弘前市りんご公園

りんご生産量日本一を誇る弘前市には、多くのりんご農園が点在しています。今年は青森県にりんごの木が植えられてから150周年。りんごの収穫シーズンである秋には、さまざまな農園でりんごの収穫体験を楽しむことができます。

りんごの味や知識、ショッピングなど、総合的にりんごの魅力を味わいたいなら、弘前市りんご公園がおすすめです。JR弘前駅から車で約15分の場所にある「弘前市りんご公園」には、広大な敷地に約80品種 2,300本ものりんごの樹が植えられています。

園内には、お土産コーナーや軽食・喫茶コーナーがある「りんごの家」、シードルを醸造する工房「kimori」など、りんごを堪能できる施設が目白押しです。
生産体験園では、8月上旬から11月中旬までりんごの収穫を体験することができます(有料)。弘前の豊かな自然の中でのびのびと過ごす時間は、旅の思い出になること間違いなしです。


■弘前市りんご公園
営業時間:9:00~17:00(時間外でも園内を散策できます。)
住所:青森県弘前市清水富田寺沢125
料金等詳細は公式サイトをご確認ください。

弘前産の味を自宅でも。「ニッカ弘前 生シードル」のつくり手に聞くこだわり

旅先で出会った味を自宅でも楽しめるのが「ニッカ弘前 生シードル」。このシードルは、弘前城からそう遠くない場所にあるニッカウヰスキー弘前工場で製造されています。

ニッカウヰスキー弘前工場 (工場見学は受け付けておりません。)

国産りんご100%のフレッシュな味わいが特長で、水や糖を使用しない「非加熱」製法でその味を実現しています。200mlの小さいサイズもラインアップしているので、ピクニックのお供など、外に持ち出して楽しむのもおすすめです。

ブランドの覚悟が詰まった「ニッカ弘前 生シードル」とは?

ニッカウヰスキー弘前工場で「ニッカ弘前 生シードル」製造担当の製造第1部部長の洞口健一と、同部の成田周平に、独自のこだわりや魅力について聞きました。

左: 弘前工場 製造第1部 成田周平 右: 弘前工場 製造第1部部長 洞口健一

―「ニッカ弘前 生シードル」の魅力やおすすめの飲み方について教えてください。

洞口 シードルというお酒はリンゴを原料としたスパークリングワインです。アルコール度数が比較的低いので、どなたにでも手軽に飲んでいただけます。

「ニッカ弘前 生シードル」は、スイート、ロゼ、ドライの三種を揃えており、食事との相性も抜群。一番人気のスイートは、少し甘みがあるので軽い料理やスイーツと合わせるのもトレンドです。私のお気に入りはロゼ。りんごの皮から出るポリフェノールが入っているので適度な渋みが魅力です。脂っこい料理と合わせても、さっぱり召し上がっていただけます。ドライは食中酒を意識して作っているので、幅広い料理によく合います。

「ニッカ弘前 生シードル」は、2年前にリニューアルしたんですよね。

洞口 シードルを造り続けて何十年も経つニッカですが、「ニッカ弘前 生シードル」は、私たちとしてもこれ以上ないと感じるほど、思い切った大胆なリニューアルを実施しました。「弘前」という地名と、製造工程で熱を加えない「生シードル」という名前を、大きく打ち出したのです。国内最大のりんごの産地である「弘前」を全国に届けるという思いと、最大のこだわりである「非加熱」が、お客様に伝わりやすくなったリニューアルだと思います。

1988年に全国発売した最初の非加熱のシードル

製造のこだわりについて教えてください。

洞口 りんごの味をそのまま閉じ込めたような味わいを目指しています。ニッカのシードルは、通年で全国のお客様のお手元に届くものなので、いつでも同じ味わいを造ることが求められます。しかし、生のりんごはそうはいきません。甘みが強かったり酸味が強かったり、時期や年によってばらつきがあります。水や糖を加えて調整するのがシンプルな方法ではあるのですが、我々はその方法は使わず、特長の違う原酒をいくつもブレンドして狙いの味に仕上げています。その他にも、ニッカが独自に厳選した酵母を使ったり、りんごの香味を損なわないように低温で発酵したり、細部までこだわっています。

成田 私はりんごを搾る搾汁という工程などに携わり、毎日目視でりんごの状態を確認して、その日その日で細かな調整を行っています。りんごのよさを少しでも無駄にしないように、丁寧に搾るように心がけています。

弘前から全国へ、青森のりんごの美味しさをもっと広めたい!

―青森出身の成田さんは、どのような想いで製造に携わっていますか?

成田 私は生まれも育ちも弘前市です。祖父母がりんご農家だったことから、青森のりんごを使った製品で社会に貢献したいという思いがありました。ニッカウヰスキーは全国に商品を展開しているので、シードルを通じて青森のりんごのよさを全国に広めたいという思いで、ニッカ弘前工場に入社しました。

りんごは奥が深い農産物で、品種によって味わいは多種多様です。それに呼応するように、シードルもりんごの品種や製法によって全く味が変わります。もっと多くの人にシードルの美味しさを知ってもらえるようになるといいなと思っています。

洞口 過去、フランスでワインの勉強をした経験があるのですが、私は、シードルにはシャンパンに負けない魅力や奥深さがあると感じています。りんごの品種や産地、製造方法によって、さまざまなタイプのシードルを作り分けることが可能なのです。今後も、シードルの美味しさや奥深さ、面白さを広めつつ、我々のこだわりも知ってもらいたいです。

伝統と革新が息づく弘前。歴史ある建築と現代アート、アップルパイやシードルに代表される食文化、そして紅葉やりんご園での収穫体験まで、何度訪れても新しい発見に出会えるはず。
この秋は、アートとシードルをキーワードに、弘前の街を歩いてみませんか。

text「ハレの日、アサヒ」編集部

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