「CO2を食べる自販機」って、ナニ!?今日知りたい環境ニュース
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自販機大国ニッポン!身近な自動販売機の歴史をひもといてみよう。
今や生活の一部になっている自動販売機。飲料や切符はもちろんのこと、最近ではケーキやサラダ、冷凍食品など様々な商品を購入することができます。日々進化している自動販売機はまさにイノベーションの宝庫。
あらゆる場所にあって、すぐに買えて便利な自動販売機ですが、日本国内に設置されている自動販売機がどのくらいあるか知っていますか。その数、なんと約400万台弱と言われています。
では、自動販売機はいつ頃世の中に登場したのでしょうか。
全国清涼飲料連合会ホームページから、その歴史をさかのぼると、なんと世界最古の自動販売機は古代エジプトの科学者ヘロンの著書「気体装置(Pneumatika)」に登場する「聖水自動販売機」と言われています。コインを入れると、その重みで水が出てくるしくみで、紀元前215年頃、寺院に置かれていたとか。こんなに古い歴史があるなんて驚きです。
現在のような自販機が登場したのは、1800年代後半、産業革命後のイギリスでした。飲料、菓子、食品、チケット、たばこなどに実用化され、基本的な技術もこの頃に開発されました。
日本に目を向けてみると、日本最古の自動販売機は、発明家・俵谷高七による「自動郵便切手葉書売下機」。切手と葉書の販売だけでなく、ポスト機能も備えたアイデア製品でした。
日本で普及し始めたのは1962年頃。アメリカの大手飲料メーカーが日本に本格進出したときをきっかけに、日本でも飲料自動販売機の本格的な普及が始まりました。ただし、これほどまでに普及したのは、日本ならではの治安の良さが大きな要因と考えられています。そして1974年頃には、日本特有の「ホット&コールド機」が登場。今は当たり前となっていますが、1台の自動販売機で温かい飲料と冷たい飲料が同時に販売できるということは、当時、とても画期的な進化でした。
日本には非常に多くの自動販売機が設置されているだけでなく、多様な商品が販売されています。そして、キャッシュレス決済や電子マネー、スマートフォンとの連携など最新の技術が導入されていることからも、まさに自販機大国ニッポンと言えるでしょう。
自動販売機がCO2を食べるってどんなしくみ!?自動販売機のトビラを開けたら、明るい未来が見えた!
そして環境面でも自動販売機は進化を遂げてきました。
現在の自動販売機にはオゾン層を破壊しないノンフロン冷媒が使われ、さらに省エネ技術がギュッとつめこまれています。例えば、午前中に商品を冷やし、電力需要がピークになる時間帯は冷却を一時停止する機能が働いています。午前中にしっかりと冷却しているので、しばらく冷却をストップしても冷たさをしっかりと保つことができるんです。
また、自動販売機には消費電力を削減できるLED証明を使っています。蛍光灯と比べてなんと消費電力を80%※も削減。その他、飲み物を冷やすときに発生する熱を商品を温める時に再利用する機能も付いていて、この熱を活用することで飲料を温める時に必要なエネルギーを抑えることができます。これらの取り組みにより、自動販売機のCO2排出量はこの20年間で約60%も削減されています。
実は環境に優しい取り組みが進んでいる自動販売機ですが、今回、新たに登場したのが「CO2を食べる自販機」です。
「自動販売機がCO2を食べる?!」って、どんなしくみなのでしょうか。
その秘密は自動販売機のトビラの奥にありました。実は、この自動販売機、トビラの中にCO2を吸収する特殊な吸収材が搭載されているんです。
この吸収材が大気中のCO2を吸い、その量は年間にすると、1台あたりスギの木20本が吸収する量と同じと試算されています。まさに「CO2を食べる自販機」を設置することで「都会の中に森を作る」イメージです。
そして、CO2を吸った吸収材をその後どうするかというと、ちゃんと活用することが決まっています。具体的には、肥料やコンクリート建材などに活用。例えば、肥料として使用することで有効活用できるだけでなく、一部の植物(ラディッシュやパンジーなど)では、生育促進が見込めることもわかっています。また、他の肥料と比較してCO2排出量を約40%削減できるため環境配慮型の肥料とも言えるんです。まさに資源循環モデルです!
「CO2を食べる自販機」は、アサヒ飲料の社長と社員の雑談のなかで「自動販売機でCO2を削減出来たら面白いよね」という何気ない会話から生まれました。「CO2を抑えるだけでなく、吸収できたら面白い」、そんな逆転の発想から生まれた「CO2を食べる自販機」、未来への贈り物と言えるかもしれません。