おでんのプロが伝授!知って得する「おでんタイムテーブル」
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まだまだ寒さが身にしみる日が続くこの時期、おうちで温かなメニューを作って、心も体もポカポカになりたいですね。今回は、おでん種には欠かせない水産練り製品の食品メーカー、株式会社紀文食品の奥津真実さんにおでんを手軽に楽しむ方法を教えていただきました。おでんを家庭で作ることは難しいと感じている方も、プロが伝授する裏技で、手軽においしいおでんを楽しんでみませんか。
INDEX
家庭でも簡単に。45分で作れる基本のおでん
― クッキングコミュニケーターとして活躍する奥津さんは、おでんの簡単な作り方やアレンジレシピなどを考案されているそうですね。おでんの調理は、少し難しいイメージがありますが、家庭で手軽にできるおでんの作り方を教えてください。
おでんというと味がしみ込んでいるイメージがあるので、じっくり煮込まないといけないのかな、と思われる方が多いと思います。どのくらい時間をかけて作られているか聞くと、2時間とか1日じっくり煮込んで作っているという方も多いのですが、紀文としては45分で簡単に調理できる方法をお伝えしています。
おいしくおでんを作るには守りたいコツがあります。「コツって何?」という方のために、紀文では45分の「おでんタイムテーブル」というものを作っています。
おでん作りでは、まず種ものの下ごしらえをしていきます。
・大根
味がしっかりとしみ込むように面取りや切込みを入れて、水から20分ほど竹串がすっと通るくらいまで下ゆでをします。ゆでた後に流水にさらすとより透明な大根になります。
・卵
卵は固めにゆでて殻をむいておきます。
・こんにゃく
両面に隠し包丁を入れた後に食べやすい大きさに切っておきます。
次にだし汁を煮立たせ、味のしみ込みにくいものから順に入れていきます。
― だし汁は温めてから種ものを入れていくんですね。我が家では、おでんだしを温める前に具を入れていました。
温めただし汁に大根を冷たい状態で入れると、浸透圧によりさらに味がしみ込みやすくなりますよ。だし汁を煮立たせてから弱火にして、そこに大根、卵、こんにゃくまたは白滝など、味のしみ込みにくいものから入れていきます。
関西でよく入れる牛すじも、関東でよく入れるちくわぶも先に入れます。また、結び昆布も最初に入れて、ここからじっくり30分、弱火でコトコト煮ていきます。
そして30分後に練り製品などを入れていきます。ここからは10~15分煮ていきます。ふっくら感を楽しんでいただきたい、はんぺんは最後の1分くらいです。
温かい汁をおたまでかけていただくと味がしみ込みやすいですよ。「くたくたに煮たはんぺんが好き」など、おでんの味の好みには個人差があるので、ご自身の好きな煮方が一番ですが、紀文としておすすめしているのがこの45分の作り方です。
このタイムテーブルは、「おでん汁の素」の箱の裏面にも記載されていますので参考にしてみてください。
手軽に汁が作れる「おでん汁の素」もありますが、ご家庭で昆布やかつお節で「だし」をとっておでんだしにするのもおいしいですよ。水に昆布とかつお節を入れて一晩冷蔵庫におくだけで、手間なく風味豊かな本格だしが作れます。
プロが教えるおでんの裏技。失敗しないおでん作り
― 45分で作れるなら、手軽にメニューに取り入れられそうです。とはいえ、おでん作りで失敗したくないという読者に向けて、おでん作りの裏技があれば教えてください。
私が料理講習会で必ずお伝えする、おでんの鉄則「十か条」をご紹介しますね。ポイントは、「準備」「下ごしらえ」「煮るとき」の3つにわかれます。
おでんの鉄則「十か条」を参考にしながら、まずは大きめの鍋を用意して、おでん種が浸るくらい汁をたっぷりと準備して作ってみてください。
おでん巡礼!おでんの種ものと地域性の興味深い関係
― 先ほど、関西では牛すじ、関東ではちくわぶを入れる家庭が多いと伺いましたが、地域によっておでんの種ものにも特徴があるのでしょうか。
そうですね。地域によっておでん種もさまざまです。当社が行った調査によると、おでんに入れる種ものの数は全国平均で8.24種類(2022年「紀文 鍋白書」より)。
一方で当社のホームページで紹介しているおでん種は約140品もあり、定番のものだけでなくさまざまなおでん種があります。その土地でよく取れる魚介や野菜から作られている食材、その地域の食卓によく並ぶ食材がおでんにも入っている傾向があります。
― 奥津さんの記憶に残っているご当地おでん種はなんですか?
私がびっくりしたおでん種は、博多のおでんに欠かせない「餃子巻」ですね。魚のすり身で餃子を巻きあげたおでん種です。
餃子は中華のイメージがありますが、餃子も和の種ものになるんだ、と驚きましたね。地域のさまざまなおでん種を知ると、皆さんもその奥深さに驚かれるのではないでしょうか。
ちくわも東西で特徴があり、焼ちくわは関東で、名古屋を境に西では生ちくわを入れるご家庭が多いようです。中四国・九州・沖縄ではかまぼこもよく入っています。
※写真はしょうゆベースの汁で煮たもの
― 地域によっていろいろなおでん種があるんですね。餃子巻はぜひ一度食べてみたいです。地域を問わず、基本のおでん種にプラスするおすすめの種ものはありますか。
例えばお子さんのいらっしゃるご家庭であれば、ウィンナーや手羽先、手羽元をプラスしてみてはいかがでしょうか。また、おでんに野菜を入れるのもおいしいですよ。キャベツやトマト、春菊などもおすすめです。
ちなみに「がん・ちく・とう・だい」といって、おでん通は「がんもどき・ちくわ・豆腐・大根」を食し、お店の腕前を推し量ったそうです。
おすすめアレンジレシピと残ったおでんの楽しみ方とは?
― 我が家は子どもたちが大のおでん好きで、冬は多い時で週に1回、少なくても2週間に1回は夕食におでんが登場します。時々はアレンジしたいな、と思うのですがおすすめのレシピがあれば教えてください。
週に1回はすごいですね(笑)お子さんがおでん好きであれば「チーズおでん」は喜ばれるかもしれません。
アツアツのおでんに、人気のチーズを組み合わせた、オシャレで新しいおでんです。とろ~りチーズと練り製品の相性が抜群ですよ。
他には、ピリ辛風にアレンジしてキムチとニラを最後にトッピングするのもおすすめです。
― おでんをたくさん作って残ってしまうことがあります。おでんのリメイクメニューがあれば教えてください。
焼おでんはいかがでしょうか。サラダ油をひいたフライパンに種ものを入れて両面をこんがり焼いた後、仕上げにバターとステーキしょうゆを加えるというものです。外はこんがり、中はジュワッとして汁を含んだおでんがとてもおいしいですよ。
また、おでんだしは、おでん種から旨みがたっぷり出ているので、最後に雑炊にするのもおすすめです。
― おでんの奥深さを知り、今後、楽しみ方が広がりそうです。奥津さんにとっておでんとはどのようなものですか?
私にとっておでんはほっとする味、温まって安心する味です。おでんは時間のかかるイメージがありますが、45分のタイムテーブル通りに作れば意外と簡単にできます。煮込んでいる間にもう1品作れたりするので、それほど難しいと思わず手軽に楽しんでいただきたいですね。
また、紀文では調理済みで手軽にご当地おでんが楽しめる「青森風おでん」、「静岡風おでん」、「名古屋風味噌煮込みおでん」なども秋冬限定商品として発売しています。
おでんは単調な味と思われがちですが、鍋と同じように自分の好きな種ものを入れたり味を変えたり、最後にはラーメンを入れたり雑炊にしたりと〆まで楽しんでいただきたいです。
冬だけでなく一年中、皆さんのご家庭のメニューになると嬉しいですね。
おでんに関するさまざまな情報が満載
おでんを愛してやまない方々がストーリーテーラーになる、おでん専用メディア
気になっていた「静岡風おでん」を「ハレの日、アサヒ」編集部員が実食。静岡ならではの種ものとして黒はんぺん、なると巻が入っています。そしてかやく粉(さばぶし・アオサ粉)も入っていて、それをたっぷりと振りかけていただく「静岡風おでん」は、ご当地さながらの味わいを楽しめます。富士山の形をしたグラスに注いだ冷たい「スーパードライ」と一緒にいただく「静岡風おでん」は格別でした!
一人で食べても家族や友達などみんなで食べてもおいしいおでん。
皆さんもアットホームなひとときに、簡単でおいしいおでんを楽しんでみませんか?