大掃除の前に知っておきたい!整理収納のプロが教える片付け術
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12月になると気になり出す「大掃除」。年末に大掃除を始めたら、あれもこれもと手を付けてしまい、結局終わらず中途半端な状態で年を迎えてしまった!という苦い経験を持つ方もいるのではないでしょうか。「ハレの日、アサヒ」編集部でも「我が家は間に合うかな…」という声が聞こえ始めています。
この解決法として、「片付け」がポイントであることをご存じですか?
今回は「片付けのプロ」で整理収納アドバイザーのスズキナオコさんに「片付け」術を聞きしました。
プロフィール
スズキ ナオコ
整理収納アドバイザー1級、2級認定講師、1級認定講師
整理収納アカデミアマスター、オフィス環境診断士、ファイリングデザイナー、衣料管理士など多数の資格を取得。
整理収納アドバイザー歴15年越え、片付けのプロとして「現場第一主義」でたくさんのお宅で片付けを行う。「お部屋が片付かないことで苦しんでいたり、困っている方がいるならば何とかしたい!」という信念で日々片付けに奮闘。暮らしに役立つブログも日々更新中。
INDEX
「掃除」と「片付け」は別もの!?「片付け」が大切な理由とは?
―スズキナオコさんは現在「片付けのプロ」としてご活躍しています。「片付けのプロ」を目指すきっかけはなんだったのでしょうか?
もともと整理をすることが好きで自宅の収納スペースを改善したりしていたのですが、約15年前に夫から「仕事にしてみたらどうか?」と言われたんです。仕事になるのかなと半信半疑だったのですが、「整理収納アドバイザー」という資格があり、さらに取得していても当時は仕事にしている人があまりいなかったことがわかりました。
仕事になることへの淡い期待を込めて取得をしたら、意外と仕事になり始めたのです。さらに片付けブームもあり、プロに片づけをお願いする人が増えていったことにも後押しされましたね。
「片付けのプロ」と聞くと、いろいろ捨ててしまうというイメージがあるかもしれませんが、整理収納アドバイザーは人に寄り添って、その人のペースや価値感に合わせて整理を進めるお手伝いをします。
―今回は「片付け」についてですが、毎年「大掃除」になるとバタバタしてしまい最後まで終わらないことがあります。原因は何だと思いますか?
この悩みはよく聞きますね。
もしかして、片付いていない状態で、掃除を始めようとしていませんか?物があると隅々まで掃除ができないですよね。そこで片付けも始めてしまうので、結果時間が足りないことになってしまうのです。実は、大掃除をスムーズに行うには事前の「片付け」がポイントなのです!
―「掃除」と「片付け」は別なのですか?
そもそもやる事が違います。きれいにする目的は一緒なのですが、掃除は「付いた汚れを取り除く」ことで、片付けは「物が散らばった状態から不必要な物を取り除き収める」という整理・収納のことです。
「片付け」をしてすっきりとした空間を作っておけば、掃除もスムーズになり時短にもつながるんですよ。また日々の生活で「片付け」を意識しておけば、すっきりとした気持ちで生活することができますよね。
「片付け」のポイントは「整理」と「収納」 収納グッズも購入タイミングがある?
―掃除の前に片付けが大切なんですね。片付けも上手な人、苦手な人がいると思います。片付けが上手になるポイントはありますか?
みなさんは一言で「片付け」と言っているかもしれませんが、私たち整理収納アドバイザーが言う「片付け」は「整理」と「収納」です。この二つを意識することで、すっきりとした空間を維持できるんです。
収納場所から必要な物、特に使用頻度が高い物を取り出す際に、スムーズに取り出すことができますか?取り出しづらいなと思った時が「片付け」が必要な時なのです。日常生活の不便を見つけ出し、「整理」と「収納」で使いやすくする仕組みを作ることがポイントです。
●片付けのポイント!
STEP1:整理する(不必要な物を取り除く)
STEP2:収納する(必要な物を使いやすく収める)
最も大切なのは「整理」をしっかりすることです。
まず収納されている物を全て出して、必要な物と不要な物を分けましょう。「不要な物=捨てる物」と考えると手が止まってしまう場合があります。ここでは、使用頻度などを軸として分けることを目的とすればスムーズに進みますよ。
さらに必要な物は「いつも必要な物」、「時々必要な物」で分けます。例えば旅行に持っていく歯ブラシなどは「時々必要な物」なので、これは旅行グッズとして別にまとめておけば、普段使っている物の邪魔にならないですよね。
―整理するにあたり、どこから始めるのが良いでしょうか
大きなところから手を出すと大変なことになるので、パーツに分けて始めるのはいかがでしょうか。クローゼットなら全体ではなく、ハンガーにかかっている部分、衣装ケースに入っている部分、衣装ケースの外にたたまれている部分で分けるのもおすすめです。
そしてその部分にある物を全部出して、着る物・着ない物、使う物・使わない物を分けていきましょう。
―整理の後は収納ですね。収納グッズは活用した方がいいですか?
すっきりした空間のお手伝いをしてくれるのであれば、是非活用してください。でも、「整理」をせずに先に収納グッズを購入すると、不要な物の居場所を作るだけになるので要注意です!
「整理」で不要な物を取り除いた後に、それらが収まる大きさの収納グッズを購入することが、すっきりとした空間を作るための重要なポイントです。
自身の身近な場所から早速実践!編集部員の自宅を片付け
「ハレの日、アサヒ」編集部の私も毎年の大掃除には苦戦中。日々片付けを意識しているつもりですが、改めて自宅の台所と洗面台の収納をスズキナオコさんに診断してもらいました。不要な物はないと思っていても、スズキナオコさんの視点で見ると不要な物が見えてきました。
―スズキ ナオコさん、まず台所の収納棚の中を全て出してみました。こうやって見ると、保冷バッグ、プラスチックスプーン、割り箸が多いです。バーベキューやピクニックに必要かと思い保管していました。
たくさんあるという事はよくバーベキューやピクニックに行かれているのですね。質問です。最近はいつ行きましたか?次の予定はありますか?
ー直近でいつ行ったか覚えていないです…。予定もないですね…。
予定がないようであれば、いつまでも使わない可能性がありますね。頻繁に使うもの、使う予定のない物で考えて仕分けしてみるのはどうでしょう。また使う時に必要な数も想像してみてください。
―なるほど!そのような視点で考えると、必要な物、不要な物が見えてきますね。
―次は洗面台の下の収納を整理します。こちらも全て出してみました。
きれいに収まっていますね。でも中身をよく見ると使い捨てスリッパの多さが目立ちますね。
ー旅行に行った際どこかで必要かと思って保管していたのですが、たくさんあったので驚きました。
旅行時スリッパがなくて困ったことってありますよね。もし不安であれば、必要な数だけを旅行グッズとしてキャリーケースの中に収納しておくとスリッパを持っていくのを忘れませんし 、今の収納場所もすっきりすると思います。
収納したことを思い出せない物は不要と判断し整理を進め、さらに取り出しにくい原因だった簡易の棚も処分!上部に空間ができたことで収納BOXの中も見え、さらに物が取り出しやすくなりました。
快適な生活を維持するには「整頓」も意識しよう
―実際にやってみて、場所も心もすっきりしました。この状態を維持していきたいです。
そういう気持ちになってくれるのが嬉しいです!
片付けのポイントは「整理」「収納」とお伝えしました。この状態を保つためにさらに意識してほしいのは「整頓」です。「整頓」は使った物を戻すことです。整理して収納場所をしっかり決めたら、必ずそこに戻すことを意識しましょう。
①整理 ②収納 ③整頓の仕組み作りをしてしまえば、すっきりした状態を維持できますし、掃除もとても楽になります。
さらに食材なら給料日前、洋服なら衣替えなど、収納の中を見直す日を決めておくのもおすすめです。限られた収納スペースを見直すだけなので意外と簡単ですよ。
―とても勉強になりました!最後に「ハレの日、アサヒ」の読者にメッセージをお願いします。
「片付け」は暮らしを快適にすることなので、ぜひ楽しんで取り組んでもらいたいです。身近な所からぜひ始めて見てくださいね!
片付けをしっかり行えば掃除が楽になるとは!今から少しずつ片付けの仕組みを作れば今年の大掃除はスムーズに終わりそうです。
日々の暮らしを快適にし、生活の質を上げるためにも意識して過ごしたいですね。
たくさんの保冷バッグは、必要な物を取り出すときに滑り落ちてくるので困っていたのは確かです。スズキ ナオコさんのアドバイスをもとに整理を進めた結果、収納棚にスペースができ、今まで棚に入りきらず外に出していた物を収納することも出来ました。部屋もすっきりです!