印象が変わる!きれいに見える!美文字を書くコツと練習法
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デジタル化が進む今、文字を書く機会は減りつつありますが、日常のちょっとした場面でも自信を持てる文字を書けたら素敵ですよね。文字は特別なセンスがなくても、ポイントを押さえるだけで驚くほど上達します。今回は、誰でも簡単に実践できる美文字のコツと練習法を、書道家の大江静芳さんに教えていただきました。新しい年の始まりに、自分の文字をより魅力的に変えてみませんか?
プロフィール
大江 静芳(おおえ せいほう)
東京生まれ。大東文化大学書道学科卒。小林勧掌に師事。9歳から書道を始め、大学卒業後自身の書道教室「静芳書塾」を開塾。都内の高校で書道講師も務める。2020年に「静芳のYouTube書塾」をスタート。個人・企業向けのペン字講座講師、ロゴ提供、各種筆耕などでも活動中。
INDEX
美文字を書くコツ1:ペンを正しく持ってきれいな「線」を書く
美文字の基本は、正しいペンの持ち方から始まります。まずは、親指と人さし指でOKサインを作りペンを軽くつまみましょう。中指は添えるだけ。3本の指が均等な力でペンにあたっている状態にします。書くときは、力を入れすぎないことが大切。指に力が入りすぎると、書く文字が小さくなったり、リラックスした文字を書くことが難しくなります。
ペンを正しく持てたら、線を書いてみましょう。右利きの場合、横線は親指でペンを右に軽く押すように、縦線は人さし指でペンを下に軽く押すように、はねは中指で押し出すイメージです。安定した線が書けるようになるまで繰り返しましょう。始筆(線の書き始め)、終筆(書き終わり)、送筆(始筆から終筆の間)を意識しながら、トン(止める)、スー(書く)、トン(止める)のリズムで書くと、よりきれいな線を書けるようになります。指・肩・腕の力を抜いてリラックスすることも忘れずに。
美文字を書くコツ2:線の間隔や隙間を均等にそろえて書く
美文字を書くには、文字の線と線の間隔や隙間を均等にそろえることも大切です。例えば「川」なら縦線、「島」なら横線の間隔が不揃いになると全体のバランスが崩れます。文字を書く前に全体の構成をイメージして、線と線が隣り合う空間をそろえることを意識しながら書いてみましょう。マス目のノートやガイドラインを利用すると、バランスを視覚的に確認しながら練習できます。
美文字を書くコツ3:「はらい」「はね」は筆脈を意識して書く
美文字には、自然で滑らかな「はらい」や「はね」が欠かせません。ペンで書く場合でも、筆脈(文字を書くときの一連の流れ)を意識しましょう。「人」を書くなら、1画目の左払いから次の動き、2画目につながるイメージでペンを動かします。縦線や左払いの始筆に斜め45度にトンと点を打ち、打ち込みを作ると、文字にメリハリがつきます。練習時には、ひらがなや漢字を中心に「はらい」「はね」を意識した文字を繰り返し書いてみましょう。
美文字を書くコツ4:左右の「はらい」は縦線より短く書く
美文字に見せるポイントは、左右の「はらい」の長さにもあります。特に「東」や「京」など、縦線を中心に持つ文字では、左右の「はらい」を縦線より短く書くと全体がバランスよくまとまります。「はらい」が長すぎると文字がだらしなく見え、短すぎると窮屈な印象を与えるため、適切な長さを意識することが大切です。練習時は、縦線を基準に「はらい」の終点を決めるとバランスをとりやすくなります。さらに左右対称性を意識すれば、洗練された印象の文字になります。
美文字を書くコツ5:「へん」は右側をそろえて書く
漢字の左側に位置する「へん」の書き方も、美文字に欠かせないポイントです。「へん」は右側に配置される「つくり」とぶつからないことを意識し、右側にそろえて書きます。例えば「海」では、「へん」が「つくり」にぶつかると詰まった印象になり、「へん」と「つくり」の間隔が空きすぎると文字の一体感が失われます。「へん」を書くときは、右側に壁があると思って、「へん」をピタッとつけるイメージで書いてみましょう。これをマスターするだけでぐっと美文字になるので、ぜひ試してみてください。
美文字を書くコツ6:漢字とひらながのバランスを意識して書く
文章全体を美しく見せるには、漢字とひらがなの大きさに注意が必要です。文章の6〜7割はひらがなを使用します。ひらがなは漢字に比べると画数が少ない文字が多いので、漢字の大きさを10としたら、ひらがなは8くらいのバランスで書くのがおすすめです。画数が少ない漢字とひらがなを組み合わせるときは、同じバランスで書きます。正方形の空間に文字をどれくらいのバランスで収めるのか、頭の中でイメージしてから書いてみましょう。
編集部も美文字にチャレンジしてみました。
無理なく続ける「10分練習」
美文字の練習は筋トレと同じです。無理なく続けるために、1日10分の練習を習慣にしましょう。短時間でも集中して取り組むことで、少しずつ効果が現れます。まずは、書く機会の多い名前や住所をきれいな文字で書くことを目指して、一文字ずつ美文字のコツをクリアしてみてください。
少し飽きてきたら、テキストやSNSなどで好きな字を書く人を見つけて、真似して書いてみましょう。真似をして書くと、その文字のいいところが見えてくることがあります。今はスマホをメモ代わりにする人も多いですが、書く機会を増やすために、小さなメモ帳を持ち歩いて看板などの文字をメモに書くのもおすすめ。毎日の積み重ねが美文字を書く力を確実に育ててくれます。
美文字の練習におすすめの3点セット
● ボールペン
黒色が濃く、書き出しのときにかすれず、なめらかに書けるもの。おすすめはインクの出がよく、乾きが速いものならゲルインクのペン。
● 下敷き
硬筆用の下敷きがおすすめ。弾力があるので滑りにくく、止めたいところで止まります。机の干渉を受けないのもいいところ。
● ノート
文字のバランスを確認しながら書けるマス目ノートは必須と言いたいですが、好きなノートを選んで、練習のモチベーションを上げるのも◎
美文字を書くコツを押さえれば、日常で書く文字が驚くほど洗練され、文字を書くこと自体が楽しくなっていきます。記事で紹介した練習法を日々取り入れて、自分だけの美文字を手に入れてくださいね。
【information】
Group Exhibition
墨、わたる展
大江静芳、CHiNPAN、根本充康
[会期]2025年1月10日(金)〜1月19日(日)11:00-24:00
[会場]肆 gallery
東京都千代田区神田神保町1-9-23
[最寄り駅] 神保町駅A7出口徒歩1分
text 「ハレの日、アサヒ」編集部
photos 北村 渉