【自分好みのコーヒーに出合う】オールプレス・エスプレッソのいつもの一杯
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2000年代前半にアメリカで生まれ、2015年頃に日本に本格上陸を果たしたサードウェーブコーヒーのトレンド。以来、コーヒーは多様化が進み、街にはさまざまなコーヒーショップが軒を連ねています。豆の産地や品種、焙煎方法、淹れ方など、さまざまな選択肢の中から自分好みの一杯を見つけるためには、まずはいろいろなコーヒーを知ることから始めたいもの。今回は2021年にオセアニアのAsahi Beverages社のグループに加わった「オールプレス エスプレッソ(Allpress Espresso)」のコーヒーを紹介します。
INDEX
ニュージーランド生まれのスペシャルティーコーヒー
日本におけるサードウェーブコーヒーのトレンドが始まった場所としても知られ、今も数多くのコーヒーショップが集まる東京・清澄白河。そんな“コーヒーの街”で、2014年のオープン以来、地元の方々に愛されてきたのが、ニュージーランドのオークランドで1989年に誕生した「オールプレス・エスプレッソ」の日本一号店、「オールプレス・エスプレッソ 東京ロースタリー&カフェ」です。
かつては材木倉庫だったという古い建物を解体、できる限り使える木材を再利用しつつ元の建物の形を生かして建て直したという、開放感溢れる店舗。同じ建物の中にはロースタリー(焙煎所)に加え、バリスタのトレーニングルームもあります。ロースタリーには一度に最大15kgまでコーヒー豆を焙煎できる焙煎機などが。平日はここで毎日焙煎を行っていることもあり、店内には常になんとも言えないいい香りが漂っています。
オールプレス・エスプレッソの特徴は、ニュージーランドで出すコーヒーの味を、日本でもオーストラリアでもイギリスでもシンガポールでも、1年中、いつでも飲めること。「他のコーヒーショップではシングルオリジン(単一産地)のコーヒーをその時々で出したりしますが、私たちはブレンドが得意で、こだわりの定番ブレンドを数種類ご用意しています。目指しているのは毎日飲んでも飽きないコーヒー。お店では一番人気の『オールプレス ブレンド』を中心にお出ししています」と、ブランディング&マーケティング・マネージャーの平良円乃は話します。
ニュージーランドで厳選した豆を熱風式焙煎機で焙煎
世界の拠点で同じ風味のコーヒーを提供するためにオールプレス・エスプレッソが最もこだわっているのが、コーヒー豆と焙煎方法です。「1つの国の豆だけ使うと味が偏るので、オールプレス・エスプレッソではいくつかの国のグレードの高い豆を掛け合わせて、複雑な風味を表現しています。豆のほとんどは、ニュージーランドのチームが品質管理をし、いいと判断して送ってきたものです」と話すのは、ロースター&トレーナーとして活躍する石田祐太。
「ニュージーランドで決められたレシピをベースに、日本人の好みに適したブレンドを焙煎しますが、豆によって多少のばらつきはありますし、気温や湿度によっても風味は左右されるので、そういう時には豆の配合や焙煎の仕方を変えたりしながらバランスを取っています」。各国のロースターとも焙煎具合などについて密に連絡を取り合いながら、ブレない仕上がりを目指しているそうです。
コーヒーの焙煎方法には、直火式、半熱風式、熱風式などがありますが、オールプレス・エスプレッソでは世界のすべてのロースタリーで熱風式を採用。熱風式とはバーナーで高温に加熱した熱風をコーヒーの生豆に当てることで焙煎するという方式のこと。石田たちが使っている焙煎機では1回の焙煎に15分ほどかかるといいます。
エスプレッソを中心に多彩な飲み方を楽しむ
オールプレス・エスプレッソの定番ブレンド「オールプレス ブレンド」は、ブラジル、コロンビア、グアテマラ、インドネシアの豆で構成。複雑なフレーバーと甘みのバランスが絶妙で、エスプレッソでも、ドリップコーヒーでも楽しめる、洗練されたブレンドとなっています。
店名に“エスプレッソ”とある通り、オールプレス・エスプレッソの軸はエスプレッソ。豊かな風味と味わいのエスプレッソをさまざまなスタイルで提供しています。特に「ロングブラック」や「フラットホワイト」は、ニュージーランドやオーストラリアで愛されているコーヒーなので、聞き覚えのないという方もいるかもしれません。
「ロングブラック」は熱湯にダブルショットのエスプレッソを注いだもの。エスプレッソの上からお湯を注ぐ「アメリカーノ」とは違い、エスプレッソの風味がダイレクトに感じられます。また、「フラットホワイト」はシングルショットのエスプレッソにフォームの少ないスチームドミルクを注いだものです。「ダブルショットのエスプレッソにミルクを注いだ『カフェラテ』よりもミルク感を感じられる、苦いコーヒーが苦手という方は『フラットホワイト』でエスプレッソを身近に感じていただけたら嬉しいですね」と石田は話します。
もちろん、バリスタの腕の見せどころとなるのはエスプレッソ!日本では圧倒的にドリップコーヒーが人気ですが、本当に美味しいエスプレッソを飲めば、考えが変わるかもしれません。もちろんそのまま飲んでもいいし、砂糖をたっぷり入れて飲んでも。圧力をかけて短時間で抽出するエスプレッソは雑味が少ないのが特徴です。
「オールプレス・エスプレッソ 東京ロースタリー&カフェ」で提供されている「オールプレス・ブレンド」のエスプレッソは、酸味や甘味、苦味などのバランスが絶妙。エスプレッソは、コーヒー豆の魅力を存分に堪能できる飲み方と言えそうです。なお、「オールプレス・エスプレッソ 東京ロースタリー&カフェ」ではドリップコーヒーも提供していますので、「慣れた味わいのコーヒーが飲みたい」という方もご安心を。
ライフスタイルに合わせてコーヒーを楽しむ
1990年代のカフェブームや、2010年代のサードウェーブコーヒーブーム、2020年代の純喫茶再評価などを経て、多様化を極めた感のある日本のコーヒーシーン。特に都市部では好みのタイプのコーヒーを出す店、好きなスタイルの店を探す楽しみも増えました。
「もともとコーヒーは好きだったのですが、2010〜11年頃、エチオピア産のイルガチェフェという豆のコーヒーに出合って衝撃を受けました。バリスタになったのは2014年。サードウェーブが出てきた頃です。その後、コーヒーの生豆の営業をしていましたが、2021年に客としてこの店に来た時の接客の感じがよくて、ここに入りました」と話す石田。オセアニアのコーヒー文化は、それまで知っていた日本のコーヒー文化とは全く違っていたといいます。
「ニュージーランドの方たちは、友達の家に遊びに行くような感じでコーヒーショップを利用しているんですよね。お店の側もウェルカム。生活の中にコーヒーがある。朝はサーフィンして海から上がったら飲んで、仕事に行く前に飲んで、仕事帰りにも飲む。歯磨きのような、当たり前のルーティンの中にコーヒーがあるんです。一方、一人あたりのコーヒー消費量が多いフィンランドやノルウェーなど北欧の国々の場合は、コーヒーを飲みながらの会話を大事にしている印象ですね」
もっと楽しむためのヒントを聞くと、「オセアニアや北欧の方たちの多くは、お気に入りのコーヒーショップやバリスタ、自分好みの飲み方を持っている。“ちょっとぬるめのオーツミルクで作ったハーフショットのラテ”みたいな注文をするのが普通のことなんです。日本でもそういう楽しみ方をする方が増えたらいいなと思っています」と教えてくれました。
ニュージーランドスタイルのおいしいコーヒーが楽しめる「オールプレス・エスプレッソ 東京ロースタリー&カフェ」。実際に焙煎しているところが見られることもあり、コーヒーをより身近に感じられる店です。お客さまとの会話を大切にしているので、コーヒー初心者の方も安心して質問ができます。こういうコーヒーが飲みたい!という希望はそのまま伝えてみてくださいね。コーヒー観が変わる一杯に出合えるかもしれません。
【information】
ALLPRESS ESPRESSO | オールプレス・エスプレッソ
オールプレス・エスプレッソは1989年にマイケル・オールプレスがニュージーランドで始めたコーヒーロースター。一台のカートでエスプレッソコーヒーを販売し始めた創業時から風味にこだわり、クリーンでムラのない熱風式焙煎に辿り着いてからは、全てのロースタリーでこの方式を採用している。現在、ニュージーランド、オーストラリア、イギリス、日本にロースタリーを持ち、2,000以上のカフェやレストランにブレンドを提供。卸先には最高の一杯を提供するためのバリスタトレーニングやエスプレッソマシンの整備・修理サービスなども行い、コーヒービジネスをトータルでサポートしている。
Allpress Espresso Tokyo Roastery & Cafe
オールプレス・エスプレッソ 東京ロースタリー&カフェ
東京都江東区平野3-7-2
[営業時間] 平日9:00-17:00、土日祝10:00-18:00
[最寄り駅] 東京メトロ半蔵門線、都営大江戸線「清澄白河」駅
Allpress Espresso Toranomon Cafe
オールプレス・エスプレッソ 虎ノ門カフェ
東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー 2F
[営業時間] 平日8:00-20:00、土日祝9:00-18:00
[最寄り駅] 東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅 、銀座線「虎ノ門」駅
Website https://allpressespresso.com/ja
Online Store https://jp.shop.allpressespresso.com/ja/
Instagram https://www.instagram.com/allpressespressojapan/
text 山下紫陽
photos 長居安寿哉