ビールと森の意外な関係。「アサヒの森」とは?
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アサヒグループは、広島県の庄原市と三次市に2,165ha(東京ドーム463個分)にも及ぶ森を所有し管理しています。その名も「アサヒの森」。アサヒビールと森は意外な組み合わせでは?と思われるかもしれません。今回は、森と皆さんの生活とのつながりを感じていただきたいと思います!
INDEX
きっかけはビールの王冠にあった!
「アサヒの森」の起源は、1941(昭和16)年、アサヒビールの前身である大日本麦酒が、広島の山林を購入したことに始まります。ビールびんの王冠の裏地に使用していたコルクの輸入が、戦争の影響で途絶えたときに備えて、アベマキの樹皮を代用品として確保するためでした。結果的には王冠の裏地には使われませんでしたが、戦後、山林はアサヒビールに引き継がれました。一部の自然林も残しながらヒノキやスギの植林を始め、自分たちで責任をもって運営できる体制を作っていったのです。
「FSC®森林認証制度」を知っていますか?
持続的でよりよい森林経営につなげるため、2001年には「FSC®FM認証」 を日本で3番目に取得しました。
FSC®FM認証は「FSC®の10原則」に基づき、適切に管理されている森林を認証するものです。「アサヒの森」では森林経営計画に基づく利用間伐などの適切な森林管理を実施しており、搬出された木材は主に建築材として市場に出荷され、一部はアサヒビールの販促品や自社オフィスの内装木質化などにも活用されています。
国宝などの文化遺産を未来につなぐ!森の役割とは?
「アサヒの森」は文化の持続可能性も視野に入れています。古くから、木は日本の文化や生活を支えてきました。しかし、かつての大伐採や拡大造林などの影響で大木が育っていないという現状があり、寺社仏閣などの大型木造文化財を修理復元するときに必要な大きな木材を国内で調達できないという問題も起きています。
そこで、アサヒグループは、「文化遺産を未来につなぐ森づくりのための有識者会議」の事業「『文化材』創造プロジェクト」に参画。2009年に「アサヒの森」の一部を「文化財の森」として登録しました。そして2021年3月には、文化庁の「ふるさと文化財の森システム推進事業」における「ふるさと文化財の森 」に食品メーカーとして初めて認定されました。
「樹齢150年以上の大木を育てる」という責任を担うとともに、日本の文化維持に貢献していきます。
「森を守る」という仕事について
「アサヒの森」は、現在、アサヒの森環境保全事務 所に4名の社員が常駐し森林経営を行っています。所長の松岡に話を聞いてみました。
松岡:2009年に社内公募で選ばれ、初めは林業に関する言葉や木の種類など全く分からずゼロからスタートでしたが、様々な社会課題解決に貢献できる森林経営に携われることを誇りに思います。また、2017年にアサヒの森環境保全事務所は、国立競技場のスタジアム外周部の軒庇に使用する広島県産スギ材を供給しました。
先輩社員の方々が大事に育ててきたアサヒの森の木がこのような注目度の高い事業に使われたことは、たいへん感慨深いものです。
そう話す松岡の、アサヒの森で撮ったお気に入りの写真は?「たくさんあるのでしぼれない…」と悩みながら選んだ2枚がこちら!
これからも森を守ることで、きれいな水や空気、自然の恵みを次の世代まで残していきます。
※アサヒグループグループホールディングスのプレスルーム、2021年6月18日の記事を再構成しています。