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思い出をカタチに。トラベルノート作家に聞く、ノートの魅力と書き方。

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思い出をカタチに。トラベルノート作家に聞く、ノートの魅力と書き方。

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思い出は、心に留めておきたい。けれど、そうはいっても忙しい毎日を過ごすうち、記憶は段々と曖昧になっていくものです。

トラベルノート作家として活動するmini_minorさん(以下、miniさん)は、旅や日々の暮らしなど、人生のさまざまな体験をノートに記録し、思い出をカタチにして残しています。今回は、そんなminiさんにトラベルノートの魅力や書き方のコツについて、お話を伺いました。

思い出が消えてしまわないように。トラベルノートを始めたきっかけ

miniさんがトラベルノートを始めたのは、今から10年前にさかのぼります。
当時、一級建築士として働いていたminiさんは、ようやく取得できた長期休暇を利用してフィンランドを旅行することになりました。目当ては、学生時代から大好きな建築家アルヴァ・アアルトの作品たち。
いざ巡ろうと計画を立ててみると、首都ヘルシンキ周辺だけでなく、郊外にまで点在していて、相当な時間と費用がかかることが判明したそうです。

「これだけ時間もお金もかけて、次いつ来られるかもわからないのに、いつものように写真を撮るだけではもったいなくて。私にとって特別な旅だったので、普段とは違う方法で思い出を残したいと考えるようになりました」

このような考えに至ったのは、ひとつの“後悔”があったと振り返ります。

「フィンランドを旅する数年前に新婚旅行でスリランカに行ったのですが、残っているのはデジカメの写真データだけ。ジェフリー・バワという建築家の作品を巡ったり、珍しい料理を食べたりしたんですけど、時間とお金をかけたわりに自分が何を感じたのかを全く思い出せなくて。せっかく貴重な体験をしたにもかかわらず、思い出が消えちゃったような虚しさや寂しさを感じたんです」

写真だけで、感情や思考までを表現することは難しい。
そこでminiさんが取り入れたのが、手書きの文章とスケッチでノートに記録する方法でした。

「フィンランド旅行のときは、そもそも記録することに慣れていなかったので、立ったままメモしたり、上手にスケッチが描けなかったりするのが苦痛でした(笑)。それでも、その場で体験を記録するという行為は楽しかったですし、後から振り返って見たときに感情がありありとよみがえって嬉しくなりました」

ノートに記録して思い出をカタチにして残せば、自分の中にどんどん蓄積されて、ちゃんと生きている実感がわく。miniさんは、トラベルノートを通して充実感に満たされるのを強く認識したそうです。

【初心者向け】トラベルノートを書くための4つのポイント

miniさんが思い出の記録先として、ノートを選んでいるのには理由があります。

「ノートには、文章はもちろん、イラストも描けるし、チケットやパンフレットを切って貼ることもできます。残したい思い出に合わせて、さまざまな表現手法を用いることができるのが、ノートの良いところです」

また、「その都度構成やレイアウトを自由に決めて書けるのもノートの長所」と、miniさんは補足しました。

「以前、『札幌焼菓子紀行』と題したトラベルノートを作ったのですが、お店の場所も訪れた日もバラバラ。でも、ノートの上でならそれら複数の思い出を1つの旅行記のようにまとめ直して楽しむこともできます」

では、実際にトラベルノートを書くには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。miniさんに初心者向けのポイントを4つ教えてもらいました。

1.“書くこと”を初めに軽くまとめておく

「いきなりトラベルノートを書こうとすると、特に初心者さんはどこに何をどのように記せば良いのか迷ってしまうものです。そんな時は以下の要素で書く内容を事前に軽くまとめておくといいかもしれません」

  • 行き先(国名や地名、店名など)
  • 日時
  • 起こった出来事(時系列で書くとわかりやすい)
  • 現地の地図(フリーの白地図などを活用しても◎)
  • コメント(感想や気付きなど感じたままでOK)

「コメントについては、今その瞬間に注目する一方で、歴史など過去に思いをはせて記すのもおすすめ。お店の人と話をするきっかけにもなります」

2. “出来事の量”に合わせたノートのサイズ選び

「私の場合、遠方への旅行は大きいノート、日々のちょっとしたおでかけは小さいノートといったように、残したい出来事の量や密度によってノートのサイズを変えています。トラベルノートを始めたばかりのころは、空白が目立つとモチベーションが下がりがち。そんな時は思い切って小さいノートにぎっしりと埋めるように書くと見返したときに濃密な時間を過ごせた気持ちになれテンションも上がります」

3. ノートは“区切り”を意識して使う

「たとえばその日1日の思い出は、ページをまたがず見開き1ページの中で完結するようにまとめると記録しやすく、後からも見返しやすいです。一覧性も高まるので思い出を一目で振り返れます」

4. シールやマスキングテープを活用して、にぎやかな雰囲気に

「私はよく街並柄のマステをノートに貼るのですが、それだけでおでかけっぽい雰囲気に仕上がります。100均にはいろいろなシールが売られているので、ぜひ活用してみてください。絵を描くのが苦手でも代わりにシールを貼れば思い出をビジュアルで表現できて便利です。例えば、カフェの思い出にはコーヒーカップのシール、キャンプの思い出には山のシールを貼ったりするだけで、ノートが彩られてにぎやかになりますよ」

トラベルノートの書き方に正解はない。大事なのは「思い出を残す目的」を忘れないこと

miniさんは、トラベルノートの書き方や思い出の残し方に正解はないといいます。
大事なのは「思い出を残す目的」を忘れないことなのだとか。

「私は、思い出と向き合うためにトラベルノートを続けています。記録としてカタチに残っていると、過ごしてきた時間が積み重なっているのが見て取れて、人生を大切に思えるんです。落ち込んだりしたときも、トラベルノートという立ち戻れる原点ができたおかげで、随分と前向きになりました」

トラベルノートを続けるうち、旅行やカフェ巡りでも人とよく会話するようになり、世界が広がって感受性が豊かになったと話すminiさん。
彼女の言葉には、トラベルノートの魅力がいっぱい詰まっていました。

インタビュー・文:権藤将輝

プロフィール

トラベルノート作家 mini_minor

北海道生まれ。遠い異国への旅から日々の暮らしまで、人生のさまざまな体験をノートという形式で組み立てて表現。2017年より建物やカフェ巡りの記録を記したノートをInstagramで公開し、フォロワー数は4.1万人に上る(2024年4月現在)。2020年に発売した初著書『忘れたくないをかたちにするmyトラベルノート』は中国語繁体字版としても翻訳され(『我的休日旅行手帖』)、台湾・香港・マカオで発売。2021年には2冊目の著書『東京イラスト建築さんぽ』を発売。トラベルノートについて、より具体的なテクニックを学びたい方は、おうち習い事アプリ”miroom”でのオンラインレッスン『mini_minorのトラベルノート教室』も好評開講中です。Instagramアカウントは@mini_minor。

Instagramアカウント https://www.instagram.com/mini_minor/


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