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日本の魅力【1】奈良愛が生んだブームの裏側!かき氷で描く未来

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日本の魅力【1】奈良愛が生んだブームの裏側!かき氷で描く未来

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皆さんは奈良と言えば何を思い浮かべますか?日本最古の都市「飛鳥」や最古の寺院「飛鳥寺」などのいにしえから脈々とつないできた歴史文化をイメージする方も多いのではないでしょうか。

歴史ある奈良で、実は近年ブームになっているのがかき氷なんです。今回は、奈良のかき氷ブームの火付け役である合同会社ほうせき箱の代表で「ひむろしらゆき祭」実行委員会の平井宗助さんに、奈良でかき氷文化の定着を目指したきっかけやかき氷で描く未来について、そして大好きな奈良の魅力について聞きました。

この記事を読めば、今度のお休みにはきっと奈良に行きたくなるはず!ぜひお楽しみください。

プロフィール

平井 宗助

合同会社ほうせき箱 代表
奈良県吉野町出身。パレスホテル(現パレスホテル東京)にて就業後、1997年に家業の柿の葉ずしの老舗メーカーに入社。2011年に代表取締役社長に就任。「なら瑠璃絵」「なら国際映画祭」の実行委員会の活動にも従事し、奈良の食文化の発信やイベント運営に精力的に取り組む。2014年「ひむろしらゆき祭」を立ち上げ、2015年にかき氷店「ほうせき箱」を開業。

かき氷に感じた無限の可能性。「ひむろしらゆき祭」を100年続く祭にするために

―平井さん、今日はよろしくお願いします。奈良のかき氷文化を牽引されている平井さんですが、そもそもなぜかき氷だったんですか?かき氷を使った地域活性に取り組まれたきっかけを教えてください。

Uターンで奈良に戻ってから、家業の経営とともに地域イベントの開催にも力を注いでいました。そして2012年、奈良市のカフェ「おちゃのこ」で出会ったかき氷のおいしさに感動したんです。「おちゃのこ」は当時から地産地消に取り組んでいて、さまざまな奈良の食材を用いてかき氷を提供されていました。使いたい食材を組み合わせることで豊富なバリエーションが生まれるかき氷に無限の可能性を感じました。

2013年に「おちゃのこ」の岡田桂子さんから「奈良でかき氷イベントができる会場を知らないか」と相談を受けたんです。「氷室神社が良いのでは?」とおすすめしたのですが、結局そのイベントは奈良では開催されませんでした。それなら自分たちでやろうと動き出します。氷室神社の大宮宮司に相談すると、「ぜひやってください!!」とお返事をいただきました。

これまで培ったイベント運営のノウハウと、東京のかき氷イベントに出店実績のある岡田さんが持つ全国のかき氷店の方々とのつながり、そして氷室の守り神を祀る氷室神社という奈良ならではの文化とストーリーに大きな期待と確信をもって実行委員会を立ち上げました。氷室神社の拝殿の周りをお借りして2014年8月に第一回「ひむろしらゆき祭」を開催しました。

―かき氷に感じた無限の可能性と、皆さまとのご縁がきっかけなのですね。それまでなかったイベントの開催は大変だったのではないですか?

地元の奈良以外のお店にも出店してもらったので、とにかく「お客さまが集まらなかったらどうしよう」と集客に不安があったんです。そこで「なら燈花会」という奈良公園一帯を約2万個のろうそくの灯りで照らす、奈良の夏で人が一番集まるイベント期間中の土日に開催することにしました。ところが台風の影響でその日の「なら燈花会」は中止になってしまって…。でも当日は小雨だったので、思い切って「ひむろしらゆき祭」は開催することにしたんです。

結果として二日間で約3,000人のお客さまが集まり、かき氷の人気を実感しました。これなら単独で集客できるとわかったので、翌年は開催月を7月にして実施。会場に入りきれないくらいお客さまがみえました。会場のキャパシティと出店者の皆さんの繁忙期を外すこと、熱中症の心配もあって、場所や時期を変えるなど今も試行錯誤を続けながら継続しています。

「kakigori ほうせき箱」の看板メニュー「大人の抹茶DX」
「大人の抹茶DX」は大和茶を使用。隠し味のラム酒やコーヒー豆がアクセント

―常にブラッシュアップしながら開催されているのですね。運営にあたってどのようなことを大切にされているのでしょうか?

一過性のイベントではなく、「氷室さん」を中心に継続して受け継がれる「祭」というところにこだわっています。氷室神社では毎年5月に氷の柱などを奉納し氷業界の繁栄を祈願する献氷祭が行われています。「ひむろしらゆき祭」もその献氷祭の一環という位置づけです。氷室神社のご加護の下で開催するからには神賑(かみにぎわい)行事として、地域に根付いた食文化として、50年、100年と続く祭りにしたいと。そのためにきちんと継続できることを大事にしています。

―2024年はどのような形での開催なのですか?

第11回「ひむろしらゆき祭」として3/24、25に奈良公園のバスターミナル1階で、かき氷の提供とかき氷関連事業者の情報交換シンポジウム「ひむろしらゆきフォーラム」を開催します。そして5月の献氷祭前までの3/30~4/30を「ひむろしらゆき月間」として、全国各地のかき氷店がそれぞれの地で期間中の特別メニューを提供します。氷室神社をストーリーの中心に置きつつも、奈良だけではなく全国の皆さんで一緒にかき氷を盛り上げていけたらと思っています。

点でなく面で広げる。奈良そして日本の観光資源としてのかき氷で描く未来

―全国各地に参加店舗があるのですね。自社だけではなく、業界を盛り上げることを大切にされているのですね。

「せっかく奈良で繁盛するようになったんだから自社で独占しようと思わないんですか?」と聞かれることもあるのですが、やはり大好きな奈良に恩返ししたいという思いがあるんです。奈良の食文化をより多くの方に体験してもらって奈良の食のイメージを向上したい。そして、せっかく奈良に来てくれたお客さまに長く滞在してもらいたいんです。

他県に比べて宿泊施設も多くない奈良では、平均滞在時間が4時間ぐらいと言われているんです。かき氷は夏場だと2軒3軒はしごしながら食べられるので、長く滞在してもらうきっかけになります。思わずはしごしたくなるには、ケーキ屋や和菓子屋、フランス料理店などの本業の特徴を生かしたかき氷があったらおもしろいと思って、最初は知り合いのお店に声がけして「今かき氷がおもしろいんですよ。一緒にやりませんか?」と布教していきました。

フランス料理の方が作るかき氷は素材も技術もフレンチなんですよ。和菓子の方が作るかき氷は素材も技術も和菓子で。そうやって広げていくうちに、イタリアンのお店、蕎麦屋、タイ料理屋、米屋、花屋、中華料理屋の方々までかき氷をやってくれるようになって。バリエーションが無限に増えていくのもかき氷の魅力ですよね。

―「奈良かき氷ガイド」もそのような思いから発行されているのですか?

氷室神社の大宮宮司から、「年間通じて奈良に足を運んでもらえるような周辺マップを作ったら」とアドバイスをいただいたことがきっかけです。最初は氷室神社の周辺でとも考えたのですが、それだとやっぱり狭いので、奈良県全体に広げることによって、お客さまに周遊してもらえたらなと思って範囲を広げました。もしかすると宿泊も兼ねてのツーリズムになる可能性もありますし、50年、100年と続けていくことの素地になるんじゃないかと思って、「ひむろしらゆき祭」の運営をしながらガイドも作っています。

「奈良かき氷ガイド」エリアマップ

集客において強力な点を持つのも本当に大事なんですけど、点に来た方を面で長く滞在してもらうこともとても大事で、両輪でやっていくことが必要だと思っています。

海外から奈良だけでなく日本にかき氷を食べにくる。そんな日本を代表する食文化としてかき氷を育てたいです。

―海外の方にも日本のかき氷文化が広まるのは素敵なことですね!

海外の料理関係者にかき氷のおもしろさを伝える活動も始めました。台湾や韓国にも伝統的なかき氷文化はあるんですけど、日本風の繊細で楽しいかき氷店も少しずつできていっています。台湾、香港、オーストラリア、アメリカ、ドイツ、マレーシアなどなど。もっといろいろな国の人たちに日本のかき氷を知ってもらって、その国の食文化や素材、技術を使った新しいかき氷が生まれると楽しいなと思っています。
そして数年に一度?、オリンピックや万博のようにどこかでかき氷イベントを開催して、それぞれのかき氷を楽しめるようになるのが夢ですね。

去年はオーストラリアに、今年はドイツに行くことになっています。ドイツの星付きのシェフにワークショップを通じて日本のかき氷を体験してもらって、コラボメニューを作る計画を立てています。毎年1カ国ずつくらいかき氷の魅力を伝える活動もできたらなと思います。

1月~5月頃の限定メニュー「奈良いちご氷」、奈良のブランドいちご「古都華」がたっぷり入っている。奈良植村牧場のミルクやマスカルポーネクリーム、西吉野産純粋蜂蜜などどこを食べてもさまざまな味わいが楽しめる。(画像提供:ほうせき箱)

平井さんがおすすめする「かき氷好きさん」入門

かき氷ファンの方を「かき氷好きさん」とも呼んでいます。いろいろなかき氷店に行ってみて、お気に入りを見つけるのもかき氷好きさんの楽しみ方の一つです。
具体的には、

①推し店主を見つける
かき氷好きさんの中には、店主に推しがいる方もいます。そのかき氷店が他地区の百貨店イベントに出店するときには追いかけて遠征するんです。店主の皆さんもイベント出店時には限定作や新作など魅力的なかき氷を提供するし、遠征の先々で店主とコミュニケーションを取るのもおもしろいと思いますよ。

②かき氷の素材や作り方に着目する
地域の食材や季節の素材を使ったかき氷も多いですし、その店の本業に着目すると、「和菓子屋だから和の食材を使ってこんな風にかき氷を作るんだ」と店の色も見えてきます。

③飲食店としての好きを見つける
店の雰囲気が良いとか店員が優しいといった居心地や、おしゃれな器に入って提供されるのがかわいいといったビジュアルの部分でも好きな店が見つかると思います。

④スタンプラリーのように写真を撮り集める
SNSにかき氷だけの写真を載せてるかき氷好きさんもいますよ。スタンプラリーのスタンプのように食べたかき氷の画像を撮り貯めていくのも楽しいんじゃないでしょうか。

平井さん厳選!かき氷と合わせて楽しみたい奈良のおすすめスポット

奈良には1,300年以上も続く営みがすぐ身近に残っています。間近に触れたり、少し調べてみたりすることでわかるおもしろさがあって、興味を持つとどこまでも奥深いストーリーがある。そんな奈良のおすすめを厳選して2つ紹介します。

朝の奈良公園

奈良の一番好きなところは、駅から歩いて15分ほどで豊かな自然が広がっているところ。特に朝の奈良公園周辺が大好きで、しょっちゅう通って写真を撮っています。野生の動物がこんなに身近にいて、触れ合うことができること、人の手があまり入っていない自然環境の中で、野生動物が息づいている光景を見られることは子どもたちにとっても最高なんじゃないかなと。奈良に来たら、朝の奈良公園には絶対に行ってみてください!

四季折々の変化が楽しめる自然と鹿(平井さん撮影)
雪景色と鹿(平井さん撮影)

東大寺二月堂の仏教行事「修二会(しゅにえ)」

僧侶(練行衆/れんぎょうしゅう)が二月堂本尊の十一面観音に罪や過ちを悔い、世界平和と人々の幸福を祈る行事です。752年に始まってから一度も途絶えることなく、今年で1273回を数えました。3月1日からの二週間で、本尊に備える香水をくみ上げる行事があることから「お水取り」と言われ、春の訪れを告げる行事として知られています。

二月堂の欄干を走るお松明(平井さん撮影)
二月堂下の閼伽井(あかい)へ「お水取り」に向かう童子の皆さん(平井さん撮影)

・お松明
練行衆が二月堂にあがるとき、先導する道明かりとして灯されます。二月堂の舞台の上で、担ぎ手である童子(どうじ)が、お松明を振り回したり、欄干から突き出して走ったりするんです。お松明が暗闇を駆け抜けて火の粉を散らす様子は、圧巻ですよ。

・声明(しょうみょう)
礼堂の中で執り行われる声明は、十一面観音の周りで練行衆が唄う美しい音楽がとても印象的です。鐘や鈴などの楽器と厳かで艶のある声、揺らめくろうそくの光、観音様の周りにかけられる白布の奥で執り行われる業の影、装束をつけている方々の所作の数々。神事としてももちろん興味深いですし、芸術的でもあります。

・練行衆
祈願する練行衆は11人で毎年12月に発表されます。自分の推しのお坊さんや初めて参加するお坊さんなど練行衆にも注目しています。

お話を聞いてかき氷で描く未来にワクワクしました!皆さんもかき氷を食べに行きたくなりましたか?全国のかき氷を応援して、奈良にもぜひ行ってみてくださいね。

店名:kakigori ほうせき箱
住所:〒630-8222 奈良市餅飯殿町47番地
電話:0742-93-4260
公式Facebook:http://www.facebook.com/housekibaco/
公式Instagram:@housekibaco
SOUSUKE公式オンラインショップ:https://sousuke-kakiha.com/

ひむろしらゆき祭公式Instagram:@himuroshirayuki
ひむろしらゆき祭公式X:@himuroshirayuki

奈良かき氷ガイドWEB:https://nara-kakigori.com/

平井さんの鹿活Instagram:@lovenaradeer

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