レトロ建築巡り!ニッカウヰスキー余市蒸溜所「旧竹鶴邸」
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「日本のウイスキーの父」竹鶴政孝。彼が夫人のリタと暮らした邸宅が、ニッカウヰスキー余市蒸溜所の敷地内にあることをご存じですか?夫妻の生活様式を反映したスコットランド出身のリタの生活様式も取り入れた和洋折衷のスタイルが特徴的な「旧竹鶴邸」は、建築好きの方にはきっとたまらないはず。今回は竹鶴夫妻のこだわりがぎゅっと詰まった邸宅にフォーカスして紹介します。皆さんも小樽から少し足を延ばして、歴史ある建造物を訪れてみませんか?
※「旧竹鶴邸」を含む蒸溜所見学案内は現在、予約制となります。ご予約はこちら
INDEX
ニッカウヰスキーの原点、余市蒸溜所
余市蒸溜所は、ウイスキーづくりの理想郷を求めた政孝が開いたニッカウヰスキー初の蒸溜所です。
1918年に単身スコットランドへ渡り、本場のウイスキーづくりを学んだ政孝。ウイスキーの味わいにはその土地の自然や風土が大きく影響するため、彼は帰国後、日本各地を巡り、スコットランドに似た気候と自然環境を探し求めました。「1人でも多くの日本人に、本物のウイスキーを飲んでもらいたい」という思いのもと、政孝が辿り着いたのが北海道の余市です。冷涼で湿潤な気候、豊かな水源と澄んだ空気がそろった場所は、まさに日本のスコットランドと称される理想郷。1934年、ニッカウヰスキーの前身である大日本果汁株式会社を余市に設立しました。
レトロな建築「旧竹鶴邸」を心ゆくまで堪能しよう
スコットランドで出会った政孝とリタ。リタの弟の柔術の教師として一家と過ごす時間が増えていくうちに、惹かれ合うようになりました。リタ家で過ごしたクリスマスパーティーでは、プディングの中に政孝は6ペンス銀貨を、リタは裁縫に使う指ぬきを引き当てました。硬貨と指ぬきを引き当てた2人は運命の相手であるという言い伝えがあります。まだ国際結婚が珍しかった当時、リタは家族や親戚の反対を押し切ってなお、住み慣れた故郷のスコットランドを離れることも厭いませんでした。2人が生涯固い絆で結ばれていたことは、ともに暮らした住居からも感じられます。
余市蒸溜所の敷地内に位置する「旧竹鶴邸」は、竹鶴夫妻が暮らした余市郊外の住居を2002年に移築したものです。現在は玄関ホールと庭園を公開していますが、今回は不定期で開催している有料イベント「プラチナムVIPツアー」の参加者だけが見ることのできる部屋も特別に紹介します。それでは早速散策してみましょう!
入口には、リタがホームシックにならないよう、スコットランドで住んでいた家に似せた石造りの玄関があります。水色の外壁や出窓、煙突は海外の建築を思わせる外観ですね。
玄関ホールの窓の内側には、木製の障子があります。外観は洋風ですが、和の要素も取り入れられており、和洋折衷の内装を楽しむことができます。
ここからはプラチナムVIPツアーの参加者だけが見られるエリアです。
当時を再現した応接間は、天井が高く、照明などは洋風ですが、家具など所々に和の風情が感じられます。ダイニングテーブルには、料理好きだったリタお手製の料理が並んでいたのでしょう。
リタの寝室に設けられた洗面台は、身長167cmのリタが使いやすいよう高めにつくられています。ピンクと緑のタイルからセンスの良さを感じますね。
クローゼットには上質な生地でつくられた、貴重なオーダーメイドの服も残されています。
読書が好きだったリタへ、誕生日プレゼントとして毎年本を贈っていた政孝。そこには「from your loving husband Massan」など、リタへの愛にあふれるメッセージが。
リタの寝室の隣には政孝が使っていた和室があります。愛用の書類入れや洋酒瓶立てなどの小物も見どころです。また、寝ているリタを起こさないようにと隠しトイレが設置されていて、政孝の思いやりを感じ取ることができます。
至る所に施された「竹」と「鶴」のモチーフからは政孝の遊び心が伺えます。皆さんもぜひ見つけてみてくださいね。
【番外編】プラチナムVIPツアーでは、正門アーチの上にある「貴賓室」を訪れることもできます。
階段を上ると、まず目に飛び込んでくるのがブラックニッカのキャラクターとしておなじみの「キング・オブ・ブレンダ―ズ」のステンドグラス。その左手に位置する部屋の窓からは、蒸溜所のシンボルである建屋を間近に楽しむことができます。
いかがでしたか。余市蒸溜所には他にも、リタの生まれ故郷であるスコットランド料理が楽しめる「RITA’s KITCHEN(リタズキッチン)」や、ニッカウヰスキーの歴史や未来への取り組みに触れられる見学施設「ニッカミュージアム」など、見どころが盛りだくさん。「リタズキッチン」や「ニッカミュージアム」は予約なしで利用できます。こちらもぜひ訪れてみてくださいね。