竹鶴ピュアモルト、30周年へ。「伝統のウイスキー」の新たな挑戦
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ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝の名を冠した「竹鶴ピュアモルト」。北海道 余市蒸溜所と仙台 宮城峡蒸溜所という個性の異なるモルト原酒をブレンドし、繊細な飲み心地でニッカを代表するウイスキーです。
その竹鶴ピュアモルトから、2026年より5年間にわたって、「竹鶴ピュアモルト エッセンシャルズ」シリーズが数量限定で幕を開けます。第1弾のテーマは、創業の地・余市蒸溜所。ウイスキーづくりを始めて以来、今も継承し続ける石炭直火蒸溜由来の香ばしさを際立たせながら、竹鶴ピュアモルトらしい繊細な飲み心地を表現しました。
「竹鶴を伝統的でクラシックな印象のウイスキーではなく、“粋な大人のウイスキー”として伝えていきたいんです」
そう語るのは、ブランドマネージャーの織田大原。2030年のブランド発売30周年に向けた、「竹鶴ピュアモルト」の新たな挑戦について聞きました。
織田大原 希美(おだおおはら のぞみ)
ニッカウヰスキー マーケティング部 ブランドマネージャー
2025年9月から「竹鶴ピュアモルト」を担当。過去に5年ほど洋酒やワインの営業担当として、ニッカウヰスキー創業の地・北海道での勤務経験もある。髪の色はニッカウヰスキーの新たなマスターブランドカラーであるブルーグレイに合わせている。
INDEX
創業者の名を冠する、ニッカにとって特別なウイスキー
「竹鶴ピュアモルトは、ニッカウヰスキーにとって非常に重要なブランドです。でも、その本当の価値や奥深さはまだ十分に伝わりきっていないと感じています」
織田大原は、そう話します。
「竹鶴ピュアモルト」は、2000年に誕生したブランドです。名前の由来はニッカウヰスキー創業者であり、“日本のウイスキーの父”とも呼ばれる竹鶴政孝。創業者の名前を商品名に冠することは、社内にとっても大きな覚悟をともなうものだったといいます。
「当時のニッカウヰスキーの営業担当者たちが新ブランドの名前が『竹鶴』だと知ったときに、あまりの重責さに言葉を失った、というエピソードがいまでも社内で語り継がれています。創業者の名前を呼び捨てにできない、絶対に失敗できない、という感覚すらあったそうで、それくらいニッカにとって、『竹鶴政孝』という名は大きいのです」
竹鶴ピュアモルトの最大の魅力は、余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所で育まれたモルト原酒をブレンドしている点にあります。力強く個性的なモルト同士を合わせながらも、ただ強さを足し算するのではなく、飲み心地よく調和させていく。
「強いものを組み合わせて、さらに強いものにするのではありません。日本らしい“引き算”の美学で、柔らかさのなかに、決してブレない芯のある味わいに仕上げている。そこが竹鶴ピュアモルトの唯一無二の魅力です」
一方で、その背景にある物語や名前の重みは、まだ広く知られているとは言えません。
NHK連続テレビ小説『マッサン』をきっかけに、竹鶴政孝という人物の存在は広く知られるようになりました。反響は想定を大きく上回り、竹鶴ブランドも急速に販売が拡大。その結果、原酒不足という課題にも直面することになり、商品を十分にお届けできない状況が続きました。そうした中で積極的なコミュニケーションを行うことは難しく、竹鶴ブランドとしても、長らく大きな発信を控えざるを得なかった背景があります。
だからこそ、2030年のブランド発売30周年に向けて、改めて竹鶴ピュアモルトの本質を伝えていく。そのために始動するのが、「竹鶴ピュアモルト エッセンシャルズ」です。2026年から2030年までの5年間、毎年異なるテーマで数量限定で発売されるこのシリーズの名には、「本質」「不可欠なものという意味が込められています。
第1弾は余市。石炭直火蒸溜が生む香ばしさと、竹鶴ピュアモルトの繊細さの融合
第1弾となる「竹鶴ピュアモルト エッセンシャルズ 2026」のテーマは、北海道・余市蒸溜所。ニッカ創業の地であり、竹鶴政孝が理想のウイスキーづくりのために探し求め、辿り着いた場所です。今回、織田大原が特に着目したのが、余市蒸溜所で受け継がれてきた石炭直火蒸溜(*)でした。現在では世界的にも極めて希少となったこの製法は、熟練の職人が石炭をくべ、ポットスチル(蒸溜器)を直接熱することで、ウイスキーに独特の香ばしさ、複雑味、そして骨太な力強さをもたらします。
※石炭直火蒸溜:現在では世界的にも希少となった蒸溜法で、石炭を燃やした火でウイスキーを蒸溜するための銅製の釜(ポットスチル)を直接熱する製法。火力の調整が難しく、熟練の職人の技が求められるが、適度な焦げが生まれることで独特の香ばしさとコクのある味わいを生み出します。
「今回は、“余市から竹鶴を再発見する”というテーマのもとで開発を進めました。伝統的な石炭直火蒸溜由来の香ばしさを、竹鶴のなかにどう表現するか。ブレンダーと何度も対話を重ねました」
開発期間は約1年。複数の原酒を組み合わせながら、竹鶴ピュアモルトが持つ繊細な飲み心地と、余市らしい力強さの完璧なバランスを模索していきました。そして最終的に採用されたのは、余市らしさが最も強く表れた個性的なサンプルだったそうです。
「シリーズの幕開けとなる初年度だからこそ、まずはしっかり個性を出したかったんです。竹鶴ピュアモルトらしい飲み心地は大切にしながら、余市の力強さも感じてもらえる記憶に残る一本を目指しました。」
実際にグラスを傾けると、モルティで香ばしいクッキーのような香りに、アプリコットジャムを思わせる甘酸っぱさと、穏やかな樽香がふわりと重なります。口に含むと、モルトの甘さとピートのコクが調和した厚みのある味わいが広がり、余韻には穏やかなピート香と樽由来のほろ苦さが心地よく続きます。
さらに今回のエッセンシャルズには、竹鶴ピュアモルトが誕生した2000年に仕込まれた貴重な原酒も一部使用されています。
「2000年当時は、ウイスキー需要が低迷していた“冬の時代”でした。原酒の生産量そのものが厳しく絞られていた時代です。それでも未来を信じて挑戦し、生まれたのが竹鶴ピュアモルトでした。だからこそ、その当時に仕込まれた原酒を、今このエッセンシャルズに繋げられることには、言葉にできない特別な思いがあります」
“伝統的”だけじゃない。竹鶴を、もっと粋で洗練されたウイスキーへ
織田大原がこの5年で挑戦していきたいと考えているのが、「竹鶴ピュアモルト=伝統的なウイスキー」という旧来のイメージを、新しく塗り替えていくことです。
「もちろん、『伝統的なウイスキー』という印象は、一朝一夕ではつくれない、長く愛して下さるお客さまがいらっしゃるからこそのイメージだと思います。ただ、ブランドの価値を見つめ直したときに、竹鶴というブランドにはもっと洗練された粋なイメージがふさわしいと思うに至りました」
創業者・竹鶴政孝は、ウイスキーづくりに生涯を捧げた一方で、テニスや釣り、ハンティングをこよなく愛し、スコットランド出身の妻・リタとともにハイカラな暮らしを楽しんだ人物でした。当時としては非常に先進的で、異国の新しい文化や価値観を、自然に取り入れていた人でもあったのです。
「伝統を大切にしながらも、新しい文化や楽しみ方を柔軟に取り入れ、生きることを愉しむ。そんな竹鶴政孝の生き方は、今の時代だからこそ、より多くの人の心に響く“粋さ”があるのではないかと思っています」
こうした価値観を踏まえて、織田大原は「飲み方にルールはない」と言い切ります。ストレート、水割り、ハイボールはもちろん、ときにはコーラで割ったっていい。食前、食中、食後、どんなシーンでもいい。
「高価格帯のウイスキーほど、“こう飲むべき”という見えないルールや空気感が生まれがちですよね。でも本来、ウイスキーはもっと懐が深くて、自由度の高いお酒。竹鶴も、自分の好きなスタイルで自由に楽しんでいただきたいです」
そんな“自由で粋な大人のウイスキー”という世界観は、「竹鶴ピュアモルト エッセンシャルズ」のパッケージにも表現されています。
2026年版では、竹鶴ピュアモルトのブランドカラーである黒から、シングルモルト余市のブランドカラーである濃藍へと移ろうグラデーションを採用。重厚感の中にも、どこか軽やかさや未来への広がり感じさせるデザインに仕上げました。
さらに背景には、旧竹鶴邸の畳の縁をモチーフにした模様があしらわれています。竹と鶴の意匠が織り込まれたその柄には、これまでニッカが受け継いできた歴史と、日本的な美意識が静かに息づいています。この意匠の着想源のひとつになったのが、竹鶴政孝の“粋”な美意識。ウイスキーづくりだけでなく、暮らしやインテリアにもこだわりを持っていた彼の感性を、さりげなくデザインに落とし込みました。
2030年の30周年に向け、5年間のエッセンシャルズがずらりと並び、通常の竹鶴ピュアモルトとともに飲み比べを楽しめる――そんな未来を、織田大原は思い描いています。
「完成された歴史あるブランドだからこそ、その揺るぎない土台の上で毎年新しい表現に挑戦できる。竹鶴には、私たちがまだ引き出せていない新しい魅力の『余白』が、たくさん残されていると思っています」
長年愛されてきたクラシックな名作に、あえて新しい風を吹き込む「竹鶴ピュアモルト エッセンシャルズ」の5年間の挑戦。伝統を「守る」だけでなく、「粋に楽しむ」という織田大原の言葉は、ウイスキーの新しい扉を開けてくれるようなワクワク感に満ちていました。今年の6月、まずは第1弾の1本から、その自由な味わいを体感してみてください。
竹鶴ピュアモルト エッセンシャルズ2026
発売日:6月16日
発売数量:国内1万本、海外1万本

