キャリアはすべてつながる。大山崎山荘美術館館長の挑戦
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アサヒグループには、会社の枠を越えて自分の世界を広げながら働く社員がいます。
今回ご紹介するのは、アサヒグループ大山崎山荘美術館(以下 大山崎山荘美術館)で館長を務める大西 隆宏。
営業、秘書、総務、海外事業など多彩な経験を重ねてきた大西は、なぜ学び続け、挑戦を重ねるのか。開館30周年を迎える美術館の魅力とともに聞きました。
INDEX
歴史と自然が息づく、大山崎山荘美術館へ
門をくぐり、自然の中を抜けると圧巻の建物が姿を現します。そこが大山崎山荘美術館。
大山崎山荘美術館は、大正から昭和初期にかけて実業家・加賀正太郎が築いた山荘を保存・再生し、1996年に開館しました。
館内では、朝日麦酒(現 アサヒグループホールディングス)初代社長・山本爲三郎が支援した民藝運動にゆかりの作品や、
モネの《睡蓮》連作などを鑑賞できます。山本爲三郎と加賀正太郎の深い親交を背景に、歴史・文化・自然が調和した特別な空間です。春は新緑、秋は紅葉と、季節ごとの表情も楽しめます。
キャリアはすべてつながっている。その時々で新しい発見と成長がある
「経営資源は人・物・金・情報と言われますが、その中でも一番大切なのはやはり『人』です」
そう話すのは、アサヒグループ財団 大山崎山荘美術館館長の大西 隆宏。
受付・喫茶スタッフや学芸員、管理・広報部門、さらには警備や清掃、庭園管理、送迎バスの運転手まで、多種多様なプロフェッショナルが関わる美術館を大西は、「ダイバーシティの塊のような職場」と表現します。一人ひとりが持つ専門性を最大限活かしながら、全体として最高の体験をお客様にお届けする。そのために、人を中心に据えながら、美術館の運営を支えています。
「働く人が楽しい、幸せだと感じられてこそ、お客様にも自然な笑顔やホスピタリティが伝わる」と話す大西。
お客様の満足度向上のためにも、まずはスタッフがいきいきと働ける職場づくりを大切にしています。
大西は1993年にアサヒビールに入社して以来、総務、営業、秘書、海外事業などさまざまな職種を経験し、2024年に大山崎山荘美術館の館長に着任。自身の歩みを、大西はこう振り返ります。
「歩んできた道のりは一つではありませんが、その時々の経験が、少しずつ今の自分を形づくっていますね」
営業では社会人としての基礎を学び、秘書時代には経営的視野を広げ、中国農業事業では困難な交渉を通じて粘り強さと責任感を磨きました。どんな部署にいても一貫して意識してきたのは、「この仕事がアサヒの価値向上にどう貢献しているか」という視点。
「役割や場所が変わっても、その想いは変わりません。今は美術館という舞台で、お客様に感動していただき、アサヒグループへの信頼や親近感を育むことに全力を注いでいます」
学び続けることで仕事の景色が変わる。資格取得の本質とは
中小企業診断士、ワインアドバイザー、秘書検定など、大西は多くの資格を取得してきました。しかし、その背景には「資格そのものが目的ではない」という思いがあります。
「日々の業務に追われていると作業をこなすことが目的になりがちでした。『自分の仕事にはどんな意味があるのだろう』と悩んでいた時期の転機になったのが、総務時代に取得した『衛生管理者』の資格でした。体系的に学ぶことで、職場環境の整備や安全管理が会社の基盤を支える重要業務だと腹落ちし、仕事への納得感が劇的に高まったんです」
その経験以来、大西にとって学びは、「知識を増やすため」だけでなく、「仕事の意味を深く理解するためのもの」になりました。
「例えば営業時代、経営やマーケティングを学んだことで、お客様からの要望を単なる『作業依頼』として受け取るのではなく、『なぜその要望が必要なのか』『お客様はどんな経営課題を抱えているのか』という背景まで深く想像できるようになりました。相手の立場や仕事の意味が見えると、目の前の作業が生き生きとした価値に変わります。今の仕事をもっと面白く、充実させるために学ぶという姿勢は今も変わりません」
昨年は館長就任にあわせて学芸員の資格を取得。現在はさらに知識を深めるため「美術検定」に挑戦するなど、その学びへの探究心は衰えることがありません。
「お城巡り」が教えてくれた、人と文化を結ぶ視点
大西の趣味の一つはお城巡り。そのきっかけは、学生時代から読み続けている歴史小説です。司馬遼太郎作品をはじめ、多くの歴史小説に親しむ中で、物語の舞台となった城や城下町を実際に訪れるようになり、いつしか全国のお城を巡ることが楽しみになったそう。
お城巡りの魅力は、歴史を学ぶことだけではありません。
その土地の文化や人々との会話を広げるきっかけにもなっていると話します。
「お城や地域の歴史という共通言語があると、旅先で出会う初対面の方とも自然と会話が弾むんです。その土地の文化や気風への理解が深まり、人との距離がぐっと縮まる面白さがあります」
「歴史や文化を通じて人と深くつながる視点」は、現在の美術館運営にもしっかりと息づいています。城郭や史跡を巡る中で培われた歴史的・文化的洞察力は、美術品や建築、そしてお客様と対話するための大切な土台となっているのです。
積み重ねた経験を、これからの社会と次世代へ還元したい
これまで営業、秘書、総務、美術館運営など、さまざまなフィールドでキャリアを重ねてきた大西。
自身の今後について、こう語ります。
「どこへ行くかというキャリアの場所よりも、『与えられた場所で全力を尽くすこと』を何より大切にしてきました。50代後半となった今、考えるのはこれまで培ってきた知識や経験を、どのように社会や次の世代へ還元していくかです。特に美術館をはじめとする文化・公益の領域には、人々の心を豊かにする大きな可能性と社会的意義を感じています。今後も何らかの形で関わり続けていきたいですね」
「自分の経験が正解だとは思いません。けれど、もし誰かの参考になるなら、これまで歩んできた道のりを伝えていきたいですね」
目の前の仕事に全力を尽くし、その場所で学び、挑戦を重ねてきた大西。これまでの経験を糧に、次は誰かの一歩を支える側として歩み続けます。
開館30周年。全作品公開の「モネ展」と限定オリジナルスイーツ
10年ぶり!クロード・モネ所蔵作品「全点公開」
開館30周年という節目を迎えるアサヒグループ大山崎山荘美術館。「訪れるたび、心がうごく」をテーマにした記念サイトを公開し、
1年間を通して特別な企画展や講演会を開催中です。企画展では、1年をかけて当館コレクションの軸のひとつであるモネ作品全8点を第1期、第2期に分けて6点ずつ展示します 。
全点公開は10年ぶりとなる貴重な機会です。ぜひこの機会にご堪能ください。
さらに、モネ展とあわせてご覧いただける、趣向を凝らした3つの30周年記念展も順次開催されます。
歴史と自然を感じる喫茶室の「企画展限定スイーツ」
本館2階の喫茶室では、季節の景色を望むテラス席や歴史ある館内で、展覧会にちなんだオリジナルスイーツを楽しめます。
9月6日までは民藝運動を代表する陶芸家・濱田庄司のスリップウェアの美しい模様をイメージした「スリップウェア・ケーキ」と、モネが残したレシピを参考に作られた、鮮やかな緑の(仏語でvert/ヴェール)が目を引くケーキ「ガトー・ヴェール・ヴェール」を楽しむことができます。次回「ジョルジュ・ルオー展」が始まる9月19日(土)からは、また新たなスイーツが登場する予定です。
●喫茶室のご案内
特製スイーツセット 1,500円 単品 990円
※表示価格は2026年8月時点のラインナップと価格です。最新情報は公式HPをご確認ください。
喫茶室の最新情報・詳細についてはこちら
text「ハレの日、アサヒ」編集部


異なる仕事や趣味の経験は、大西の中で「人や文化をつなぐ」という軸につながっていました。学び続け、挑戦を重ねてきた歩みは、これからも美術館の運営や次世代を支える力になっていきます。