新しいコーヒーの楽しみ方。カフェインレスとは少し違う、 “微カフェイン”とは
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皆さんはカフェイン・マネジメントという言葉を聞いたことはありますか?
言葉としてはまだなじみが薄いかもしれませんが、「今日はコーヒーを飲み過ぎちゃったかな」とカフェイン量を気にしている方も多いのではないでしょうか?
アサヒ飲料が発売した『ワンダ SLOW TIME COFFEE』はカフェインの過剰摂取は気になるけど、おいしさも妥協したくない!という方に向けた“微カフェイン”という新提案です。今回は“微カフェイン”という新しい考え方や開発の裏側をマーケティング担当者の万代文子に聞きました。
INDEX
実はあなたもやっているかも?カフェイン・マネジメントとは
―カフェイン・マネジメントとは何をすることなのでしょうか?
その名の通り、カフェインを摂取するタイミングや量をコントロールすることを指しています。「眠りにくくなるから、この時間はコーヒーを控えよう」「今日は仕事中にたくさんコーヒーを飲んだから、家ではノンカフェインのものにしよう」と、言葉は知らなくても実践している方が増えていると考えています。
―確かに周りでも多い印象です。そもそもカフェインは身体に悪いのでしょうか?
個人差があるため一概には言えませんが、カフェインを過剰に摂取した場合には、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の健康被害が出ることがあります。
ただ一般的に集中力が高まったり、眠気を覚ます効果があるとも言われていますので、上手に付き合っていきたいですね。
―1日の摂取量の目安などはありますか?
例えばカナダでは18歳までの子どもや青少年は、1日当たり体重1kg当たり2.5㎎、妊婦や母乳で保育している母親は1日当たり300㎎、18歳以上の大人は、1日当たり400㎎というように基準がありますが、実は日本では明確な基準がありません。
日頃から「カフェインを摂ると眠りにくいな」といった自覚がある場合には、量を減らしたり飲むタイミングを変えてみたりしてくださいね。
ノンカフェイン、デカフェ、カフェインレス…その違いは?
―カフェインの量を調節する話がありましたが、そんな時にノンカフェインやデカフェ飲料は強い味方ですよね。でもイマイチその違いが分からなくて…
その飲み物に含まれるカフェインの量に違いがあります。
まずデカフェは通常の飲み物からカフェインを取り除いたもの全般を指します。カフェイン残量の定義はされていないので、ごくわずかながら残っている場合もあります。
カフェインレスは通常の飲み物から90%以上のカフェインを除去したものです。デカフェとの違いはカフェインの除去率が決められていることですね。
ノンカフェインはカフェイン量が0㎎の飲み物のこと。これは分かりやすいですよね。カフェインが含まれていないものを原材料としています。
デカフェのカフェイン量が定義されていないのではっきりとは言えませんが、カフェインレス⇒デカフェ⇒ノンカフェインの順でカフェイン量が少ないと考えられます。
―カフェイン量で名称の違いがあるんですね。味の違いはあるのでしょうか?
カフェインは水溶性のため、コーヒーの生豆を水に漬けてカフェインを除去するという方法が一般的です。苦み成分の一部であるカフェインとともに、他の香り成分も一緒に抜けていくため、カフェイン量が減るにつれてすっきりとした味わいになると言われています。そういった味わいが好きな方もいれば、「物足りない」と感じる方もいらっしゃいますね。そんな方にぜひ飲んでほしいのが『ワンダ SLOW TIME COFFEE』なんです。
新しい時代に新しい飲み方を。“微カフェイン”とは?
―今回開発された『ワンダ SLOW TIME COFFEE』は“微カフェイン”という新しいジャンルですよね。どういったカテゴリーなのでしょうか?
今回発売した『ワンダ SLOW TIME COFFEE』では「当社主要品に対し、100ml当たりカフェインを55%カットしたもの」と定義しています。
先ほどもお話したように、カフェイン量を減らそうとすると味わいが変わってくるため、カフェインの低減量とコク深い味わいのバランスにこだわって作りました。
ーどういったことがきっかけで、“微カフェイン”の商品を作ることになったのでしょうか?
コーヒー好きの方にインタビューした際、量をたくさん飲む方が非常に多かったんですよね。その一方で困っていることとして、「仕事を頑張るためにたくさん飲んでしまうけど、家に帰っても自分のために味わうコーヒーを楽しみたい。でもカフェイン量を気にして家族に止められてしまう」といった声がありました。
コーヒー好きなのに眠気覚ましとしての飲用を優先し、家に帰って自分のために飲むコーヒーが無くなっている。そこで、カフェインを調整することで自分のためにコーヒーを飲む時間を作れたらいいなと思ったことがきっかけで開発がスタートしました。
―味わいとカフェイン量のバランスにこだわって作られた“微カフェイン”。ネーミングも面白いなと思ったのですが、どのように決まっていったのでしょうか?
今回カフェイン量が約半分という設計なので「ハーフカフェイン」という候補があったのですが、「ハーフ」という言葉のイメージから、「カットしている」「我慢している」という印象につながったため、候補からは外しました。
そして参考にしたのはコーヒーの「微糖」カテゴリーです。微糖のコーヒーには「元々甘いコーヒーから甘さを削ったもの」ではなく、「おいしいけど、糖分はちょっと控えめ」というプラスイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?
カフェインでもそういった市場を確立したいということで最終的に“微カフェイン”というネーミングになりました。
―確かに少しの言葉の違いでも印象が随分変わりますね。市場にはない新しいカテゴリーの商品を出すというのは大変なことも多いのではと思うのですが、苦労したことはありますか?
まずはデカフェやカフェインレスコーヒーに対するお客さまのマイナスイメージです。デカフェやカフェインレスといった商品は新しく感じる方もいるかもしれませんが、実は1900年代頃から存在しています。昔はカフェインとともに他の成分もたくさん抜けてしまっていたのですが、極力カフェインのみを抽出できるように技術も進化してきました。
お客さまの中には「昔飲んだことがあるけど、あまりおいしくなかった」というイメージを持ち続けている方が多くいらっしゃり、そして一度そうしたイメージを持ってしまうと、なかなか再度チャレンジしようという気持ちにならないんですよね。
そのため「カフェインレスコーヒーは味が薄い」というイメージが定着してしまっていることが課題の一つでした。そういったイメージもあったので、カフェインレスコーヒーで勝負しても、まだお客さまに受け入れられるのは難しいのでは?と考えたことも、“微カフェイン”カテゴリーを作った理由ですね。
あとはやっぱり社内理解という点でも苦労しました(笑)「なぜカフェインレスコーヒーではないのか?」「コーヒー市場全体からみるとカフェインレスなどの市場は小さいのでは?」という意見も出たのですが、私は長い目で見ればカフェイン・マネジメントは世の中の人にとってプラスになると思っていて、なるべくそれを楽に、楽しく実現できる商品として提案し、今回商品化することができました。
またその当時の上司は大のコーヒー好き。「コーヒーをたくさん飲みたいけど、身体の負担を考えて午後は控えている」という話もあり、実際に飲用することでこの商品の価値を実感してもらえたのかなと思っています。
―いろいろな苦労を経て誕生した『ワンダ SLOW TIME COFFEE』ですが、どういった方に飲んでいただきたい商品でしょうか?
やはりこれまでカフェイン量を気にして飲むのを控えていたという方におすすめしたいです。またカフェイン・マネジメントのきっかけとして、今あるコーヒーを置き換えて飲んでみてもらうのもいいですね。商品名の「SLOW TIME」という部分にも込めたのですが、ゆっくりと時間を過ごしたい時、もう少し夜を楽しみたい時など、自分のペースでゆったりと楽しんでほしいと思っています。
パッケージのイラストはカフェのマスターをイメージし、ブラックコーヒーのおいしさを訴求しました。また月のイラストも加えることで、ゆったりと飲める自由な飲用シーンを表現しています。ぜひ仕事や家事の後のリラックス時間に、『ワンダ SLOW TIME COFFEE』を飲んでみていただけると嬉しいです。
皆さんも新しい選択肢に“微カフェイン”取り入れてみてはいかがでしょうか?