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高齢者も安心して食べられる“介護食のおもち”を開発

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高齢者も安心して食べられる“介護食のおもち”を開発

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「介護」について考えたことはありますか?なかなか実感がわかない方も多いかもしれませんが、“人生100年時代”と言われる中、年齢を重ねる中で誰もが介護をしたり、されたりする当事者になる可能性があります。今回は介護食の「おもち」という驚きの新商品の開発秘話と、アサヒグループ食品が「介護食」に取り組む想いについて紹介します。

11月11日は「介護の日」。全ての人が当事者として支え合う気持ちを持つ日

11月11日は「介護の日」です。厚生労働省は、“介護について理解と認識を深め、介護従事者、介護サービス利用者及び介護家族を支援するとともに、利用者、家族、介護従事者、それらを取り巻く地域社会における支え合いや交流を促進する観点から、高齢者や障がい者等に対する介護に関し、国民への啓発を重点的に実施するための日”としています。

「いい日、いい日、毎日、あったか介護ありがとう」を念頭に、「いい日、いい日」にかけた覚えやすく、親しみやすい語呂合わせから、11月11日が選定されており、介護に関係する人だけの閉じられたものでなく、全ての人が当事者として支え合う気持ちを持てる日としたい、という想いが込められています。

“食べる”をずっと楽しく。を応援!アサヒグループ食品の介護食

高齢になると、かんだり、飲み込んだりする機能が低下して、思うように食事が取れなくなってしまうことがあります。そうなると栄養不足から筋肉や体力の衰えにつながることもあります。介護者は、食事を取ってもらうために食材をやわらかく飲み込みやすくする必要があり、大変な手間がかかります。具材を煮込んだり、細かく刻んだり、裏ごしするなど。さらに飲み込む力が低下している人には、とろみをつけて飲み込みやすいように工夫する必要もあります。

市販の介護食は、食べやすく加工されていて、幅広いラインアップがあり栄養サポートも考慮しています。アサヒグループ食品では、ベビーフードで培ったノウハウを活かして「バランス献立」という介護食ブランドを展開しています。「”食べる”をずっと楽しく。」を理念に、おいしさに加え、見た目や食べやすさ、食事バランス、品質にこだわったバラエティ豊かな商品を揃えています。時には取り入れてみていただければと思います。

食べたくても食べられなかった“おもち”が安心して食べられる!

2023年9月に「バランス献立」ブランドから、「スプーンで食べるおもち」を発売しました。高齢者の方にとって食べにくいおもちをどのようにして介護食にすることができたのか、開発者に開発の裏側を聞きました。

(左)アサヒグループ食品 商品開発三部 熊岡隆也 (右)アサヒグループ食品 マーケティング四部 中澤里紗

―なぜ介護食のおもちを作ろうと考えたのでしょうか?

熊岡:私は介護食の開発を6年間担当しています。「バランス献立」の定番になっているレトルトパウチ食品の「雑炊」・「なめらかおかず」シリーズや、とろみ調整用食品の「とろみエール」シリーズなど、これまでに30以上のメニュー開発に携わってきました。

現在「バランス献立」の全ラインアップは53アイテムです。これらを利用していただくことで、介護者の献立を考える時間や調理時間を短縮し、ゆとりある生活に貢献したいと思って、メニューのバリエーションを増やすことに取り組んでいます。

今回の新商品は少し違う切り口で、“食の楽しみ”をもっと感じてもらえるものができないか、と考えたのが開発のきっかけです。これまでの介護食にはない新しい価値を感じてもらえるものを提案したいと考えました。

“食を楽しむ”ということは食べたいものを食べる、ということも一つだと思います。そこで、高齢になって食べたくても食べられなくなったものを考える中、「おもち」が思い浮かんだのです。お正月におもちを食べて喉に詰まらせてしまった事故の悲しいニュースを毎年聞きますよね。高齢になると飲み込む力が弱くなったり唾液の量が少なくなって、おもちが喉に詰まったり、貼りついてしまう心配があります。

中澤:介護が必要な家族がいる方へのアンケートでは、介護が必要になる前に食べていたもので、食べることが難しい食事のトップは「おもち」でした。おもちが好きな要介護者は75%、おもちを食べさせてあげたいと思う介護者は84%もいたのです。

さらに、おもちと言えばお正月のイメージでしたが、意外と日常的に食べていた人もいて、主食としてもニーズがあるかもしれないと思いました。毎日おかゆだと飽きてしまいますが、介護食でおもちができれば、主食も変化が出せます。

―開発にあたって苦労した点はなんですか?

熊岡:介護食には4つの区分があります。「容易にかめる(区分1)」「歯ぐきでつぶせる(区分2)」「舌でつぶせる(区分3)」「かまなくてよい(区分4)」です。

今回は、“おもちを食べたいと思う方全員に食べてもらいたい”と考えて、最もハードルが高い「かまなくてよい(区分4)」にチャレンジすることにしました。ただ、おもちの最大の特長といえば伸びたりくっついたりする粘性があること。その食べづらさにつながる特長を抑えつつ、いかにおもちらしい風味に近づけるか、物性、見た目も含めておもちらしさをどのように伝えることができるかということにとても苦労しました。

まず、おもちの風味を感じてもらうために、原料にもち粉を採用しました。ただ、もち粉だけでは理想の食べやすい物性にはならず、食べている間に唾液が付くとでん粉が分解され、離水が生じ、飲込む力が弱い方には食べづらくなっていきます。そこで、ゲル化剤を併用することで食べやすく、離水も生じづらい、おもちらしさを感じられる物性にしました。もち粉は10種類以上比較した中で、ゲル化剤と併用した際に、おもちらしい深みのある味わいで、食感がよりおもちらしく感じることができる国産もち粉にたどり着きました。

試作段階から、大学や病院の専門の先生方に試食していただき「べたつきをもっと抑えた方が良い」「冷めた状態でも固くならないようにした方が良い」などのアドバイスをいただき、何度もブラッシュアップを重ねました。

もち粉などの食材を混ぜて試作する
試作したおもちの物性が規格内に入っているか機械で測定する

―おもちの風味や食感はどのくらい表現できたのでしょうか?

熊岡:一般のおもちの物性とは異なりますが、かむ力や飲み込む力が弱い人でも食べやすい設計のおもちとして、風味やおもちらしさはかなり再現できたと思っています。食感を具体的に表現すると、水ようかんやういろうをもう少し滑らかにしたものに近いかもしれません。

発売前に、病院の施設や、介護が必要な家族がいる家庭で、介護者・要介護者の方、合計200名以上に試食していただいた中では、やわらかくて食べやすい食感や、口に貼りつかないことなどに対しての安心感に加えて、「もち米の甘味が感じられる」「おもちの風味がする」「よもぎはほどよい苦味がおいしい」といったお声をいただきました。

―商品化に向けてマーケティングの視点で苦労した点はありますか?

中澤:介護者に伺うと、「おもち」というネーミングだけで食べさせるのが怖いという方もいらっしゃいました。高齢者のおもちによる事故が多く食べさせることに不安があるのです。ですので、パッケージでいかに安心して食べられるおもちであるかを伝えることに取り組みました。商品名を「スプーンで食べる」としたのも、“くっつかない、伸びないおもちですよ”と伝える工夫です。一方でおもちらしく見えるよう商品の写真にもこだわりました。さらに食べ方の提案としてアレンジレシピも添えました。

商品化前の試食の際に、介護者の方から「おじいちゃんには一生おもちなんて食べさせられないと思っていたので嬉しい!」「これならのどに詰まるリスクがないので安心して食べさせられる」といったご意見をいただき本当に嬉しかったです。

―開発者にとって一番嬉しい言葉ですね。最後に「介護食」に取り組む想いを教えてください。

中澤:介護には必要なケアがたくさんあって、食事は二の次となってしまうことが多いようです。でも外出などができなくなってしまった人にとっては、食べることは数少ない楽しみの一つとなります。超高齢化社会の進行とともに在宅介護が増加している中、いつまでも自分の力で食べられるおいしい食事を提供していくこと、そして、介護する方には、介護食を便利に使って、少しでもゆとり時間をつくっていただきたいと思っています。

熊岡:「この商品があれば、お正月に家族みんなで一緒におもちを食べられる」とおっしゃってくださった方がいました。食べているおもちが同じものではなくても、おもちを一緒に食べているという場を楽しんでいただければ、大切な人との食卓が幸せな時間になるのかもと思いました。今回は、介護食に新しい風を吹かせたい!という想いで開発に取り組みました。これからもすべての方に“食べる楽しさ”を提案していきたいです。

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