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乾杯ってこんなに違う。世界の乾杯文化とちょっといい話

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乾杯ってこんなに違う。世界の乾杯文化とちょっといい話

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今年も残すところあとわずか。家族や友人、仕事仲間との会食が増えるこの季節、「乾杯!」のかけ声があちこちから聞こえてきます。普段何気なく行っている乾杯ですが、実は世界各地でさまざまな違いがあることをご存じでしょうか。

今回は、そんな乾杯の文化をひもとき、いつもの乾杯がちょっと特別になる雑学をお届けします。読めばきっと、次の飲み会で「これ知ってる?」と誰かに話したくなるはずです。

世界の「乾杯」、その言葉の意味はバラエティー豊かだった!

グラスを掲げて「乾杯!」――この瞬間は、世界中どこでも人々が笑顔になるシーンとして思い浮かびますよね。実は、私たちが何気なく口にする乾杯の言葉には、国や地域ごとにそれぞれ異なる意味や願いが込められています。

健康を願う、世界の“ひとこと”

ヨーロッパの多くの国では、健康を願う意味が込められた乾杯の言葉がよく使われています。英語の「Cheers(チアーズ)」をはじめ、フランス語の「Santé(サンテ)」やスペイン語の「Salud(サル―)」、アイルランド語の「Sláinte(スローンチャ)」などは、いずれも「健康」を意味する言葉です。これらには、単なる乾杯の合図を超えた、健康や幸せを分かち合う願いが込められているといえるでしょう。

人生や名誉をたたえる言葉も

トルコやギリシャでは、「名誉」や「人生」を祝うニュアンスが含まれた乾杯の言葉が使われます。ギリシャ語の「Yia mas(ヤーマス)」は「私たちの健康に」という意味です。他の言語が「健康」という名詞を意味することが多いなか、ギリシャ語では「私たち(mas)」という複数形が使われている点が特徴です。個人ではなく、その場にいる全員、そして仲間全体を祝福する意味が色濃く表れています。

トルコ語の「Şerefe(シェレフェ)」は「名誉に」という意味。社会的な尊厳や誇りといった価値観と深く結びついた表現であり、互いを敬う気持ちが込められているのかもしれません。

あなたの“当たり前”は本当に常識?仕草に宿る海外のマナー

乾杯の文化は「言葉」だけではありません。グラスを合わせる音、視線の交わし方、グラスの高さ――その一つ一つの動作にも、国や地域ごとの価値観や礼儀が息づいています。そんな乾杯の仕草に隠された意味と、それぞれの国や地域のマナーを紹介します。

グラスを鳴らす?鳴らさない?

飲み会の場では、「乾杯!」の合図とともにみんなでグラスを合わせるのが一般的ですよね。こうした習慣は、カジュアルな場面であれば海外でも広く見られます。

なぜグラスを合わせる文化が生まれたのでしょうか。その由来は諸説あります。たとえば、グラスの音で悪魔払いの効果があると信じられていたという説や、中世ヨーロッパではグラスを合わせて数滴お互いの酒が混ざることで毒が入っていないことを証明した、という説が有名です。

グラスを合わせるかどうかはTPOによって異なります。特にワイングラスのように繊細なグラスは、傷つけないために合わせないのがマナーとされています。一方で、グラスの音も含めて楽しむシーンもあり、グラスを合わせる場合はボディ部分をそっとやさしく当てるのがコツです。

目を合わせるのは必須?

乾杯のとき、ついグラスを見てしまいがちですが、ドイツやオーストリアでは、乾杯の際に必ず相手の目を見ることがマナーとされています。目を逸らすと「7年の不運が訪れる」という言い伝えまであるほど重要視されています。スペインやフランスでも同様に、視線を交わすことは信頼と友情の証とされ、乾杯は単なる飲み始めの合図ではなく、心と心を通わせる大切な瞬間なのです。

グラスの高さに込められた敬意

アジア圏では、乾杯の動作で相手に敬意を示す文化が見られます。中国や日本では、乾杯の際に目上の人よりもグラスを低く掲げるのがマナーとされています。

韓国では、乾杯した後、体や顔を横に向け、片手で口元を隠しながら飲む習慣があります。こうした所作は、儒教的な価値観が日常のマナーとして深く根付いている証といえるでしょう。

日本の「乾杯」は、いつから始まった?

日本の乾杯、意外と新しい?

皆で「乾杯!」とグラスを合わせる文化は、実は日本では比較的近年に始まったものです。

現在のような乾杯スタイルが広まったのは、明治時代以降、西洋文化が流入したことが大きなきっかけだといわれています。その起源については諸説あり、幕末に黒船でやってきたペリー提督が行っていたという説や、1854年の日英和親条約締結の際に来日したエルギン伯爵がイギリス式の乾杯を紹介したことが始まりだとする説もあります。

やがて、ビールの普及とともに庶民の間にも広まり、家族や友人同士の集まりでも自然に行われるようになりました。

「あえて飲まない」が最先端?令和の新しい乾杯スタイル

現代の乾杯は、より多様で柔軟になっています。リモートワークの普及で「リモート乾杯」が広がり、画面越しにグラスを掲げる光景は新しい時代の象徴です。

さらに近年は、ノンアルコール飲料の普及により、お酒を飲む人も飲まない人も、一緒に楽しめるシーンが増えています。欧米のZ世代を中心に広がったのは、「ソバ―キュリアス」というライフスタイル。Sober(しらふ)とCurious(好奇心が強い)という言葉を組み合わせた造語で、「しらふの状態でいたいから飲まない」など、飲めるけれど、あえて飲まない選択をするという考え方を指します。

お酒があってもなくても、乾杯は一緒に楽しむためのもの。これからの乾杯は、その「時間を分かち合う喜び」が主役になっていくのかもしれません。

「乾杯」には、健康、名誉、友情、敬意など、さまざまな思いが込められています。今年の年末は、こうした雑学をおつまみに会話を弾ませて、自分らしい乾杯のひとときを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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