エノテカが教える、春の外飲みワイン
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春は、やわらかな日差しと心地よい風に誘われて、外へ出るのが楽しくなる季節。桜のシーズンも近づき、お花見やピクニックなど、屋外で食事を楽しむ機会も増えてきます。そんな春のひとときを、ワインとともにもっと心地よく楽しんでみませんか。この季節ならではのワインの楽しみ方やワインにぴったりな料理について、ワインショップ・エノテカ 広尾本店の南林幸代に聞きました。
プロフィール
ワインショップ・エノテカ 広尾本店 南林 幸代(みなみばやし さちよ)
2019年新卒入社。入社後GINZA SIX店で3年勤務後、現在は広尾本店に勤務。
J.S.A認定ソムリエ、WSET LEVEL3取得。日々の接客で心掛けているのは、お客様に寄り添いながら、その方に合ったワイン選びをお手伝いすること。自宅で簡単なおつまみを作って、ドラマや映画を見ながらワインを味わうのが至福のとき。
INDEX
まずはここから。ワインを楽しむための基礎知識
ワイン売り場やレストランで目にする、赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン。色や味わいの違いはなんとなく分かっていても、説明するとなると難しいものですよね。それぞれの違いは、ブドウの品種や造り方によって生まれています。
白ワイン・・・白ワインは主に白ブドウを使用し、ブドウを搾って果汁のみを発酵させて造ります。
果皮や種由来の渋味はほとんどなく、色合いは果汁に近い白色や淡い黄色。すっきりとしたものから果実味に厚みがあるものまで、幅広い味わいが楽しめます。
赤ワイン・・・主に黒ブドウを使用し、果汁に果皮や種を一緒に漬け込んだまま発酵させて造ります。果皮や種から色素や渋味が抽出され、赤い色合いとなり、渋味のあるものから軽やかなタイプまで、幅広い味わいが特徴です。
ロゼワイン・・・ロゼワインは黒ブドウを使用し、搾った果汁を発酵させる方法と、果皮や種を短時間漬け込んでから発酵させる方法があります。造り方の違いによって色合いに幅が生まれます。赤ワインほどの渋味はなく、白ワインのような爽やかさと赤ワインを思わせる果実味を併せ持つのが特徴です。
オレンジワイン・・・オレンジワインは白ブドウを使用し、赤ワインと同じように、果汁に果皮や種を漬け込んだまま発酵させて造ります。果皮や種から色素や渋味が抽出され、色合いはオレンジがかったものになり、白ワイン由来の果実味に皮由来の渋味やコクが加わった味わいが特徴です。
スパークリングワイン・・・スパークリングワインは、発泡性のワイン全般を指す総称です。産地や製法もさまざまで、その違いによって味わいの個性が生まれます。泡の造り方には主に3つの方法があり、製法によって味わいや価格帯も大きく異なります。その中でもよく耳にする「シャンパーニュ」は、スパークリングワインの代表的な種類の一つです。フランスのシャンパーニュ地方で、瓶内二次発酵という伝統的な製法により造られたものだけが「シャンパーニュ」と呼ばれます。
ワインを知ると、選ぶのが楽しくなりますよね。
ワインショップ・エノテカ 広尾本店には約1,500点のワインが並んでいます。自分好みのワインを見つけてみてはいかがでしょうか。
春の外飲み、ワイン選びのヒント
「春の行楽にはどんなワインを持っていけばいい?」 そんな疑問に、プロの視点で答えてくれました。
風が吹いた瞬間の「香り」を愉しむ
春のワイン選びでまず意識したいのは、香りです。
屋外では風にのって香りが広がりやすく、グラスからふわっと立ちのぼる香りをより感じることができます。グラスに注いだときや、風が吹いた瞬間に香りが広がるアロマティックなワインを選ぶと、ピクニックの気分も一段と盛り上がります。
春は、みんなで集まってワインを楽しむ機会も増えるので、ワインをあまり飲んだことがない人がいる場合は、キャッチーなラベルや、品種が分かりやすいものなど選びやすさを意識するのもポイントです。
「温度」が変わってもおいしいものを
春先はまだ肌寒い日もありますよね。キンキンに冷やして飲むタイプより、少し温度が上がっても味わいのバランスが崩れにくいものがおすすめです。
白ワインなら
春は暖かさを感じる日が増えてくるとはいえ、まだ肌寒さの残る季節。そんな時期には、冷やしすぎなくてもバランスよく楽しめる白ワインが重宝します。
たとえば、果実味にほどよい厚みがあり、香りが豊かに広がるタイプ。温度が少し上がっても味わいがぼやけにくく、外の空気の中でもしっかりと存在感を感じられます。
一方で、ハーブや柑橘のニュアンスをもつ爽やかな白ワインも、春の空気とよく調和します。芝生の上や桜の下でグラスを傾けたとき、ふわっと広がる香りが心地よく、季節感をより引き立ててくれます。
軽すぎず、重すぎない“ほどよいバランス”が、春の外飲みにはおすすめです。
赤ワインなら
春の屋外シーンでは、ボルドーワインのように渋みやボディがしっかりとしたタイプよりも、タンニンが控えめで軽やかな赤ワインを選ばれると、より心地よく楽しんでいただけると思います。
屋外は室内とは環境が異なり、風や気温の影響を受けやすいため、渋みや重さが強く感じられることがあります。そのため、黒系果実やコーヒー、スパイスのような濃厚なニュアンスよりも、ラズベリーや赤いベリー、バラの花のようなチャーミングで華やかな香りをもつタイプがおすすめです。香りがふわっと広がり、軽やかな印象でお楽しみいただけます。
また春は、花や緑が芽吹くフレッシュな季節。果実味のみずみずしさが前面に感じられるワインは、景色やお料理とも自然に調和します。樽のニュアンスがあっても、果実の印象が中心にあるスタイルであれば、屋外の開放的な雰囲気にもよく合います。少し肌寒さを感じる日にも取り入れやすいのが、こうした軽やかな赤ワインの魅力ですね。
ピクニックに持っていきたい、香り立つ一本
コナンドラム・ホワイト
生産者:コナンドラム
産地:アメリカ
ボディ:ミディアムボディ
特徴: コナンドラムは、家族が集まる食卓でワインをブレンドして楽しんだ思い出から仕立てられたワイン。
さまざまなフルーツの風味を持つ、複雑ながら豊かさと柔らかさを兼ね備えた味わいです。
エステート・ソーヴィニヨン・ブラン
生産者:ルナ・エステート
産地:ニュージーランド
ボディ:ミディアムボディ
特徴:花やレモン、ライム、ハーブを思わせるアロマ。豊かなミネラル感と、ほのかにトロピカルフルーツのニュアンスを備えた、瑞々しい味わいが特徴です。さわやかな香りと軽快な飲み心地で、ピクニックで芝生の上に腰を下ろして楽しみたい一本。
バルダ
生産者:ボデガ・チャクラ
産地:アルゼンチン
ボディ:ミディアムボディ
特徴:バラやイチゴのようなチャーミングな香りが広がる、透明感のある赤ワイン。軽やかで渋みが穏やかなため、屋外でも飲み疲れしにくいのが魅力。白ワインほど温度を気にせず楽しめることから、春の行楽や少し肌寒い日のピクニックにもぴったりです。赤ワインの中では比較的軽やかなスタイルながら、果実の旨みもしっかり感じられ、ワイン入門やピノ・ノワール入門の方におすすめしたいワインです。
ミクロ・コム・グルナッシュ・ピノ・ノワール
生産者:シャトー・ド・サン・コム
産地:フランス
ボディ:ミディアムボディ
特徴:ストロベリーやラズベリーなどの果実のアロマに、芳醇な果実味と洗練された酸が魅力のエレガントな仕上がり。軽すぎず重すぎず、春の訪れに合わせて飲むのにぴったりな赤ワインです。やわらかなコクが広がり、少し肌寒さを感じる日にも心地よく味わえます。
お花見の主役は、やっぱりロゼワイン
お花見には、桜の色とリンクするロゼワインを選びたくなります。グラスに注いだピンク色が春の景色に溶け込み、気分も華やぎます。ラベルもかわいらしいものが多く、思わず手に取りたくなるのも魅力です。ロゼワインは、赤ワインの果実味と白ワインの爽やかさをあわせ持ち、渋みが穏やかで飲みやすいスタイル。和洋中やエスニックなど幅広い料理に合わせやすく、さまざまな料理が並ぶお花見の席でも活躍します。乾杯から食事まで一本で楽しめます。
南林がおすすめしたいお花見に持っていきたいワイン
ベルスター・キュヴェ・ロゼ
生産者:ビソル
産地:イタリア
ボディ:ミディアムボディ
特徴:フランボワーズやチェリーのような赤系果実、バラの華やかな香りが広がるロゼ・スパークリングワイン。淡いピンク色の見た目もかわいらしく、写真映えするのもお花見シーンにうれしいポイントです。スパークリングワインならではの軽やかな泡立ちは、最初の乾杯にもぴったり。
モンテス・シェラブ・ロゼ
生産者:モンテス
産地:チリ
ボディ:ミディアムボディ
特徴:天使のかわいらしいラベルが印象的で、思わず手に取りたくなるロゼワイン。
バラやラズベリーなどのチャーミングなアロマに、芳醇かつまろやかな味わいが広がります。
桜を背景に写真を撮ると映えること間違いなしのお花見におすすめの一本です。
外飲みをもっと心地よく。持ち運び&温度管理のヒント
●スクリューキャップで持ち運びを便利に
外で飲む際はコルクのワインよりもスクリューキャップのワインが便利です。コルクの場合はオープナーが必要で、慣れていないと少し手間がかかることもあります。スクリューキャップなら簡単に開けられ、再栓もしっかりできるため、持ち帰る際も安心です。
●いろいろ飲みたいなら「ハーフボトル」
さまざまな種類を楽しみたい方は、フルボトルではなくハーフボトルを数種類選ぶのもおすすめです。量が控えめなので飲み残しを気にせず楽しめ、コンパクトで持ち運びも楽々です。乾杯用にスパークリングワイン、料理に合わせて白ワインやロゼワインといったように、少しずつ飲み比べができるのも、ハーフボトルならではの魅力です。
●温度管理のちょっとしたコツ
特にスパークリングワインは、温度が上がると開栓時に噴き出す恐れがあります。事前にしっかり冷やし、持ち運びには保冷バッグを使用したり、保冷剤を添えると良いですよ。
白ワインもあらかじめ冷やして持参を。赤ワインは春の気温であれば、そのままでも心地よく楽しめます
ワインがもっと美味しくなる「春のひと皿」
春のひとときに楽しむワイン。せっかくなら、お料理との相性も楽しんでみませんか?外でもおうちでも気軽に作れる、ワインに寄り添うひと皿をご紹介します。
外でワインを飲む時に持っていきたいレシピ
ごまとクミンのチーズせんべい
<材料>2人分
スライスチーズ ……2枚(とろけるタイプ)
ごま 小さじ……1/2
クミン ……小さじ1/2
<作り方>
1.スライスチーズを4等分に切る。それぞれに、ごまとクミンをのせる。
2.オーブンシートにチーズ1枚分をのせ、レンジ600Wで1分30秒加熱する。熱が取れたら出来上がり。
※スライスチーズ2枚分を一度にレンジ加熱すると、加熱ムラが生じやすいので、1枚分ずつレンジ調理がおすすめです。
レシピ考案:築山紀子さん
菜の花の厚焼きオムレツ
<材料>2人分
卵 ……3個
菜の花…… 50g
ベーコン…… 30g
オリーブオイル…… 大さじ1
塩 ……小さじ1/5
<作り方>
1.菜の花は長さ3~4cmに切り、ベーコンは細切りにする。
2.スキレットにオリーブオイルを入れて中火で熱し、菜の花とベーコンを炒める。
しんなりしたら塩で下味をつける。
3.溶き卵を流し入れ、弱火にして蓋をし、4~5分焼く。
4.縁をゴムベラで整え、お皿を使って裏返す。
5.さらに4~5分焼いたら完成。放射状にカットしていただく。
レシピ考案:加瀬まなみさん
菜の花のほろ苦さには、爽やかな酸味とハーブのような香りをもつ白ワインがおすすめ。
ソーヴィニヨン・ブランやベルデホなど、フレッシュでみずみずしい味わいのタイプがよく合います。また、渋みの穏やかな軽めの赤ワインも心地よく寄り添います。菜の花のほろ苦さを引き立てながら、春らしい軽やかな余韻を楽しめますよ。
春を味わう。おうちで楽しむワインに合う旬のレシピ
カブと生ハムのカルパッチョ
<材料>2人分
カブ …… 2個
生ハム …… 40g
オリーブオイル ……大さじ1
塩・黒コショウ ……少々
<作り方>
1.カブは皮をむいて1cm厚のくし切りに、生ハムは食べやすい大きさに切る。
2.カブに生ハムを重ね、器に並べる。
3.全体にオリーブオイル・塩・黒コショウをふって完成。
レシピ考案:加瀬まなみさん
カブのみずみずしさには、軽やかな辛口スパークリングワインがおすすめ。
甘さのないキリッとドライなタイプがよく合います。淡い色合いのドライなロゼスパークリングも相性ぴったりです。
爽やかな泡が生ハムの塩味を引き締め、後味をすっきりとまとめてくれますよ。
はまぐりのパン粉焼き
<材料>2人分
はまぐり…… 6個(砂出し済み)
白ワイン ……50ml
A
パン粉…… 大さじ2
オリーブオイル ……大さじ1
にんにくのみじん切り ……1/2片分
塩 小さじ……1/4
パセリのみじん切り…… 小さじ1
<作り方>
1.はまぐりは殻をこすり合わせてよく洗う。フライパンに並べ、白ワインをまわしかけ、蓋をして殻が開くまで蒸す。
2.殻から身を外し、再び殻にのせる。
3.Aを混ぜ合わせて衣を作り、はまぐりの上にのせる。
4.トースターで焼き色が付くまで5~6分焼いて完成。
レシピ考案:築山紀子さん
はまぐりの旨味には、キリッとした辛口白ワインを合わせるのがおすすめ。 ミネラル感が豊かで、爽やかな酸味をもつタイプがよく合います。また、ほどよい酸味といきいきとした果実味をもつロゼワインも、素材の旨味を引き立ててくれます。
エノテカのワインが飲みたくなるメディア「おどるわいん」では、ワインに合うレシピを多数ご紹介しています。
詳しくはこちら
ワインとともにフレッシュな春を味わって
春は空気も食卓も軽やかになる季節なので、ワインも肩ひじ張らずに気軽に楽しんでみてください。熟成感のあるタイプよりも、果実の香りが広がるフレッシュな一本を選ぶと、春らしさがより感じられます。味わいはもちろん、淡い色合いやラベルのデザインも、春の景色と重ねて楽しんでみてください。
旬の食材と一緒に味わうのも、ぜひおすすめしたい楽しみ方です。春の食材を使った料理に寄り添う一杯があれば、それだけで日常が特別な「ハレの日」に変わります。
ワインショップ・エノテカ 広尾本店では、ショップに併設されたバーでおすすめワインを飲んだり、購入したワインをその場で飲むこともできます。今日の気分やお料理に合ったワインを提案させていただくので、「今日のワインどうしよう?」と迷ったら、ぜひ気軽にお声かけ下さい。
春は、ワインを気軽に楽しめる季節。
旬の食材やその日の気分に寄り添いながら、フレッシュなワインで春ならではの時間を味わってみてはいかがでしょうか。
text「ハレの日、アサヒ」編集部


香ばしいごまとクミンのスパイス感には、ほどよくコクのある白ワインがよく合います。果実味に厚みがあり、やわらかなボディをもつタイプなら、チーズのコクやスパイスの風味を包み込むように引き立ててくれます。
また、軽やかで果実味のある赤ワインも好相性。スパイスのアクセントを受け止めつつ、チーズの旨味をより「引き出して」くれます。