今年の夏は星空を見上げよう。小中学生の自由研究にもおすすめの天体観察
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いよいよ8月。楽しい夏休みの真っ最中の学生の皆さんの中には、頭の片隅で宿題の存在が気になっている方も多いのではないでしょうか?中でもテーマ探しに悩む宿題と言えば自由研究ですよね。
そんな皆さんにおすすめしたいのが天体観察。実はスマートフォンのアプリを使えば簡単に星座も見つけられます。小中学生の自由研究にぴったりな天体観察について、兵庫県にある伊丹市立こども文化科学館の丸川さんと米田さんにお聞きしました。
INDEX
星は大きく分けると3種類!その違いは?
―夏休みでアウトドアの機会や天体観察をする家庭もあるかと思います。まずは星の種類について教えてください。
大きく分けると3つあります。
まずは恒星。太陽のように自分自身が光っている星です。星座を構成する星は全てこの恒星になります。
次に惑星。これは恒星の光を反射して光っている星のことで、その恒星の周りを公転しています。例えば私たちが住む地球や、火星・土星のような星はこの惑星にあたります。
最後に衛星です。これは惑星の周りを回っている星のことを指します。月は地球の周りを回っているのでこの衛星にあたりますね。 月は基本的に太陽の光を受けて光っているのですが、地球もとっても明るいため地球が照らす部分もあります。太陽から見て陰になるところは本来光が届かず地球からは見えないはずですが、この画像のようにうっすらと確認できるんです。それがこの地球照です。
―目で見て分かる違いはあるのでしょうか?
恒星と惑星の大きな違いは“瞬き”です。いわゆる点滅するかどうかの違いですね。恒星はチカチカと瞬きますが、惑星はほとんど瞬きません。
また恒星・惑星・衛星を目で見て区別するには知識が必要ですが、観察で分かることもあります。それは「明るさ」「色」の違いです。
「明るさ」の違いは、距離と光度で決まります。同じ光度の星であれば近い方が明るく、同じ距離であれば光度が高いものの方が明るくなります。
例えば夏の代表的な星であるベガ(織姫)までの距離は約25光年、アルタイル(彦星)は約17光年、デネブは約1,400光年離れています。地球から見た3つの星は大体同じくらい明るく見えるため、デネブがどれだけ明るい星か分かりますよね。
次に「色」です。白っぽく光っている星は比較的若い星で、赤っぽく見える星は年を重ねた星です。星の色を見るだけで大体星の年齢、元気さの違いが分かりますよ。
色によって温度も違います。白く光っている星の方がより温度が高く1万度ほどで、赤っぽい星は3,000度ほどになります。
―目で見て違いを研究するのも面白そうですね。
天体観察の準備をしよう!星をたくさん見たいなら新月の時期がおすすめ
―天体観察に適した季節や天候条件などはあるのでしょうか?
一般的に空気が澄んでくる秋から冬が観察には向いていると思われていますが、寒さに弱い方、虫が嫌な方さまざまだと思うので、季節に関しては好みかもしれません。
ただ季節に関係なく月の満ち欠けは重要です。月の観察をしたい場合は別ですが、星をたくさん見たい場合、月明かりは邪魔になるので新月あたりを狙うといいと思います。
―自由研究がこれからというお子さんは、早めに月の満ち欠けをチェックした方が良いですね。実際に天体観察をする際、用意した方がいい道具はありますか?
肉眼でも星の明るさや色、星座の形は確認できますので、これらを観察したい場合には道具は不要です。特に星座の形は昔の人が望遠鏡など使わずに目で見て作ったものなので、むしろ肉眼の方が適しています。
ただ現代は特に市街地は明るくて星が見えづらいことが多いと思います。そんな時に使ってほしいのが双眼鏡です。
倍率が7倍、対物レンズの直径が50mmのものが、星が見えやすく天体観察では一般的です。ただお子さんには少し重たいかもしれません。その場合は安価で小さいものが売っているのでそちらを使用してみてください。注意点は暗くなってしまうので倍率を上げすぎないこと。たまに20倍の倍率のものも見かけますが、10倍以下の低倍率で良いと思います。
双眼鏡のメリットは手軽に使えること、持ち運びに便利なこと、更に星に興味がなくなっても観劇やスポーツ観戦にも使えることです(笑)
星をもっと見たい!という方はやっぱり天体望遠鏡がおすすめです。
双眼鏡との違いは、レンズを変えることで倍率を変えられること。倍率を自由に変えて拡大して月のクレーターを見たり、逆に倍率を下げて全体像を観察することも可能です。
意外と大事になってくるのが下の三脚。小さいものもありますが、伸ばした時にぐらぐらしないものを選ぶといいと思います。
興味はあるけど、いきなり何万円もするものは購入できないな…という方は当館で観望会を行っているのでお気軽にご参加ください。
―昔は天体観察の際、星座早見盤などを使っていましたよね。子どもの頃苦労した記憶があります。
今おすすめなのはスマートフォンやタブレットで星空のアプリがあるんです。それを使えば、かざすだけでその方角に見える星座が画面上に出てきます。学校で使うタブレットにインストールできる場合もあるので、試してみてください。
夏休みの自由研究ならこんなテーマがぴったり
天体観察を自由研究にしたいお子さんにおすすめのテーマも聞いてみました。
周りの星との違いを観察して星図に色を付けてみよう
肉眼でも星の色や明るさは確認できるので、色のついていない星図に、実際に目で見た通りに色を塗るのはいかがでしょうか。100人いたら100通り見え方は違うと言われているので、人と違うとか図鑑と違うとかは気にしなくていい。大事なのはインターネットや図鑑で見るのではなく、自分の見たものを書くことです。
スマートフォンやタブレットを駆使して星座をスケッチしてみよう
今のスマートフォンはカメラの性能が良いので、夜空を撮影すると星が写るんです。それを利用して毎日決められた時間と方角を撮影して見比べてみたり、重ねてスケッチして星の動きを調べたりするのもおすすめです。ポイントは空だけを撮るのではなく、家の屋根などを写すこと。目印にするものがあることで星の動きが分かりやすくなりますよ。注意点は暗い星は写りづらいので、一等星など明るい星を狙いましょう。この時期だと夏の大三角やアンタレスなどがいいと思います。
天体観察は星だけにあらず。人工衛星を見てみよう
実は国際宇宙ステーションなどの人工衛星も見ることができるんですよ。流星はどこからどこに流れるのか予測はできませんが、人工衛星は1,2日の予報であればほぼその軌道通りに飛ぶので見つけやすいです。例えば国際宇宙ステーション「きぼう」は「#きぼうを見よう」と検索すると地名を選んで検索することができます。
©︎KIBO宇宙放送局
自由研究を控えているお子さんや保護者の方へのメッセージ
自由研究のテーマが見つからないという方は、まずは何でもいいので、今興味のあることを挙げてみるのはいかがでしょうか?
たとえば「ゲーム」だとしたら、「どんなゲームが面白いのか?」「これまでやったゲームの中で何が面白かったのか?」「どんなゲームの種類があるのか?」といったことを考えます。そこからゲームの種類や機器、これまで流行ってきたゲームは何か調べてみると「調べ学習」が広がっていきます。興味を広げていくうちに、試したいことや知りたいことが見つかるかもしれません。
このあたり、大人が少しアドバイスしてみてもいいのではないでしょうか。
とにかく、まずは、興味のあることについて調べるところから手をつけると、好きなことなのでとりかかりやすいし、より興味がわいてくるんじゃないかなと思います。
そして、いつでも美しい星空が見られるプラネタリウム!この夏は、その日の星空案内に加えてドーム全天に恐竜が映し出される迫力ある映像番組を投影しています。同時開催の楽しい企画展も合わせてお楽しみいただけますので、ぜひ伊丹市立こども文化科学館にお越しください!
伊丹市立こども文化科学館のHPはこちら
自由研究のまとめ方に悩んでいるお子さんにはこちらがおすすめです。
アサヒ学園
今年の夏は、お子さんだけでなく大人も天体観察をしてみてはいかがでしょうか。ちなみに2024年8月12日~13日はペルセウス座流星群のピークで、この日は月が22時半頃に沈んで星が見えやすくなります。ぜひ、この夏は天体観察を楽しみながら、素敵な自由研究を完成させてください。