アサヒビール社員がおすすめする、浅草で味わう老舗の逸品
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浅草といえば歴史や人情がある有名な下町エリアですよね。今回ご紹介するのは、浅草エリアを担当するアサヒビール社員が厳選した、地元で長年愛される老舗の逸品。
どじょう鍋の老舗「駒形どぜう」、洋食の名店「ヨシカミ」、こだわりのもんじゃ焼きが味わえる「雷門おすぎ」。浅草の老舗の味と魅力を、店主たちのこだわりとともにご紹介します。

INDEX
江戸時代から続くどじょう料理の老舗「駒形どぜう」
創業享和元年(1801年)、200年以上続くどじょう料理の専門店「駒形どぜう」。
江戸の風情を今に伝える老舗で、代表取締役の渡辺隆史さんにお話を伺いました。

ご縁に恵まれて200年余。老舗の歩みと、こだわりの味とは
―創業当時の様子について教えてください
創業当時はどじょう鍋ではなく、どじょう汁とごはんを提供するお店として始まりました。二代目、三代目の代でどじょう鍋やくじら料理が加わり、現在のようなどじょう専門店として200年以上続いています。
初代が開業した当時、浅草は江戸一の繁華街としてにぎわっており、浅草寺の表参道沿いに店を構えたことで、多くの参拝客が立ち寄る場所となりました。創業から現在まで、同じ浅草の地で伝統の味を守り続けています。
―これまで長くお店を続けてこられた中で、特に印象に残っている出来事はありますか?
長く続けてきたからこそ、多くの方とのご縁や出会いが何よりも大切だと感じています。
例えば、コロナウイルスの流行で外出が制限されていた際、女性二人が来店されたことがありました。スタッフがお声がけしたところ、『どこも閉まっていて息が詰まりそうなときに、変わらない味に救われた』とおっしゃっていただきました。
そのとき、ここの料理が誰かの思い出の味や支えになっているのだと気づかされ、商売を続けてきて本当に良かったと思いましたね。
また、長年通ってくださる常連のお客様の中には、親子三代でご来店される方もいらっしゃいます。変わらず足を運んでくださることに、感謝の気持ちでいっぱいです。
―看板メニューである「どぜうなべ」には、どのようなこだわりがあるのでしょうか?
「どぜうなべ」には、素材一つひとつにこだわりを持っています。特に重視しているのは、お米、どじょう、そして調味料です。
・お米
使用しているのは、もっちりとした食感が特徴の『ひとめぼれ』です。日本人の口に馴染みやすく、濃い味付けにもよく合います。
・どじょう
仕入れているのは、生まれてから約3か月~6か月の食べやすい大きさのどじょうです。品質の良いものを厳選しています。
・調味料
味噌は当店よりも長い歴史を持つ老舗から200年以上にわたり仕入れています。醤油も江戸からの伝統を守り続けるお店のものを使用し、昔ながらの味を再現しています。 もちろん、時代とともに水や空気の質が変わることで、微妙な味の変化はあります。しかし、当店は江戸時代から受け継がれてきた濃い味わいを大切に守り続けていきたいと考えています。
老舗直伝!「どぜうなべ」のおいしい食べ方とは

―「どぜうなべ」の食べ方について教えてください
どじょうが煮立ってきたら、まずはネギをのせます。少しずつ加えても良いですし、豪快にのせてもかまいません。食べ方に決まりはありませんが、当店のおすすめは、七味や山椒を直接かけるのではなく、小皿に取り分けてつけながら食べる方法です。
この方法だと、七味や山椒の辛味が際立ち、どじょうの旨味がより一層引き立ちます。さらに、白米の上にのせて食べるのも美味しいですし、ビールとの相性も抜群です!

昔の人は仕事の合間にサッと食べていたので、鍋の鉄板を薄くして火が通りやすいように工夫していました。その名残で、現在も鉄板は薄めです。そのため、煮汁が蒸発しやすくなっているので、出汁を追加しながらお召し上がりください。

―「どぜうなべ」のおすすめの食べ方はありますか
煮汁が濃くなってきたらすき焼きのように生卵に絡めて食べるのもおいしいです。お酒にも合いますね。
世代を超えて愛され続ける洋食店「ヨシカミ」
浅草の老舗洋食店「ヨシカミ」は、時間を問わず行列が絶えない人気店です。
店内には著名人や有名人のサインが並び、まるで昭和時代にタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気が広がっています。
創業以来受け継がれてきた伝統の味を守りながら、来店するお客様一人ひとりを大切にする接客で、世代を超えて愛され続けている「ヨシカミ」。
今回は、代表取締役の吾妻弘章さんに、お店の想いやこだわりの料理について伺いました。

バンドマン二人がきっかけ!?「ヨシカミ」の誕生秘話
―創業の経緯について教えてください
洋食店としてスタートしたのは1951年のことです。その前は用品店やビリヤード場など、さまざまな商売をしていました。
その頃、バンド活動をしていた二人の名前を取って『ヨシカミ』と名付けたのが始まりです。
戦争で浅草一帯が焼け野原になりましたが、物資が少しずつ手に入るようになり、『もう一度商売を始めよう』と決心して開いたのが現在の洋食店です。
長く続く秘訣は「お客様を大切にすること」
―吾妻さんがお店を経営される上で特に大切にされていることは何ですか
もちろん、美味しい料理を提供することは大前提ですが、それ以上に大切にしているのは、お客様一人ひとりを大切にすることです。常連のお客様だけを優遇してしまうと、新しいお客様が入りにくくなってしまう。だからこそ、初めて来店されるお客様にも積極的に声をかけるようにしています。
例えば、若い世代の方々にとっては、もしかしたら当店の価格設定は少し高く感じるかもしれません。でも、それが逆に『特別な日に訪れる場所』としての価値を生んでいるとも思うんです。
『ちょっと奮発してヨシカミで食事をした』という思い出が、その人にとって大切な時間になる。そして、その思い出が世代を超えて語り継がれ、親子三代で訪れてくださる方も多くいらっしゃいます。
また、当店の特徴の一つにカウンターキッチンがあります。お客様と直接お話しできる距離感を活かして、料理だけでなく会話の時間も大切にしたいですね。
おすすめの「ビーフシチュー」じっくり煮込んだ一皿の魅力

―ビーフシチューのこだわりについて教えてください
ビーフシチューの味の決め手は、なんといってもデミグラスソースです。洋食屋の基本とも言えるこのソースですが、ヨシカミでは特別な材料を使うのではなく、シンプルな素材を時間をかけて丁寧に仕上げています。
具体的には、牛スジ肉、玉ネギ、にんじん、その他の香味野菜をじっくりと煮込んで作ります。最初から作り始めると完成までに約1週間かかりますが、手間を惜しまず、素材の旨味をしっかりと引き出すことを大切にしています。
時間をかけて作ったデミグラスソースだからこそ、その美味しさを十分に楽しんでいただきたいですね。
老若男女に愛される鉄板焼き・もんじゃ「雷門おすぎ」
浅草の観光名所といえば「雷門」。そのすぐ近くに店を構えるのが、鉄板焼きともんじゃ焼きの名店「雷門おすぎ」です。
創業以来、素材の味を最大限に活かしたシンプルなもんじゃ焼き作りを貫き、流行に左右されない味を守り続けてきました。
今回は、代表取締役の清水祐子さんに、お店のこだわりやおすすめメニューについて伺いました。

母から受け継いだ店、工夫を重ねてこだわりの味を守る
―お店の歴史について教えてください
創業からもうすぐ50年になります。もともとは祖母が小料理屋を始めたのがきっかけで、その後、母が店を引き継ぐ際にお好み焼き屋へと転換しました。私は三代目になります。
現在はもんじゃ焼きや鉄板焼きを中心に提供していますが、基本的な味の軸は祖母の代から変えていません。少しずつ食材の種類を増やしたり、現代の嗜好に合わせてアレンジを加えたりしていますが、根底にある味わいは守り続けています。
長年営業していると、常連のお客様も多くなります。
特に印象的なのは、もんじゃ焼き屋になってからは家族連れのお客様が増えたことですね。小料理屋時代は一人で立ち寄る方が多かったのですが、今では親子三世代で訪れてくださる方も増えました。
常連さんは当店の素材へのこだわりを理解してくださっているので、新メニューにも安心して試してくださり、興味を持っていただけるのが嬉しいですね。
流行に流されない!素材にこだわるもんじゃ焼きの特徴とは
―おすすめのメニューは何ですか
当店のおすすめは『えびエビもんじゃ』です。桜エビと生のエビをたっぷりとのせた一品で、新鮮かつ、エビの風味がしっかりと感じられます。
もともと当店はもんじゃ焼きと一緒にお刺身を提供していたこともあり、鮮度の良い魚介を仕入れるルートが確立しているんです。
また、出汁にはサバ節をメインに使用した混合節を使い、ソースや粉にも余計なものを加えず、素材の味を引き立てるように工夫しています。
最近ではキムチやチーズを使ったもんじゃ焼きも増えていますが、当店ではシンプルな味わいを大切にしているので、具材は厳選し、食材本来の旨味を楽しんでいただけるようにしています。

―もんじゃ焼きの焼き方にはどのようなこだわりがありますか?
当店のもんじゃ焼きは、食感を楽しんでいただけるようにキャベツをあえて細かく刻まず、大きめに切っています。これにより、食材のシャキシャキ感がしっかりと残ります。
焼き方のポイントは、まず土手を作って出汁を流し込んだ後、鉄板の上で軽く動かしながら二つに分けることです。
二つに分ける理由は、真ん中にできる“おせんべい”のようなカリカリ部分を味わっていただくため。
ここが、当店のもんじゃ焼きの隠れた魅力なんです。




キャベツを細かく刻まない理由は、先ほどお話ししたように食感をしっかり残すためでもありますが、もう一つ大切なポイントがあります。
それは、焼き上がったもんじゃ焼きがヘラにしっかりと乗るように計算されているんです。
キャベツの大きさを調整することで、アツアツのもんじゃ焼きを豪快にすくってシャキシャキの食感を感じながら食べていただきたいです。

最後に、お店を教えてくれた小栗さんからのひと言をご紹介します
今回ご紹介したお店は、職場の仲間と訪れたり、プライベートでもよく足を運んでいるお気に入りのお店で、私自身がよくいただいているメニューです。
「どぜうなべ」は、ささがきごぼうを追加し、ねぎと一緒にいただくと旨みがぐっと引き立ちます。「ビーフシチュー」も絶品ですが、特別感を味わいたいときには、ヨシカミ名物のステーキもぜひ。ジューシーで満足感たっぷりです。また、「もんじゃ」だけでなく、清水さんがこだわり抜いたお肉も絶品。ぜひ一緒に注文して、その美味しさを堪能していただきたいです。
浅草はおいしいお店が多く、人情味あふれる大好きな街です。これからも浅草のおいしいごはんを食べてエネルギーチャージをして、アサヒのファンづくりに励んでいきたいです!
text・photos 「ハレの日、アサヒ」編集部
駒形どせう:https://dozeu.com/
洋食ヨシカミ:https://www.yoshikami.co.jp/
雷門おすぎ:https://osugi.live-web.jp/
浅草には新しいスポットも増えていますが、昔ながらの情緒と温かみを感じられる老舗も数多く残っています。
今回ご紹介した「駒形どぜう」「ヨシカミ」「雷門おすぎ」は、そんな浅草の魅力を体現する名店ばかり!ご家族でも楽しめるお店も多いので、観光で訪れた際には、ぜひ立ち寄って、その土地ならではの味わいと人情を感じてみてください。