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朝専用缶コーヒー「ワンダ」誕生秘話

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朝専用缶コーヒー「ワンダ」誕生秘話

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10月1日は「コーヒーの日」。秋本番を迎えるこの頃には気温も落ち着き、朝や夜にはホットコーヒーも恋しくなることでしょう。そこで今回は、缶コーヒーの「ワンダ モーニングショット」を主役に、朝専用の缶コーヒーが生まれた舞台裏や、朝ならではの味の特徴などを紹介。また、アサヒの缶コーヒーの歴史や豆知識などもお届けします。

アサヒの缶コーヒーの歴史は45年以上!加熱装置付きの商品も

まずはアサヒの缶コーヒーの歴史から紹介します。初の商品は、アサヒ飲料の前身となる三ツ矢ベンディングが1977年に発売した「スリーアローコーヒー」缶250g。こちらは製造委託品でしたが、1981年には朝日麦酒によって自社製造の「三ツ矢コーヒーマイルド」缶250gを発売します。

三ツ矢コーヒーマイルド

その後1986年には、初の缶コーヒーブランド「NOVA(ノバ)」が誕生。“甘さを抑え、コーヒー本来の風味を生かした本格的なコーヒー”をコンセプトにしたおいしさで、大きな話題に。また1987年には、5分程度で60~70℃に温まる加熱装置付きの「NOVA ホットコーヒー 飲みごろ」を発売。当時缶コーヒーが100円だった時代に、190g入りで300円という希望小売価格でしたが、斬新な付加価値に注目が集まりました。

やがて昭和から平成に。1990年になると次世代のブランド「J.O.(ジョー)」へと刷新。コーヒー独特の香りや飲みごたえに着目し、贅沢な素材選びや独特のブレンド技術などを駆使した豊かな味わいが大ヒットします。

1996年にアサヒ飲料を設立。そして1997年に「WONDA(ワンダ)」が誕生しました。コンセプトは、継続飲用に適した“うまみがあって、すっきりしたキレ味”であり、ブランドビジョンは“明るく、前向きになれる缶コーヒー”。発売前には業界でも最大規模となる350万人を対象としたサンプリングを行うなど、華々しいデビューを飾りました。

そんな「ワンダ」の転機といえば2002年です。“朝専用”という時間軸をコンセプトにした「ワンダ モーニングショット」が登場。朝の目覚めの一杯として、深いコクと冴える苦味を実現した味わいは、これまでにない缶コーヒーの楽しみ方を広めるきっかけとなりました。

その後もプレミアムタイプの缶コーヒー「ワンダ 金の微糖」をはじめ、糖類ゼロ、微カフェインなど時代のトレンドに合わせた商品を次々と開発。新たな価値を提案し続けています。

なぜ“朝専用”?ワンダ モーニングショットの開発秘話に迫る

ここからは、ブランド担当者へのインタビューを通して「ワンダ」の特徴を深掘りします。解説するのは、マーケティング本部の山田謙太。2019年からコーヒーグループで商品戦略・販売戦略に携わってきました。

山田謙太。2024年9月からはお茶飲料の開発を担当

まずは「ワンダ」の誕生秘話から。名称は英語のWONDERFUL(ワンダフル。素晴らしいなどの意味)をモチーフにした造語で、“楽しく生きたい”というターゲット層の意識を踏まえ、新しい飲用気分を訴求する個性的なブランドネームで、かつ新しい缶コーヒーの世界をつくりたいという願いから生まれました。

「そのうえで、“明るく、前向きになれる缶コーヒー”は当初から変わらない『ワンダ』のビジョンです。ただ、世の中における“前向き”の捉え方は時代によって変わると感じており、例えば2024年春に新発売した『ワンダ コクの深味』は現代のインサイトに沿って開発したシリーズです。

具体的には、働き方改革の流れの中で、効率的に働く方々を応援できたらと。そこで、ひと口でも効率的においしいコーヒーでリフレッシュし、再び前向きな気分で仕事に臨んでいただきたい。そういった想いを込めました」

ボトル缶コーヒーの新シリーズ「ワンダ コクの深味」

「ワンダ」の看板商品である「ワンダ モーニングショット」も、“前向き”というブランドビジョンの中から生まれたといいます。

「きっかけは、“缶コーヒーって何だろう”と、本質を探る議論からですね。そこで浮かび上がってきたのが、“目覚めの1杯”や“始業前の気合い入れ”といったニーズです。加えて市場調査でも、気分転換などで缶コーヒーが最も飲まれる時間帯が午前に集中していることがわかり、朝専用というコンセプトが生まれました」

いまやおなじみとなった「朝専用」のアイコン

転じて、“朝の気つけの1杯”を表現した「ワンダ モーニングショット」という斬新な名称に決定。また、当初から変わらないテーマカラーの赤も、前向きなイメージや、朝を象徴する太陽といったモチーフから選定。この色は社内で「ワンダレッド」の愛称で親しまれています。

では、朝専用の味にはどんな特徴があるのでしょうか?

「2つありまして、1つめが『3たて』。焼きたて、挽きたて、淹れたてのことですね。朝一番のできたてコーヒーって、フレッシュな気分とともに前向きにもなれると思うんです。あのおいしさを表現するために、味わいにこだわって商品開発をしてきました。

そしてもう1つが、2008年からパッケージにも打ち出している『スッと飲めて、キリッと苦味。』。朝の気付けにスッとなじむ味にしています。加えて、後味はキリッとした苦みでスッキリした余韻に仕上げたほうが、仕事にもスマートに向かっていけると考えました」

「スッ」「キリッ」「苦味。」が、ほかの文字より少し大きなサイズで書かれているのもポイント

コーヒー豆の選定からブレンド、焙煎度合い、挽きの粒度、淹れる際の温度や蒸らしと抽出のタイミングなど、さまざまな条件を組み合わせて理想の味わいを実現。さらに、ミルクや甘さとのマッチング、コールドでもホットで飲んでもブランドらしさが伝わるかなどを考慮して、時代に合った「ワンダ モーニングショット」がつくられています。

「たとえば、甘さに関しては嗜好の変化に応じて控えられ、発売当初よりすっきりした味わいになっています。また、技術革新により業界全体でコーヒーのクオリティーが上がっており、同時に嗜好性も高まっていますよね。

そこで、より優雅に香る設計に仕立てたり、豆の産地にフォーカスした商品を発売したりしています。今期ですと、期間限定の『ワンダ 午後のブラジルBLEND』が新作にあたりますね」

2024年9月3日に期間限定で発売した『ワンダ 午後のブラジルBLEND』

缶コーヒーの豆知識!

アサヒグループが缶コーヒーを発売してから半世紀近い年月が経ちますが、缶コーヒーにはどんな特徴があり、どう進化してきたのでしょうか。こうした豆知識も教えてもらいました。

「缶コーヒーは、ほかの飲料に比べて自動販売機でよく売れる傾向があります。なぜかというと、職場や通勤途中といった場所で定期的に購入されやすいから。言い換えれば、働くシーンにおいて習慣化されやすい飲料であるということですね。

そこで我々も、ちょっとした変化を感じられたり、飽きないような工夫もしたいと考えており、自動販売機専用の限定商品を定期的に発売しています。また、『ワンダ モーニングショット』は朝専用ですが、お昼や夜もぜひ『ワンダ』を飲んでいただきたい。そこで、午後の休憩時や帰宅の際には、そのシーンに向けた味わいの商品を用意しています」

基本的なサイズが、他の飲料に比べて小さめなことも缶コーヒーの特徴です。「ワンダ」でも、「ワンダ モーニングショット」をはじめ定番銘柄の多くが185g。ここにも、缶コーヒーが仕事の短い休憩中にサクッと飲まれやすいという利用シーンが反映されています。では、缶コーヒーはどのように進化してきたのでしょうか?

「味わいでいえば、コーヒーの歴史は『ウェーブ』で語られる側面がありますが、ファーストウェーブの到来でコーヒー文化が家庭に普及すると、その味を手軽に楽しめることが缶コーヒーの価値になったと思います。

やがてセカンドウェーブでシアトル系のエスプレッソが浸透すると、多様化が進んでラテや微糖といったラインアップも増えていきました。そして、スペシャルティコーヒーやサードウェーブコーヒーのような、より高品質な味わいが広まると、豆の産地を訴求したり、有名店やバリスタとコラボレーションしたりといった商品が増えていったといえるでしょう」

「ワンダ」がデビューして25年以上。今後はどのように進化していくのでしょうか。

「缶コーヒーはさまざまな商品が発売されていますし、コンビニのカウンターコーヒーやペットボトルコーヒーなど、販売先や形状もさまざまです。とはいえ、短時間で気分を切り替えられるという点は缶コーヒーならではの価値であり、普遍的なニーズもあります。

その中で『ワンダ』は“明るく、前向きになれる缶コーヒー”というビジョンをこれからも軸に、朝であれば『ワンダ モーニングショット』など、シーンに合わせたアプローチをしていきたいと思います」

最後に豆知識をもう一つ。自動販売機は地域などによるものの、春先にコールド仕様となり、9月を目途にホットとコールドのハイブリッド仕様に切り替わるのだとか。ホットの温度は約50℃前後。肌寒さを感じたら、ぜひ「ワンダ」で一息つきませんか。

文・撮影:中山秀明

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