もったいない!をカタチに【2】コーヒーかす
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捨ててしまうモノに新たな価値を与える“アップサイクル”という言葉を耳にすることも増えました。この連載では、「そのまま捨ててしまうのはもったいない!」という素材を上手く活用して、新しい価値を生み出す取り組みを紹介します。第2回目は、コーヒーかすを活用した製品です。
INDEX
身近なコーヒーが抱える環境問題とは?
ほっと一息つきたい時やリラックス時間、私たちの日常に欠かせないコーヒー。しかし、その裏で毎日大量のコーヒーかすが廃棄されていることをご存じですか?コーヒーかすとは、焙煎・粉砕したコーヒー豆を熱水抽出した残渣のこと。主に家庭や喫茶店・飲食店、清涼飲料メーカーなどから排出されます。
日本のコーヒー消費量は年間約40万トン(2023年)※。一説によると、抽出後のコーヒーかすはかすと同量程度の水分を含むため、廃棄量は約80万トンに及ぶと推定されています。このうち再利用されるのはごく一部で、ほとんどは焼却されるか埋め立て処分されており、環境への悪影響が問題視されています。そんなコーヒーかすを活用するために、企業や自治体ではアップサイクルに取り組んでいます。
活用事例1:石鹸やキャンドルに変身
コーヒーかすを「コーヒーグランズ」と呼び、ひとつの素材として定義しアップサイクルに取り組む「COFEE FREAK PRODUCTS」は、おうち時間に楽しめるキャンドルと石鹸を販売しています。
「COFFEE CANDLE」はエスプレッソ抽出後のコーヒーグランズと北海道・富良野にある瀬尾養蜂園の蜜蝋を使い、工房で一つ一つ丁寧に手作りしています。蜜蝋の甘い香りとコーヒーの芳しい香りがほのかに香り、優しい雰囲気を演出してくれます。
「COFFEE SOAP」はカフェで生まれたコーヒーグランズから作られた石鹸。天然素材をふんだんに使用した石鹸素地に、コーヒーグランズが混ぜ込まれているので、スクラブ効果を感じられます。手作りなので、人のぬくもりが感じられる石鹸です。ちょっとした手土産にもおすすめですよ。
活用事例2:コーヒーを余すことなく楽しめるエコカップ
アサヒグループでサステナビリティ事業を展開するアサヒユウアスは、国内のオフィスやカフェなどから出たコーヒーの副産物をアップサイクルするために「Coffeeloopプロジェクト」を立ち上げました。
カフェや企業、ホテルから出たコーヒーかすをアップサイクルして作られた「Coffeeloop カップ」は、コーヒーかすと間伐材の木粉、リサイクルポリプロピレンを使って製造します。リサイクルポリプロピレンは、コンタクトレンズの工場で発生する未利用の端材を原料としているため、新規プラスチックを利用していません。カップの表面は強度を維持するため、職人による”塗り”の技術によるコーティングが施されています。
さらに、味の素 AGFと共同開発したエコカップ「Aroma Loop」の原料には、味の素AGFの工場で生じる規格外のコーヒー豆や粉を使用。抽出後のコーヒーかすに留まらず、コーヒーを余すところなく活用する取り組みを進めています。
「Aroma Loop」は、コーヒーの香りが引き立つ形状になっているので、味わいをはっきりと感じることができます。下半分は二重構造となっているため熱が逃げづらく、コーヒーの温度が長持ちするんですよ。
コーヒーを飲んで終わりではなく、その後も楽しめるアップサイクル。新しいコーヒーの楽しみ方を取り入れてみませんか?