国際女性デーに考える、「私らしい働き方」の現在地
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3月8日は国際女性デー。働くことは、男女問わず自己実現のひとつとして捉えられる時代になりました。アサヒグループでも、ライフイベントを経てもキャリアを続けるのは特別なことではありません。
今回はその一例として、産育休を経て職場復帰し、現在はそれぞれの持ち場で活躍する4名の社員に話を聞きました。戸惑いや迷いを超えて見えてきたのは、完璧を目指すのではなく、変化のなかで自主的に築いていく自分らしいしなやかなキャリアの形でした。
座談会メンバー(左から順に、2026年1月現在)
塚田 純子(つかだ じゅんこ)
アサヒビール マーケティング本部 消費者インサイト部
3人の子どものお母さん。現在は消費者インサイト部の副部長兼消費者研究のリーダー。
小林由佳(こばやし ゆか)
アサヒグループジャパン カルチャー共創部
2人の子どものお母さん。現在は社内広報のチームリーダー。
佐藤 愛美(さとう めぐみ)
アサヒ飲料 CSV戦略部
2人の子どものお母さん。復職と同時に異動・転居を経験。現在はCSVビジネスや新規事業部門のチーフプロデューサー。
八尋 玲(やひろ れい)
アサヒグループ食品 経営企画部 財務グループ
2人の子どものお母さん。未経験の財務部門へ復職。現在は時短勤務で専門性を磨く日々。
INDEX
復職のリアル 「浦島太郎」から始まった日常
―まずは、復職当時の「リアル」から。ブランクを経て戻る職場には、戸惑いも多かったのではないでしょうか。
小林:私は2人続けて産休・育休を取ったので、2年半のブランクがありました。もともと広報の仕事をしていて、復職後も「広報として戻りたい」と希望し、専門性をアップデートする気持ちで復職しました。しかしコロナ前に育休に入り、復職後はコロナ禍で戻ると「浦島太郎」状態。皆さんが在宅勤務をしてTeamsを活用していることに驚きました。上司に「Teamsで打ち合わせしよう」と言われ、デジタル環境の変化に追いつくところからの再スタートでした。
在宅勤務では困っていることが伝わりにくく、自分から「助けて」と発信することの大切さを痛感しましたね。なので「Teamsとメールはどう使い分けるの?」といった基本から、とにかく周りに聞きました。
塚田:私も同じような経験があります。地区営業から本社のマーケティング本部へ異動しての復職だったので、文化の違いに衝撃を受けました。営業時代は手帳で予定を管理していましたが、本社ではOutlookで予定を共有するスタイル。「早く慣れるように、みんなでフォローしよう」と声がけがあり、一つずつ学ぶところからスタートしました。
八尋:私は広報から、専門性を広げるために自ら希望して未経験の財務への異動をして復職しました。業務知識ゼロからのスタートでしたが、後輩がTeamsをつなぎっぱなしにして丁寧に教えてくれて。その優しさに救われました。
小林:つなぎっぱなし、優しい……!そういう助けって本当に心強いですよね。
佐藤:私は勤務地が変わり引っ越しもして、知らない方が多い部署へ復帰することに不安でしたが、周囲のサポートが手厚く、思っていたよりもスムーズに馴染むことができました。
―塚田さんは、育休中の経験が「仕事の糧」になったとおっしゃっていましたね。
塚田:そうなんです。営業時代は「なぜビールをもっと買ってくれないんだろう」と思っていましたが、主婦としてスーパーに通うようになり、感覚が一変しました。卵1パックの10円の差に敏感な世界を肌で知り、「嗜好品であるビールに、これだけのお金を払ってくださるお客様は本当にありがたい」と痛感したんです。育休中に得た「生活者としての実感」は、今の仕事において、何より大切な「視点」となり、仕事の価値創出につながっていると感じます。
「両立」という言葉を手放してみる
―働きながらの育児は時間との戦い。皆さんはどのように両立されていますか?
八尋:私は限られた時間で成果を出すために、優先順位の設計を変えました。夜片付けても翌朝にはまた散らかるので、そこにエネルギーを使うよりは、掃除も洗濯も家電に任せて、自分はご機嫌でいることを優先しています。仕事でも、財務の資料作成で「本当にこの資料は必要?」と見直して、使われていないなら“やめる提案”をしています。限られた時間で成果を出すには、「やらない」ことを決める勇気も必要だと思っています。
佐藤:私もそう思います。全方位でベストを目指すのは無理ですよね。家事は「自分が満足できるそこそこのレベル」でよしとする。一方で、仕事では限られた時間の中で、最大限の集中力を発揮したいと思っています。
小林:両立は……正直、できていないです(笑)。仕事に傾く日もあれば、家庭に傾く日もある。状況に応じて重心を変えるのも、働き続けるための選択だと思っています。
佐藤:「できていない日があってもいい」という言葉に救われますね。
塚田:仕事と家庭のバランスが取れていない時があっても、「自分の心のバランスが取れていれば良し」ですよね。理想を追いすぎると疲れるから、「いつかは何とかなる」と。あと、みんなに共通していると思うのは「人と比べない」こと。それが一番の秘訣かもしれませんね。
ワンオペ、ドタバタ……「チーム」で乗り越える
―家庭や職場でのサポートについてはいかがでしょう。
塚田:我が家は役割を固定せず、「気づいた人がやる」スタイルです。「お皿洗いは誰」と決めてしまうと、やっていない時にイライラしてしまうので。ただ、私自身が外食や飲み会に行く時間を確保するには、少し時間がかかりました。「私も夜の外出時間が必要だ」と、根気強く伝え続けて(笑)。そんなふうに、お互いの希望を「あきらめずに話し合うこと」も大事なのかなと思います。
佐藤:伝えることは大事ですよね。私は家事や子どもの送り迎えは夫と分担しつつ、今後はファミリーサポート(※)などの有料サービスも頼るつもりです。
※ファミリーサポートとは、市区町村もしくは委託を受けた事業者が運営する地域の相互援助活動
小林:私の場合、夫が2週間育休を取ったことで、「時間は有限」という感覚を共有できたのは大きかったです。夫は出張が多くワンオペになることもありますが、私が海外出張に行くこともあります。
八尋:職場では時短勤務なので、夕方の対応はチームのメンバーに頼むことも。今は「受け取る期間」だと思って、感謝を伝えて助けてもらっています。フェーズによって支える側・支えられる側が入れ替わり、お互いに助け合っている会社だと感じます。私も立場が変わったら恩返ししたいです。
小林:私は在宅勤務の選択肢があることには本当に助けられていますね。通勤にかかる2時間が業務に充てられるので、「これがなかったらどうなっていたんだろう?」と思うことがあります。気持ちの余裕が全然違います。
塚田:アサヒグループは育児に関する制度やサポートはかなり整っていると感じていますし、実際に子どもがいながらバリバリ働いている方も多いですよね。
子育てだけでなく、介護や家庭の事情、自分自身の体調や心など、「思う存分働けない理由」は人それぞれ。ライフイベントの種類に関係なく、誰かが立ち止まる時に、「お互いさま」と自然に支え合える。そんな文化をもっと広げていきたいです。
佐藤:本当にそうですよね。「お互いさま」と思えるだけで、助けてもらった時も、また自分が返せばいいと思えて、働く上での安心感が全然違うなと感じます。
変化を恐れない。「働くこと」が家族を支える力になる
―育休を経て、仕事への向き合い方は変わりましたか?
佐藤:子どもがもっと小さいころは子どもの体調不良と仕事のスケジュール調整が続く毎日で落ち着かなかったです。今は子どもの健康や成長を大切にしながらも、自分がやりたい仕事にはできるだけ挑戦したいと思っており、今の所属しているCSV戦略部には、新しい仕事に経験したいという思いから希望を出して異動してきました。家族の生活を通して幅広い年代向けのモノやサービスに触れる機会が増えたので、その経験を仕事にも生かせると感じています。また、これから育児をする人たちが状況を共有しやすい職場づくりにも、少しずつ取り組めたらいいなと思います。
八尋:元々は「復職したらバリバリ働こう」と思っていました。でも、今は少しペースを落としています。「子どもとの時間をもっと大事にしたい」と思うようになったんです。上司に相談したら「キャリアは長いから、数年ペースを落としても大丈夫。その間も、着実に力を積み上げられるように役割や学びは一緒に考えよう」と言ってもらえて。心強かったです。今は焦らず、子どもの時間も取りつつ、できる範囲で資格取得などにも挑戦しています。
小林:子どもが成長してある程度会話ができるようになると、より離れがたくなって揺れる時もありましたが、仕事と家庭の距離感を自分なりに見つけてきました。最終的には、子どもに「仕事をするって悪くないかな」と思ってもらえたらうれしいですね。
塚田:次男が病気続きで思い切って休んだ時期がありました。その期間に今度は夫が大病を患って、その時初めて「私が働き続けていることが家族のセーフティネットになる」と気づいたんです。それまでは、仕事を続けるのは自己満足なんじゃないかという後ろめたさもありましたが、「100点満点じゃなくても働き続けることに意味がある」と思えました。人生の変化に翻弄されることは、決してマイナスじゃないと感じています。
ライフイベントを迎える、すべての人へ
―最後に、これからライフイベントを迎える人に向けて、いま伝えておきたいことはありますか?
佐藤:その時々で仕事と生活のバランスを見直し、自分が満足できる“ウェルビーイング”な選択をしていただきたいです。経験全体を通して得られるものは、考え方の幅を広げてくれるはずと思います。
小林:「人と比べない」こと。仕事も家庭も人それぞれ違うので、比較しても意味がありません。あと、キャリアにはいろいろな高度があってもいいので、「飛び続ける」ことが大事だと思います。そのことが、先々の自分の選択肢を広げると信じています。
塚田:育休を「ブランク」と捉えず、「チャンス」と思って楽しんでほしいです。今まで見えなかった世界が見えるので、その経験は必ず仕事に生きます。そして踏ん張り時は誰にでもあるから、一人で抱え込まないで、周りを頼ってほしいです。
八尋:不安に思わなくても大丈夫です。なんとかなります。やりたいと思ったことは躊躇せず挑戦して、無理だったらやめればいいし、間違えたら修正すればいいと思います。
実はこの4人は、今回の座談会がほぼ初対面。それにもかかわらず、育休や復職という共通の景色を歩んできた者同士、話は尽きることなく、その言葉の一つひとつに深く頷き、共感し合う静かな熱気に満ちた時間となりました。
取材後には、「せっかくだから」と、そのまま4人でランチへ。育休や復職という共通体験が、会社の垣根を越えて人をつなぐ、そんな一幕でした。
text「ハレの日、アサヒ」編集部


アサヒグループでは、ライフイベントの有無に関わらず、一人ひとりが自分らしいキャリアを描き続けられる環境づくりに注力しています。働き方の多様性を前提に、誰もが長く挑戦し続けられる企業でありたい。そんな思いを、これからも形にしていきます。