知ればもっと食べたくなる発酵食品の魅力って?
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パン、しょうゆ、みそ、チーズ、納豆など、日本人の食生活には発酵食品が欠かせません。
普段あまり意識することはありませんが、そもそも発酵食品はどんな風に作られて、お店や食卓に並んでいるのでしょうか?
微生物の働きという漠然としたイメージはあるものの、詳しい製造過程は知らなかったりしますよね。
それ以外にも、発酵食品と他の食品との違いや、日本が発酵大国と呼ばれる理由、発酵食品を使ったおいしいレシピなどなど、知っておくと毎日の食生活がちょっぴり楽しくなるかもしれない、発酵食品のあれこれをお届けします。
INDEX
そもそも発酵食品ってなに?言葉の定義を確認
発酵食品の定義についてご説明する前に、まずは”発酵”とはなに?というところからご説明します。
発酵は、微生物の働きによって食材の味が変化したり、栄養価が高まったりすることを言います。よく似た言葉に”腐敗”がありますが、二つの言葉の違いは「人にとって有益な変化をもたらすかどうか?」という点。具体的には、栄養価が高まる、おいしくなる、うまみが増すなど、私たちにとって好ましい変化がある場合は、発酵と定義されます。
ただ、たとえば納豆の風味や匂いが苦手な人がいるように、好ましいかどうかは人それぞれの感じ方によって判断されるため、その線引きはやや曖昧と言えるかもしれません。
簡単にいえば、発酵食品とは微生物の力を借りてパワーアップした食品のことである。と言えます。
代表的な発酵食品一覧
私たちの生活に身近な発酵食品をまとめました。一度は口にしたことがあるものがほとんどですね。
調味料
しょうゆ、みそ、豆板醤、コチュジャン、酢、塩麹
魚
かつお節、塩辛、くさや、魚醤、アンチョビ、ナンプラー
肉
生ハム、サラミ、ドライソーセージ
乳製品
ヨーグルト、チーズ、サワークリーム
野菜・豆
納豆、ピクルス、ぬか漬け、キムチ、ザーサイ
酒・飲み物
ビール、ワイン、ウイスキー、焼酎、ウォッカ、日本酒、烏龍茶、紅茶
スウェーデンの伝統食材シュールストレミング
「世界一くさい料理」としてテレビのバラエティ番組などでもよく見かけるシュールストレミングですが、スウェーデンでは長い歴史を誇る発酵食品です。
衣服についたら二度と取れないと言われるほどの強烈な匂いがある一方で、発酵食品独特の味がクセになる人も多いのだとか。人生で一度はチャレンジしてみたい珍味ですね。
微生物を知れば発酵食品がもっと面白くなる
微生物の働きで発酵食品ができあがることは先ほどお伝えしましたが、その微生物にも多様な種類が存在します。中でも、発酵食品の製造に一役買ってくれている、代表的な5つの微生物を紹介します。
麹菌(こうじきん)
みそ、しょうゆ、本みりんなど、私たちに馴染み深い調味料の多くが麹菌の働きによって作られています。他にも日本酒、焼酎、漬け物などにも用いられており、日本の食文化に欠かせない微生物といっても過言ではありません。
カビの一種である麹菌には多くの酵素が含まれており、食材に甘み、うまみをプラスしてくれます。
酵母菌(こうぼきん)
ビールやパンに使用されることでよく知られる酵母。アルコール発酵を行うため、お酒の醸造に使われてきた歴史があります。酵母には、食べ物に含まれる糖質を分解する働きがあるため、美容や健康の面からも注目されています。
乳酸菌(にゅうさんきん)
体に良い働きをする善玉菌の代表格である乳酸菌。
腸内環境を整えてくれることでも広く知られています。ヨーグルト、チーズなどの乳製品だけではなく、キムチ、ぬか漬けなどの漬け物の製造過程においても乳酸菌が活躍しています。
酢酸菌(さくさんきん)
お酢造りに欠かせない酢酸菌は、アルコールを酢酸に変える細菌の総称で、お酢特有の酸味やツンとした刺激臭も酢酸によるものです。
意外にもナタデココの製造にも酢酸菌が使われています。
世界一の発酵大国 日本
ヨーグルト、チーズ、豆板醤など、海外にも発酵食品(英語:fermented food)は存在します。しかし、その数においては日本が世界一で、まさに発酵大国と言えます。
では、なぜ日本では発酵食品がここまで広まったのか?というと、大きく二つの理由が考えられます。
湿度が高くジメジメとした気候
湿度が高く、過ごしにくさを感じてしまいがちな日本の気候ですが、実は微生物の繁殖にはうってつけ。梅雨時など、湿気の多い時期に食品を腐らせてしまったという経験のある方も多いかと思いますが、裏を返せば発酵に最適な気候とも言えるのです。
ジメジメした天気がおいしい発酵食品を生み出してくれると思えば、少しは気分も晴れるかも。
日本独自の麹菌文化
先ほど代表的な微生物として麹菌を紹介しましたが、麹菌を使った発酵食品は日本をはじめとするアジアで親しまれています。
そもそも麹は中国から日本に入ってきたとされていますが、とりわけ稲作が盛んだった日本では、米を使って麹を作る米麹が広まりました。そこからみそ、しょうゆなど、日本料理に欠かせない発酵食品が生まれたのです。
麹菌を使った発酵食品の進化が、日本独自の発酵文化を形作っていると言っても過言ではありません。
趣味にもぴったり!手作り発酵食品のすすめ
発酵食品を手作りする、と聞くと難易度が高そうに聞こえますが、いえいえそんなことはありません。材料さえ揃えれば、誰でも自宅で簡単に作れるのです。また、最近は手作りキットも多く販売されており、より手軽に発酵食品を手作りできるようになっています。
自分が作りたい発酵食品を選んで、心をこめて仕込み、数ヶ月かけて熟成の過程をじっくり楽しむ。そんな贅沢な時間の使い方は、大人の趣味にもぴったり。お子さんのいるご家庭では、食育も兼ねて家族でチャレンジしてもいいかもしれませんね。
レパートリーに加えたい!発酵食品を使ったおいしいメニュー
アサヒビールが運営するスバうま!おつまみレシピでは、お酒に合うおつまみのレシピを多数掲載しています。今回は、その中から発酵食品を使ったレシピをピックアップしてご紹介します。
みょうがの味噌焼き
シャキシャキの歯ざわりで風味の良いみょうがと、香ばしく焼いた味噌との相性間違いなしの”カンタン!うまい!”おつまみです。
香ばしく焼けた味噌にはノド越し爽やかなビールで召し上がれ。個性のある芋焼酎や泡盛に合わせてもいいですね。お酒のおつまみにオススメの品です。(スバうま!おつまみレシピより引用)
詳しいレシピはこちら
塩麹マリネ炒め
食べ頃は、1晩おいてから。保存はききますが、1週間以内に食べ切りましょう。
キノコの旨味と食感をシンプルに楽しめるおつまみには、白ワインがピッタリ。すっきりとしたスパークリングと合わせても爽やかですね。パスタの具として使ってもおいしいです。(スバうま!おつまみレシピより引用)
塩ヨーグルト漬け
ぬか床は少々ハードルが高くても、塩ヨーグルト漬けは初心者でも気軽に始められます。
ヨーグルトの匂いも気にならずさっぱりとした味わいになります。スッキリとした麦や風味豊かな芋焼酎と一緒に楽しみたいですね♪ もちろん辛口のビールにもよく合います。(スバうま!おつまみレシピより引用)
詳しいレシピはこちら
実はカルピス®︎も発酵食品です
アサヒ飲料が販売しているカルピス®︎は1919年7月7日の発売以来、100年以上愛されてきました。乳酸菌飲料であるカルピス®︎も、実はカルピス菌という微生物のチカラを用いて作られる発酵食品の一つなのです。
100年以上受け継がれているカルピス菌
カルピス®をつくるのに欠かせないカルピス菌は、乳酸菌と酵母からなる微生物の集団です。カルピス®の生みの親である三島海雲が、大正時代に乳酸菌を研究する中で、偶然発見しました。
現在に至るまで100年以上、継ぎ足して受け継がれています。カルピス®菌がなくなってしまったらカルピス®をつくれなくなってしまうため、戦時中は空襲から原液を守るため、一時疎開させていたという話もあるのだとか。
発酵食品の奥深さを知れば毎日の食事がもっと楽しくなる
発酵食品は日本の食文化の発展に寄り添ってきた、なくてはならない存在です。手間暇かけて作られた発酵食品の製造過程や、目には見えない微生物たちの働きに思いを馳せてみると、もっとおいしく感じることができるかもしれませんね。
知れば知るほど奥が深い発酵食品を、明日からの家庭の食卓にプラスしてみませんか?