万博で発見!世界初のナトリウムイオン電池蓄電の自販機
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開幕から1カ月が経過した「大阪・関西万博」。ますますの盛り上がりを見せていますね。これから夏に向けて暑さが厳しくなる中、会場内での水分補給は欠かせません。万博会場には環境に配慮したアサヒ飲料の自動販売機「CO2を食べる自販機」も約50台設置されています。
今回は、万博で目にすることができる自動販売機「CO2を食べる自販機」と「未来につなぐ自販機」を紹介します。
INDEX
「CO2を食べる自販機」とは?
「CO2を食べる自販機」の仕組み
自動販売機は周辺の大気を吸いこみ、その大気を利用して商品を温めたり冷やしたりするためなどに電力を消費し、その過程でCO2を排出しています。
一方、アサヒ飲料が展開している「CO2を食べる自販機」は、自動販売機内にCO2を吸収する特殊材を搭載し、大気中のCO2のみを吸収します。CO2を吸収しても自動販売機の稼働に影響はなく、大気中のCO2を吸収する木と同じような役割を果たしています。

1台当たりのCO2吸収量は、稼働電力由来のCO2排出量の最大20%を見込んでおり、スギ(林齢56-60年)に置き換えると約20本分の年間吸収量にも相当します。現在は関東・関西エリアを中心に、約1,560台設置しています。※
※ 2025年4月末時点
回収したCO2はどうなるの?
アサヒ飲料では自動販売機から回収したCO2吸収材を、この取り組みに賛同する各自治体や企業と共創しながら、アスファルトやコンクリート、タイルなどさまざまな工業原料として活用を開始しています。

実際にCO2吸収材などを主原料とした内装用タイル「二酸化タイル」を日本エムテクス株式会社と共同開発しました。一般的なセラミックタイルは焼いて製造しますが、このタイルは主原料となる素材と水を混合したものを圧縮・硬化させて製造する無焼成のタイルです。原料にCO2吸収材を使用し、また焼かずに製造することで従来の無焼成タイルに比べCO2排出量を大幅削減しています。
世界初!ナトリウムイオン電池蓄電により稼働する「未来につなぐ自販機」
「未来につなぐ自販機」は、「CO2を食べる自販機」に太陽光パネル、ナトリウムイオン電池を搭載した自動販売機です。大気中のCO2を吸収することはもちろん、太陽光で発電し、その電力をナトリウムイオン電池に蓄電することで、自然エネルギーを使用して稼働することが可能となっています。
従来の「CO2を食べる自販機」は稼働するための電源が必要でしたが、この「未来につなぐ自販機」は自家発電のため、稼働電力由来のCO2を排出せずに稼働することができます。

太陽光発電だと、稼働していない時間もあるのでは?と思った方もいるのではないでしょうか。今回は大阪・関西万博のコンセプトである「未来社会の実験場」を実践するために、あえて電源を使用しない完全オフグリッド式を採用しました。電源を使用しないことで、天候不良などで動いていない時間帯もあるかもしれませんが、この実証実験を通して自然エネルギーの有効性、ナトリウムイオン電池の持続性を検証しています。開幕から4日間悪天候でしたが4月は1度も止まらず稼働していますので、現時点では順調な実験結果となっています。
現在「未来につなぐ自販機」は世界に1台、この万博会場に設置してあるものだけです。静けさの森ゾーンの西ゲート側に設置してありますので、ぜひ探してみてください。

text・photos 「ハレの日、アサヒ」編集部
環境に優しい自動販売機を会場で見つけてみてくださいね。水分補給と暑さ対策を忘れずに、万博を楽しみましょう!