もったいない!をカタチに【3】ぶどうの搾りかす
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捨ててしまうモノに新たな価値を与える“アップサイクル”という言葉を耳にすることも増えました。この連載では、「そのまま捨ててしまうのはもったいない!」という素材を上手く活用して、新しい価値を生み出す取り組みを紹介します。第3回は、ぶどうの搾りかすを活用した製品です。
INDEX
ワイナリーを悩ます「ぶどうの搾りかす」の有効活用
ワインの製造工程ではぶどうの搾りかすが大量に発生し、その量は日本国内で毎年数千トンにもおよぶと言われています。この搾りかすの有効活用は、多くのワイナリーにとって重大な課題となっています。
ぶどうの搾りかすは、牛の飼料や堆肥として活用されることもありますが、水分を含むため保存性が低く、多くは産業廃棄物として焼却処分されています。その一方で、ポリフェノールを豊富に含んでおり、さらなる活用が期待されています。
活用事例1:ニジマスをもっとおいしく。うま味とコクを増やす飼料に変身
株式会社メニコンは、2016年からワインの製造工場で発生するぶどうの搾りかすのアップサイクルを手掛け、山梨県の大型ニジマス「甲斐サーモンレッド」の飼料として活用する取り組みを行っています。山梨県内のワイナリーから搾りかすを回収して乾燥粉末化し、長期保管を可能にすることで、有効活用の手段を確立しました。
日本国内有数のワインの生産地である山梨県は、清らかな水資源を生かした養殖業も盛んで、搾りかすを「甲斐サーモン」の飼料に配合する研究が行われてきました。ぶどう果皮粉末を飼料に混ぜるとマスのうま味とコクが増し、鮮度をより長く保ち、病気にかかりにくくなる傾向があることがわかっています※1。
「甲斐サーモンレッド」は、飼料にぶどう果皮粉末を混ぜる等の一定の基準を満たして養殖したマスで、山梨県養殖漁業協同組合によって命名されました。県内の養殖業者が販売しており、味わい深く、環境にも優しいブランドマスとして注目されています。山梨県が誇るおいしくてサステナブルなブランドマス「甲斐サーモンレッド」をぜひ一度お試しください。
活動事例2:ぶどう搾りかすをエコカップやマイボトルに変える「wineloop プロジェクト」
サステナブルな商品開発を手掛けるアサヒユウアスは、山梨県内のワイナリーから出たぶどうの搾りかすを回収し、アップサイクルする「wineloop プロジェクト」を展開しています。この取り組みの第1弾として、メニコンと協力して開発したのが、リキャップできるボトル「森のマイボトル wineloop」とリユースカップ「wineloop タンブラー」です。
「森のマイボトル wineloop」と「wineloop タンブラー」の特長
「森のマイボトル wineloop」:原料の20%にぶどうの搾りかすを使用
「wineloop タンブラー」:原料の30%にぶどうの搾りかすを使用
メニコンのコンタクトレンズの工場で発生する未利用の端材 (リサイクルポリプロピレン)も一部使用しています。
「森のマイボトル wineloop」と「wineloop タンブラー」は、ECサイト「アサヒユウアスモール」※2や「メニコンライフサイエンスONLINE」で購入できます。また、山梨県内の飲食店などでも活用されています。今後も賛同するワイナリーや施設などを募りながら、サステナブルな取り組みを拡大していく予定です。
「アサヒユウアスモール」
「メニコンライフサイエンスONLINE」
text 「ハレの日、アサヒ」編集部
ぶどうの価値を余すところなく活用した搾りかすのアップサイクル。この取り組みから生まれたお気に入りの逸品を探してみてはいかがでしょうか?