すぐに使える!スマホカメラの撮影テクニック Vol.2【食べ物編】
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おいしそうな料理、素敵な風景、可愛い動物。スマートフォンでの撮影のコツを、フォトグラファー吉野莉南さんが「ハレの日、アサヒ」編集部に直伝!連載2回目は、【食べ物篇】です。
プロフィール
吉野 莉南(通称: おかりな)
学生時代は隠岐島で青春を過ごし、半年間東南アジアを巡る旅に。
人と動物の持つ関係性についての作品を撮り続け、現在はフリーランスフォトグラファーとして主に物撮りや料理の広告写真を専門に活動。
2022 年から個人向けにペット撮影サービスを開始。
INDEX
食べ物の撮影は「光の向き」を意識しよう
〔編集部:〕 浅草にはおいしいものがたくさんあるので、食べ物と一緒に撮影する方が多いですね。この「ジャンボメロンパン」もそのひとつ。そしてメロンパンを販売しているお店の壁にはたくさんの風車が飾られていて、まさに“映えポイント”です。
1回目の【街歩き編】で学んだ「構図」を思い出して撮影してみました。ジャンボメロンパンのサイズ感も出ていると思います。
〔おかりなさん(以下:おかりな):〕 写真に奥行きがあり、さらに顔の近くに「ジャンボメロンパン」を持ってきているのはGOODです。パンの大きさがわかります。ただ、これだとせっかくの壁の装飾やメロンパンの美味しさが伝わりにくい気がします。主題や副題がはっきりと決まってる場合には余計なものは写さずど真ん中に持ってきちゃいましょう!
私が撮影するなら、このような感じでしょうか。ジャンボメロンパンを頬張って、おいしさ感も表現してみました。
第1回目の雷門をバックに撮影した時と同様に、「望遠モード」にして後ろをぼかしています。こうすると人物に視線が集まります。人物をしっかり撮りたい時は、「ポートレート機能」と合わせて覚えておくと便利ですよ。
撮影協力:「浅草 花月堂」東京都台東区浅草2-7-13
〔編集部:〕 浅草には甘味処もたくさんあります。今の時期はかき氷などの冷たいスイーツが食べたいですよね。おいしそうなかき氷が来ました。写真を撮ってみます!
いちごのかき氷がとても美味しそうに撮れました。でも、顔に影が・・・。
〔おかりな:〕 スイーツなどの料理を撮影するときのポイントは「光の向き」です。カフェで撮影をするなら、自然光が入る窓際の場所をおすすめします。
光が被写体の前方から当たる「順光」と後方から当たる「逆光」があるのですが、「順光」だと色がキレイに映ります。もちろん人もそうです。窓際を向いてもらうと顔に影ができずに撮影ができます。
〔おかりな:〕おいしいかき氷を食べている雰囲気も写真に残したいですよね。この写真からは「冷たくておいしい~~!」という表情が伝わると思います。
そして、パフェのような高さのあるものは出来るだけ「目線を揃える」ようにしましょう。また、料理の正面をきちんと合わせることも大切です。もちろん「ポートレート機能」を使って被写体を際立たせることも忘れずに!
編集時に文字などを入れるのであれば、その部分のスペースも考えて少し引き目に撮影しましょう。
「逆光」になる場合は、それを逆手にとり撮影すると少しレトロ感が出て、いわゆる「エモい」写真になります。「画像編集・加工アプリ」を使うのもおすすめです。お気に入りのフィルータ―を選んで、「エモい」写真にしてみてください。
撮影協力:「浅草 甘味処 彩夏」東京都台東区浅草1-32-3 1F
しっかり目立たせたい時は、背景はシンプルに
〔編集部:〕 アサヒグループ本社ビル22階にある「アサヒスカイルーム」に移動してきました。ここからは浅草の街が一望でき、さらにアサヒのおいしいビールを飲むことができます。
街並みと一緒に氷点下の「スーパードライエクストラコールド」の写真を撮ってみましたが、少しごちゃついた感じになってしまいました。
〔おかりな:〕 グラスの中にビル群が写り込んでいるのがごちゃついた理由ですね。ビルの脇を流れる隅田川を利用してビル群を避けてみました。これでビールが目立ちますよね。
一番目立たせたいときは背景に何も入れない方が被写体をキレイに撮影することができます。 奥の地平線を水平に保ち、縦のグラスで「二分割構図」にすることで写真に安定感が出ます。
さらにもう一つ!ビールを机の端ギリギリに置いて、机を斜めに入れることで、視線を誘導(「視覚誘導」)することができます。
〔編集部:〕 おお!「視覚誘導」でよりビールに視線が集まり、景色の奥行きや広さも感じる写真になりましたね。
撮影協力:「アサヒスカイルーム」 東京都墨田区吾妻橋1-23-1 22F
縦に長い被写体は、「三分割構図」でさらに安定感のある写真に!
〔おかりな:〕 アサヒスカイルームからはスカイツリーも見えるので、「三分割構図」も伝授しましょう。
スカイツリーや東京タワー、高層ビルなどの縦に長いものを撮影するときには、「二分割構図」と「三分割構図」どちらも取り入れると主題が目立ちより良い写真になります。
「三分割構図」とは、画面を縦横三分割にして、主題を画面の1/3の位置に置き、残りの2/3を余白として使う事です。この写真では、建物の上部と、スカイツリー左側に空間ができているのが分かると思います。
さらに「二分割構図」で横の地平線と縦のスカイツリーを合わせていきます。こうすることで、シンプルかつ安定感のある写真を撮ることができます。
〔編集部:〕 「三分割構図」は難しそうと思ったのですが、空間・水平・縦の3つを意識すればよいのですね。
今回も、たくさんのポイントを教えてもらいました。①目立たせる物(主役)を決める、②構図を考えることでワンランク上の写真が撮影できますね。最終回の第3回は【動物編】です。お楽しみに!