ツレヅレハナコの満腹アジアごはん旅歩き【1】インド
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皆さま、こんにちは。文筆家・料理研究家のツレヅレハナコです。これまで私が旅をしてきた国は、計30か国以上。中でもアジア圏が大好きで、熱気あふれる中心地からローカルエリアまで、新たな食文化の体験を求めて訪れ続けています。
この連載では、そんな数々の旅先で出合ったおいしいごはんの思い出を全6回にわたってご紹介します。現地で教えてもらったお料理を、日本で再現しやすくアレンジしたレシピもご案内しますので、ぜひ作ってみてくださいね!
INDEX
お料理上手のバリキャリ奥さまに教わる!インドのごちそうカレーランチ
海外を旅する目的のひとつが、「現地で料理を教えてもらうこと」。先生は知人の紹介だったり、食事をしたレストランのシェフだったり。「おいしかったです」と伝えたことがきっかけで、厨房に呼ばれ料理教室が始まったこともあります。
われわれ日本人もそうですが、自国の食文化に関心を持ってくれる外国人に対していやな気持ちになる人はあまりいません。言葉は通じずとも、手元を見ているだけでなんとなくわかる。万国共通の「料理」は、自然に互いを知る魔法のツールでもあるのです。
インドが大好きで何度も出かけていますが、初めての料理教室は友人の紹介で知り合ったご一家のお宅でした。デリーにお住まいで、おじいちゃんやお嬢さん、妹一家などを含む計8人の大家族。おうちを訪ねると、母でありバリバリの経営者でもあるリーナさんが出迎えてくれました。
掃除や洗濯を担当するお手伝いさんもいるのに、料理はご自分でするんだなあ。そう不思議に思い聞いてみると、「会社経営の仕事も忙しいけれど、台所には毎日立ちます。家族には、私が作ったものを食べてほしいですから」とにっこり。
お茶とお菓子をいただいておしゃべりした後、広くて機能的なキッチンへ。リーナさんの妹さんもお手伝いしてくれることになり、先生は豪華おふたり! リクエストしておいた「サグパニール(青菜とチーズのカレー)」と「マッキッキロティ(とうもろこし粉の薄いパン)」、そのほか副菜やデザートなども教えてくれるそう。
キッチンには、インドの家庭には必ずあるという「スパイスボックス」が。中に入ったいくつものスパイスから、料理によって配合を変えて使います。日本の包丁とは違う、小さなナイフでサクサクと野菜などを切りそろえたら準備完了。
驚いたのは、圧力鍋が大活躍していること。ベジタリアンが多いインドでは、貴重なたんぱく源である乾物の豆類を頻繁にゆでます。時短でゆであげるためには圧力鍋が必須! さらにこの日も、青菜を早くやわらかくゆでるために圧力鍋が登場。「使わない日はないですね。この鍋は私の心強い相棒です」とリーナさん。
そう話す横で、妹さんは黄色い生地を手際よく練り始めました。これが「マッキッキロティ」のもと。「今から作るサグパニールとマッキッキロティは、パンジャーブ地方を代表する組み合わせ。本来は冬に食べるもので、体を温める効果があると言われているんですよ」。
とうもろこしの粉(マッキ・アタ)に熱湯を加えて練りあげ、麺棒で薄くのばして専用の平たいフライパンで両面を焼いていきます。香ばしくなったら、ギー(牛乳から作ったバターを加熱し、水分と不純物を取り除いたインドの「澄ましバター」)を表面に塗ってできあがり。
日本のインド料理店でも人気の「サグパニール」ですが、この日はからし菜を使用。「サグ=ほうれんそう」だと思いこんでいたけれど、実際はさまざまな葉物野菜のことを指すそう。玉ねぎやにんにく、トマト、スパイスを炒めたら、圧力鍋でやわらかくした青菜を専用の棒でどろどろになるまでつぶして加えればできあがり。この棒は、手動のミキサーみたいなものかしら。
そのほか、同時進行でグリンピースのカレーやじゃがいものサブジ、サラダ、ライタ、ラッシーも次々にできあがっていきます。うーん、キッチン中がスパイスの良い香り!ご家族が呼び寄せられるかのように顔を出し、つまみ食いをしていくのもかわいらしい。
できあがったら料理をリビングへ運び、みんなで食卓を囲みます。各自、好きなものを取り皿に盛り合わせて「いただきまーす!」。うーん、レストランでいただくよりも、ぐっとやさしく家庭的な味わい。できたての「サグパニール」は、人生イチのおいしさだったなあ。本当に、ごちそうさまでした~。
リーナさんのキッチンにすっかり影響を受けた私が、翌日買い物に向かったのはデリーのホームセンター。お目当ては、インド製の圧力鍋です。日本で流通している静かで蒸気の出ないものとは違い、ビュービューと湯気を噴き上げる圧力鍋はここでしか買えないマストバイ。気軽に使える小ささと、縦長のデザインも気に入りました。
帰国後は、豆や肉をやわらかく煮たり、お米を炊いたりするのにも大活躍。東京でけたたましい湯気の音を聞くたび、デリーの喧騒や、あの家族の笑顔がよみがえります。ああ、次はいつ行けるかなあ――そんなことを思いながら、ふっくら煮えた豆を今日も鍋から取り出すのです。
【レシピ】じゃがいものサブジ トマトライタ添え
副菜として教えてもらった料理が「サブジ」。「スパイスを加えた蒸し煮」の意味で、いろいろな野菜で応用できます。今回はベーシックなじゃがいもですが、かぼちゃ、オクラ、キャベツ、カリフラワーなどお好みのものでOK。香菜が苦手なら、万能ねぎの小口切りなどで代用してください。ヨーグルトに塩とおろしにんにく、生野菜を加えたライタを添えて、たっぷりつけながらいただくのがお気に入りです。
<材料>2人分
じゃがいも……3個(約300g)
玉ねぎ……/4個(約50g)
カレー粉……小さじ1/2
にんにく……1/2かけ
塩……小さじ1/4
水……1/2カップ
米油……大さじ1
香菜……1茎
<トマトライタ>
トマト(5㎜角に切る)……1/4個(約50g)
ギリシャヨーグルト……100g
にんにくのすりおろし、塩……各少々
<作り方>
1. じゃがいもは皮をむき、四つ割りにして水にさらす。玉ねぎは粗みじん切り、にんにく、香菜はみじん切りにする。
2. フライパンに米油、にんにくを入れて弱火にかけ、香りが出たら玉ねぎを加えて3分ほど炒める。じゃがいもを加え、1分ほど炒めたら塩、カレー粉、水を加えてふたをし、ごく弱火で10分ほど蒸し煮にする。途中で一度、全体を混ぜる。
3. じゃがいもに竹串を刺してすっと入り、水分がなくなったら香菜を加え混ぜて器に盛る。ヨーグルトに塩、にんにくを混ぜて器に盛り、角切りのトマトをのせる。
【編集部おすすめ】このレシピに合わせたい一杯
「カルピス®」でラッシー気分を
カルピス®を牛乳で割り、レモンをキュッと絞れば、ラッシー風ドリンクのできあがり。スパイスの効いた料理と合わせて、おうちでも異国の味わいを楽しんでみてください。
※「カルピス」「CALPIS」はアサヒ飲料株式会社の登録商標です。

