料理のキホンさしすせそ④ 日新製糖に聞く!砂糖のイロハ
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調味料を知ると食はもっと楽しくなる!料理のキホン「さ・し・す・せ・そ(砂糖、塩、酢、しょうゆ、みそ)」を全5回にわたり、深堀りします。
第4回は和食やデザートなどさまざまな料理に欠かせない「砂糖」について、日新製糖の砂糖について楽しく学べる食育サイト「SUGAR LAB(シュガーラボ)」を運営する、広津明さんと渋谷昌広さんにお話を聞きました。
INDEX
砂糖のキホン
―まず、砂糖はどのようにつくられるのか教えてください。
砂糖の原料は、さとうきびやてん菜を産地で搾汁または糖分抽出した後、結晶化させた「原料糖」です。原料糖には、まだショ糖以外の成分が含まれており、白ではなく茶色の状態。これらを精製して無色透明にしていきます。
砂糖のつくり方
①原料糖の表面にある不純物を糖液で洗って取り除き、温水で溶かす
②ろ過などの工程を複数行うことで砂糖以外の成分を極限まで取り除き、無色透明の糖液にする
③無色透明の糖液を煮詰めて結晶化させ、遠心分離機で結晶と糖液に振り分ける
④できた砂糖の結晶を乾燥・冷却して、包装したら完成!
このように、無色透明な糖液を結晶化しているので、実は砂糖も一粒一粒は無色透明なんです。白く見えるのは、雪と同じように光を乱反射しているため。漂白剤などは一切使っていないんですよ。
―砂糖は無色透明なんですね!驚きです。日新製糖の商品の中には、きび砂糖や三温糖など茶色いものもありますよね?
きび砂糖や三温糖は、見た目は似ていますが、茶色い由来が異なります。当社のきび砂糖は精製途中の糖液を結晶化して作ります。さとうきび由来の色や香り、味が残っているので、やさしい甘みとまろやかな風味やコクが特徴です。
一方で三温糖は、グラニュー糖や上白糖などを繰り返し煮詰めて作った後の、色が付いた糖液から作ります。プリンのカラメルソースは砂糖を繰り返し煮詰めることで茶色くなりますが、それと同じ現象です。そのため、三温糖の茶色はカラメル由来のもので、味わいは強い甘みとコクが特徴です。「3回温めて(煮詰めて)作る砂糖」なので「三温糖」という呼び名になったんですよ。
知っておきたい!砂糖の種類や使い分け
―砂糖はいろいろな種類がありますよね。
基本的に同じ原料から作られますが、煮詰める回数や時間によって、大きさや色が異なります。
グラニュー糖などを加工してできた二次製品
気になる砂糖のギモン
「さしすせそ」はなぜ砂糖から?
分子の大きさが関係していると言われています。砂糖は塩よりも分子が大きいため、先に塩を入れると食材に砂糖が染み込みにくくなってしまいます。
また、砂糖は他の調味料の味を染み込みやすくする効果もあるため、先に入れると良いですよ。
果物をジャムにするとなぜ長持ちするの?
砂糖の「水を抱え込む力」により、腐りにくくなります。カビや細菌は温かく水分のあるところで増えやすいですが、砂糖が抱え込んだ水は利用できないので繁殖が防げるのです。同じ原理で、おせちも甘めの味付けが多いのは保存性を高めるためと言われています。
ピリッとした辛みが後を引くおいしさ!「きび風味のしょうがジャム」
固まった砂糖をサラサラにする方法は?
砂糖が固まってしまうのは「乾燥」が原因です。キッチンは湿気が多いので、一度吸湿して乾燥するとさらに固まりがちです。軽く電子レンジで温めたり、湿らした布巾やペーパーを容器に被せておくと、ほぐしやすくなりますよ。塩の容器には珪藻土のスプーンを入れている方も多いと思いますが、砂糖は乾燥して固まってしまうので避けましょう。湿度の変化がない密閉した容器で、常温保管するのがおすすめです。
お肉の下ごしらえで砂糖を揉みこむのはなぜ?
砂糖がたんぱく質と水分を結びつけ、お肉が硬くなるのを防いでくれます。例えば、鶏むね肉をブライン液(水+砂糖+塩)に漬け込むとしっとりするので、砂糖の効果を実感しやすいと思いますよ。
驚くほどしっとりやわらか!「薬味たっぷりトマトだれの蒸し鶏」
―ありがとうございました!砂糖についてたくさん学ぶことができました。最後に、どんな風に砂糖を使ってほしいですか?
いろいろな種類の砂糖があるので、和食やデザートなど、さまざまな料理に使っていただけたらと思います。
子どものころから親しみを持ってもらい、長く食生活のパートナーとして使ってくれる方が1人でも増えるとうれしいです。
皆さんもいろいろな料理に合わせて砂糖を使い分けてみませんか?
料理のキホン「さ・し・す・せ・そ」最終回は「みそ」を紹介します。お楽しみに!