ラベルレスボトルはどうやって生まれたか?
この記事のキーワード
SHARE
ラベルレスボトルとは、PETボトルに巻いてあるラベルがついていない商品のこと。アサヒ飲料は、2018年に業界に先駆けてECチャネル専用商品として、『アサヒ おいしい水 天然水 ラベルレスボトル』をテスト発売しました。それから3年。環境負荷低減と家事の手間を省くユーザビリティを両立した新価値が評価され、今や飲料各社からも発売されているラベルレスボトル。この商品を思い付き、育てた担当者たちの奮闘を紹介します。
INDEX
ラベルレスボトルの誕生ストーリー
2017年当時、ECチャネルを担当していた佐治は、ケース買いして飲んでいる商品のラベルを剥がしながら、「箱で届く商品であれば1本1本にラベルがいらないのでは?」と思いつきました。ECチャネルならではの新しい取り組みを模索していた時でもあり、思い切って部内で提案してみたところ、「今はまだないけど、世の中にこういう商品があったら面白い」と賛成されました。
実際に着手すると、思った以上にさまざまな課題が立ちはだかりました。ラベルに記載されている原材料名などの情報は、法律やガイドラインで決まっているものが多いので、ラベルをなくす際にそれらをどうするか、消費者庁・経済産業省に確認が必要だったのです。確認は、一つ一つホームページから連絡先を探すところから始まりました。数か月以上かかりましたが、原材料名や内容量が記載されている一括表示などの必要事項は外装段ボールに、リサイクルマークは一部シールへ記載することが決まりました。
一方で、ラベルのないPETボトルを製造するのは初めての試みとなるため、「ラベルのないまま商品が人手に渡ったらどうするのか」「1分間に1,000本作る生産スピードで確実にシールが貼れるのか」などたくさんの課題や心配の声も上がりました。それらを関連部門と一つ一つ解決、テスト生産も繰り返しながら、2018年5月『アサヒ おいしい水 天然水 ラベルレスボトル』のテスト販売にこぎ着けたのです。
前例のない事を推進していくのは容易ではありませんが、「こういった商品があれば絶対に生活に役立つ(得意先にも貢献できる)」という強い思いと、上司や賛同者の後押しと関連部門の協力が原動力となり、歩みを進める事ができたと佐治は話します。
これは、2013年、佐治の結婚式で配られたプロフィールカードの一部です。「相手に今一番してほしい事は?」の問いに「ペットボトルのラベルはがし」と回答しています。
本人は「こう書いた事をすっかり忘れていました…ラベルレスボトルを発売してから偶然見つけて驚いています」とのことですが、ラベルレスボトルはここから始まっていたのかもしれません。
ラベルレスの拡大ストーリー「お客さまとの接点を増やしたい」
発売以降、ラベルレスボトルは着実に出荷量を増やし、2019年2月には「十六茶」や「守る働く乳酸菌」などラインアップを拡充していきました。
その中で、マーケティング部で水・お茶の商品担当をしていた飯島は、アサヒ飲料が提供するラベルレス商品の外装段ボールに、「ラク&エコ」という統一のロゴやキャラクター(ラベルン、レスルン)や、森を想起させるカートンデザインを採用しました。これは、環境への配慮とお客さま視点を重視するアサヒ飲料の姿勢と、「育児や家事で日々忙しい方に少しでも和んでもらいたい」という思いからの発案でした。
さらに、2020年10月に発売した初めてのラベルレス専用商品となる『アサヒ緑茶』からは、「コロナ禍でのお家時間を少しでも楽しんでもらえたら」と、段ボールにトントン相撲などを作れるデザイン(4種類)を施しました。
家の外でもラベルレスボトル!新しい挑戦「シンプルecoラベル」
このような徹底したお客さま視点での商品強化に取り組むと同時に、このラベルレスボトルをもっと多くのお客さまに使っていただくにはどうすれば良いか、日々頭を悩ませ、関連部門との検討が続きました。そうして約1年半の開発期間を経て2021年に生まれたのが、ラベルの代わりに極小のラベルを胴部に貼付した『アサヒ おいしい水 天然水 シンプルecoラベル』です。
それまでのラベルレスボトルはケース販売のみであったため、家で飲まれる事がほとんどでしたが、この商品はスーパーでの単品販売や自動販売機にも搭載できるため、ラク&エコなボトルを使っていただけるシーンをさらに増やすことができました。
「このような人にも環境にもやさしい商品の新しい挑戦に携われたことは本当に幸せなことだと感じています。これからも新しい価値を生み出しご提供することでお客さまとの接点を増やしていきたい」と飯島は力強く語ります。
アサヒ飲料が2018年から積極的に展開してきたラベルレスボトルは、お客さまより「ラベルを剥がす手間いらず」「エコでラク」と好評で、拡大を続けています。
これからもアサヒ飲料は環境への配慮とお客さま視点での商品開発を続けていきます。