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生きるを愉しむウイスキー【3】ニッカを愛するバーテンダー

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生きるを愉しむウイスキー【3】ニッカを愛するバーテンダー

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創業90周年を迎えたニッカウヰスキーは新たなコミュニケーション・コンセプト“生きるを愉しむウイスキー”を掲げています。ウイスキーが持つ豊かな個性や多様な楽しみ方を通して、人生そのものを愉しんでほしいという思いを込めています。この連載では、ウイスキーの愉しみ方について、ウイスキーとともに人生を歩むプロたちが全4回にわたって語ります。連載を通してあなたのウイスキーの愉しみ方を見つけませんか?

第3回は、欧州を中心に活躍するニッカウヰスキーのグローバルアンバサダー、スタニスラヴ(Stanislav Vadrna)氏が登場です。スロバキア出身のスタニスラヴ氏がなぜ日本のウイスキーに興味を持ち、ニッカウヰスキーのアンバサダーを務めているのか、そして「生きるを愉しむウイスキー」の見つけ方を聞きました。

プロフィール

Stanislav Vadrna氏

2006年、日本に初来日し、その後師匠となる「銀座 テンダー」のオーナーバーテンダー上田和男氏から、「一期一会」のコンセプトを教えられた。2009年からニッカウヰスキーのアンバサダーに携わり、各種イベントやニッカウヰスキーが展開するコンテストの運営に加わることで、ニッカブランドの価値伝達者としての役割を果たしている。

バーテンダーを目指したきっかけ。両親から学んだ“おもてなし”の心

私は幼少期から、両親が友人や親戚をもてなすことに喜びを感じている姿を見て育ちました。母親は来客があるとどんなときでも100%のおもてなしをし、父親は必ずお客さまにプレゼントを用意するような人でした。両親の“おもてなし”の心、見返りを期待するのではない無条件のおもてなしとサービス精神に影響を受けたのが私のホスピタリティの始まりだと思います。

また、国際列車の車掌として働いていた祖父の影響もあります。よく祖父の出張について行っていた私は、祖父が仕事をしているときは食堂車で何時間もウェイターたちの仕事を見ていたので、接客とホスピタリティの世界にますます興味を持つようになったんです。

15歳の頃には、オリエントエクスプレスのウェイターになることを夢見て、ホスピタリティの学校に入学しました。その学校で、先生のシェイクやトム・クルーズの映画「カクテル」を見たことでバーテンダーに興味を持ったんです。私は何かに熱中すると全力で向き合うタイプなので、チェコ・スロバキアで受講できる全てのカクテルの授業を受けました。ここからがわたしのバーテンダー人生の始まりです。

ニッカウヰスキーとの出会い、そして竹鶴政孝の人生との共通点

2005年にニューヨークを訪れた時、ロウアー・イースト・サイドにある「Angel’s Share」という日本人バーテンダーがいる小さなバーを見に行きました。そこで日本のバーテンディングに興味を持ちました。

2006年には銀座のバー「テンダー」にて10日間の研修を受ける機会をいただき、日本のウイスキーへの関心が高まりました。その頃から、いつか日本のウイスキーブランドと一緒に仕事をしたいと強く思ったのを今でも覚えています。

2008年と2009年にパリで開催された「カクテル・スピリッツ・パリ」で日本のバーテンディングについてのセミナーを行う機会がありました。その際、パリの老舗小売店のラ・メゾン・ド・ウイスキー社の方からニッカウヰスキーの「竹鶴」を渡され、セミナーで使って欲しいと言われていたのですが、日本のバーテンディングについて語っているうちに、すっかり「竹鶴」に触れることを忘れてしまったんです。セミナー後に改めてニッカウヰスキーについて調べてみると、竹鶴政孝の素晴らしく感動的な物語があることを知り、さらに彼の人生と私の人生の共通点を見つけました。彼はスコットランドに渡ってスコッチウイスキーの製法を学んだ最初の日本人、そして私は日本のバーテンディングの技術を学ぶために日本に行った最初のヨーロッパ人でした。私は竹鶴政孝の人生の物語に触れてとても感動し、その感動は今でも続いています。

WHISKY LIVE PARIS 2024にて

ジャズからカクテルの発想が生まれている?

カクテルをつくる時、さまざまな瞬間・出会いからインスピレーションを得ています。例えば、目の前にいる人の美しい目を見てインスピレーションを得たり、香りからインスピレーションを得たりすることもできます。誰かとすれ違ったときに突然「わあ」と感じることも。空の色、食べている物、読んでいる本……何からでもインスピレーションを得ることができるんです。

ここ2年は、ジャズ音楽からもインスピレーションを得てきました。とりわけ昨年からは日本の素晴らしいジャズブルース歌手、浅川マキの影響を強く受けています。残念ながら彼女は2010年に亡くなりましたが、彼女の音楽は永遠に続くものです。今は浅川マキの音楽とニッカウヰスキーが私の創造性の源です。

わたしがニッカウヰスキーを愛している理由

ニッカウヰスキーは伝統と革新の本物のブランドです。私がニッカブランドを愛している理由は、品質を最優先し、妥協しないこと。そして流行を追わないことです。ニッカブランドはウイスキーの流行を創りたいので、トレンドを追うことはしません。現代では、多くの人が他のもののコピーになりたがり、流行を追おうとします。オレンジウイスキーやフレーバーウイスキーなど、流行に合わせようとする動きがありますが、ニッカブランドは常にユニークなものを生み出すことを目指していると感じます。これは私自身の人生哲学でもあります。だからこそ、私はニッカブランドと一緒に働くことに心地よさを感じています。

海外においてもニッカブランドは本物であり、伝統と革新を兼ね備えているということがとても評価されています。ニッカブランドは竹鶴政孝の夢を実現し、多くの異なる味覚を満たすために、さまざまなブレンドや種類のウイスキーをつくり続けていますからね。

ドイツのSchumann’s Barでのゲストシフトイベントにて

本物とは、妥協しない信念を持ったブランド

ニッカウヰスキーは今後も品質を第一にし、妥協しないことが大事だと思います。市場には流行を追うがための商品があふれています。流行を追っている商品はマーケティングが上手でソーシャルメディアが得意ならば、しばらくの間は商品を売ることができますが、最終的には妥協せず、信念を持ったブランドが選ばれ続けると思います。私たちは妥協しない信念を持ったニッカブランドを大切にし、その価値を伝えています。

私の「生きるを愉しむウイスキー」を感じる時

私自身、今はお酒を飲まないのですが、ウイスキーやウイスキーに関わる全てのことを愉しんでいます。私はウイスキーを愉しむ人たちを見るのが好きなので、素晴らしい一杯を提供し、彼らの一日をより良くすることが今のわたしの愉しみ方です。
以前は仲間と一緒にウイスキーを飲んだり、本を読みながらウイスキーを飲むことを愛していました。バーで美しいウイスキーとともに、一人でじっくり自分と向き合う時間を持つことも。飲み方としては、常温でウイスキーを飲むのが好きです。ウイスキーは数多の香りが重なり合った複合的な風味を持っているので、少量の水を加えてその素晴らしい香りを引き出し、重層的な魅力をより感じられる方法で愉しむのです。
バーテンダーとして、ハイボールや水割りも魅力的です。このウイスキーにはこの水を使うといったように、ウイスキーと水の組み合わせにこだわり、比率を変えるなどしています。さまざまな種類の水や氷、グラスを使って味わいの変化を探求するのが好きですね。ハイボールと水割りの世界はとてもクリエイティブです。日本のシンプルさの美学を真に表現していると感じます。一見シンプルに見えるハイボールや水割りも、素晴らしい一杯のためには、鍛錬を重ねて経験を積むことが必要です。全ての要素が意図的であり、このアプローチは私自身のホスピタリティと人生哲学に深く結びついています。
ここまで私のウイスキーの愉しみ方を紹介しましたが、これはあくまでも私の愉しみ方です。私たち一人一人はユニークで唯一無二な存在なので、皆さんのウイスキーの愉しみ方は皆さん自身で見つけ出すものだと思っています。自分自身の好きな方法を見つける旅に出てみてください。

「THE NIKKA WHISKY TOKYO」にて
生きるを愉しむウイスキー【3】ニッカを愛するバーテンダー

飲む

生きるを愉しむウイスキー【2】個性豊かな原酒のつくり手

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